子どもの脳は、生まれてからずっと成長・発達途上にあり、我々が想像している以上に柔らかく、傷つきやすい。とりわけ最も身近で安全な場所であるはずの親から「攻撃」を受けると、深いダメージを受けてしまう。マルトリートメント(不適切な養育)が、外から見える傷はなくとも子どもの脳を"物理的"に傷つけ、変形させる。言葉のDVはより脳に大きなダメージを与えるという。
友田さんは小児精神科医として、子どもの発達に関する臨床研究を続け、「日常のなかにも存在する不適切な養育」「マルトリートメントによる脳へのダメージとその影響」を示し、「子どもの脳がもつ回復力を信じ」て専門的な療法を提示する。親も子どもも専門的で粘り強い治療が大切となる。そして、「健やかな発育に必要な愛着形成」「マルトリートメントからの脱却」の新たな試みを示す。
私たちの子どもの頃は、もっとひどい体罰等が行われていたと思われるが、「愛着」という観点から見ると、今の親が孤立し、ストレスをため、子どもを追い込んでいること、また子どものレジリエンスを伸ばせないでいることも理解できる。本書での警鐘を真正面から受け止めたい。
13日、地元では「町会・自治会の運動会」「防災訓練」「バラ祭り」「縁日」など多彩な行事が行われました。
大塚駅南口広場「トランパル大塚」では、「第13回大塚バラまつり」が多くの方が集い、盛大に開催されました。
かつて都電荒川線大塚駅から向原駅までの区間ではゴミの不法投棄や違法駐輪が目立つ地域でした。そこに約30年前に植えられた約100本のバラが残っておりました。これらのバラを育てることで景観の美しいまちにしようと平成20年に南大塚都電沿線協議会を発足させ、今では約700品種のバラが毎年春と秋に見頃を迎え、訪れる人々の目を楽しませています。都電も沿線のバラも多くの観光客の人気スポットとなっており、この日も多くの人がカメラに収めていました。
軍靴の足音が次第に響く昭和の初期・中期。佐倉波津子は進学もできず劣等感をもちつつ、「乙女の友」編集部で働き始める。波津子のひたむきさ、懸命さ、体当たりをしてしまう余裕のなさは際立ち、社内に波風を立てながらも前に進む。本をつくるのは大変な仕事だが、主筆・有賀憲一郎、画家・長谷川純司、有賀の従姉妹の佐藤史絵里、翻訳詩人の露島美蘭‥‥‥。周りは暖かい。
昭和12年、15年、18年、そして20年――。波津子は純粋、一生懸命。やがて小説も書き、主筆にも抜擢されるが、いつも「私なんか‥‥」と思う。「こうした時代だからこそ、美や芸術、音楽や文芸の香りを届け、少女たちの心身を健やかに育むことは大事だ。しかしその任に自分が当たることが適切なのだろうか」と、悩みながらも前へ進む波津子。戦争は学徒出陣、有賀主筆らの召集、東京大空襲と、仕事も生活も友も奪っていく。「君はそのときどきで、常に最上と思われる道を選んで、いつまでも元気に、幸せに暮らしていくんだ」「友よ、最上のものを」という有賀の気持ちが波津子の心に甘く響く。
実業之日本社の少女雑誌「少女の友」の存在に心を動かされた伊吹有喜さんが大和之興業社「乙女の友」として描いたという感動作。
5.12海上保安の日を記念する式典が10日、霞ヶ関で行われました。本年、海上保安庁創立70周年でもあり、その意義を込めたものです。
海上保安庁は、海の守り手。東シナ海や尖閣諸島、新潟県沖の大和堆(たい)、小笠原周辺をはじめとする周辺警備を体を張って闘っている部隊です。海難事故や災害対応もあり、休む暇のない緊張した日々を送っています。国交大臣の所管でもあり、私はこれまで常に連携を取ってきました。
この日の式典で中島長官は「海を生業とするものの間に、次のような言い伝えがあります。『悲観論者は風に文句を言い、楽観論者は風が変わるのを期待する。そして、現実論者は風を読み帆を調整する』」「我々は、70年の伝統を礎に、現実を見据え、風を読みながら、美しく平和な海を次世代に継承してまいりたいと思います」と決意を述べました。
海上保安庁の関係者といい懇談ができました。
大手居酒屋チェーン「山背」に勤め、店長となって頑張っていた藤井健介が飛び降り自殺をする。「山背」はすさまじいブラック企業。休めない、過重労働・残業、極度の睡眠不足で通常の判断すらできない。赤字を出すと店長の落ち度となり、本社に呼び出されてリンチとしか呼べない吊るし上げ。「健ちゃん、チィ」と呼び合う恋人の伊東千秋は、突然の死に呆然自失、悲しみにくれる。ラインに残された最後の言葉が「ごめん」の一言。「私、最後の最後に、健ちゃんに言ってしまったんです。頑張って。健ちゃんだったら大丈夫。乗り越えられるよ」・・・・・・。千秋は自分を責める。
「山背」のあまりにも心ない対応に、千秋と息子を失った両親は激怒し、立ち上がる。そして、しだいに「山背」に働いた者も味方についていく。息をするのも苦しいほどの緊迫感、憤り、真剣さが全編を貫く。一気でないと読めない。健介・千秋が歌った奥田民生の「風は西から」。「風は西から強くなっていく・・・・・・。魂で走れ 明日はきっといいぜ 未来はきっといいぜ・・・・・・」。