「国土学」の第一人者の大石さんが、国家論を論述している。日本国家を考えれば日本人論、その日本人論は当然、国土に人間が働きかける「国土学」という広大な背景から把えなければならない。そうした国土学から日本人論、国家論へと迫っている。
その射程は日本の今と未来にある。「戦後は戦前の否定では終わらなかった。日本そのもの、歴史も精神を含むすべてのものを否定された。これを放置したままでは、われわれ日本人は根無し草として世界に漂う存在であり続けるしかない」「わが国土の自然条件、位置条件によって世界中の他の国民や民族と相当に異なる経験をし、考え方・感じ方を育んできたのが日本人」であり、「"仲間と共同して働く""集団力の発揮"を取り戻そう」と指摘する。たとえば新自由主義経済の「小さな政府」「緊縮財政」「規制緩和」「自由化」「民営化」などの主流化は、この日本人の強みである特性を破壊してきた。日本人が厳しい自然に翻弄されながら培ってきた互いに助け合う「共」の原理と、欧米人が築いてきた「公」の原理とは根本的に違う。思考停止を戒め、日本人の強みを生かして未来に挑め。智慧は蓄積されているではないか――そんな声が聞こえる。
7月11日、香川県に行き、濱田恵造知事、大西秀人高松市長、綾宏坂出市長、四国の経済・観光関係の代表者と、要請・意見交換を行いました。また、ストック効果を発揮しているインフラ、瀬戸大橋と香川用水を視察しました。
要請では、南海トラフ地震に備えた防災・減災対策、空港アクセス改善の道路整備、ダム事業の推進、宇高航路の支援、四国方面に乗り降りできない坂出北インターチェンジのフルインター化、坂出港の岸壁整備など、インフラ関係の課題が示されました。その中で特に坂出北インターについて、私は「坂出市内は車も多く、フルインター化は有効。地元と連携して調査を進めたい」と述べました。
四国、香川県はいま、観光で盛り上がっています。先月全国で7ルート認定した広域観光周遊ルートのうち、「せとうち・海の道」と「スピリチュアルな島~四国遍路」の2つが選ばれました。本州・四国連絡橋を通って来る観光客も多く、1988年の瀬戸大橋開通以降、本州と四国の交流人口は約2倍にもなっています。意見交換の場でも、「観光周遊ルートに選んでいただいてありがたい」「海外からの観光客も増えている。ハード・ソフト両面で受け入れを充実していくので支援をお願いしたい」など、発言が続きました。
そして香川用水。香川県は雨が少なく大きな河川もないため、昔から水不足に悩まされてきました。最近でも一昨年、渇水が発生したところです。香川用水は隣の徳島県の吉野川から取水し、讃岐山脈をトンネルで抜けて香川県のほぼ全域に給水する水路。40年前に完成し、香川県の水道水の約46%、農業用水の約26%、工業用水の約16%をまかなっています。
「この水は香川の"命の水"」――。インフラのストック効果で意義深い視察ができました。


拡大する西之島を無人調査艇「マンボウⅡ」で調査――。小笠原諸島の西之島は、一昨年11月の海底火山の噴火以来、流れ出す溶岩流により、噴火前の約12倍、東京ドーム約58個分にまで拡大を続けています。また、7月6日には新たな噴火口が形成されるなど活発な活動を続けています。
10日、西之島周辺海域の火山活動や海底地形を調査・観測している海上保安庁から、調査状況の報告を受けました。
海底地形の観測・調査は領海警備や船舶の航行安全の確保などとならび、海上保安庁の重要な業務です。これまでは航空機により、上空から火山の噴火や島の拡大の状況を観測してきましたが、6月22日から7月9日までの間、総トン数3,000トン、全長98メートルの大型測量船「昭洋」を派遣し、「海底地形」「地殻構造」について詳細な調査を集中的に実施しました。
測量船の入れない島の中心から4キロメートルは、「昭洋」から無人調査艇「マンボウⅡ」を操作し、調査。船に搭載されたマルチビーム測探機を使い、海底地形や溶岩の噴出量などを詳細に調べました。また、「昭洋」は海底地形の状況に加え、エアガンにより発生させた人工的な地震波の海底下の伝わり方を解析することで、マグマ溜まりなどの海底下の構造を調べました。調査の結果、火山活動は依然活発であり、今後とも島の拡大は続くものと見込まれます。
西之島の活動は新たな大地を生み出すダイナミックな地球の営みとして、学術的な価値も高く、世界中から大きな関心を集めています。今後ともしっかりと調査・観測をしていきます。

衣笠幸夫(人気作家の津村啓)は、冷めた関係になっていた妻・夏子を突然のバス事故で失う。同じ事故で亡くなった友人には、夫(大宮陽一)と真平、灯の3人の家族がいる。悲しみを露わにする陽一家族と、涙を流すことができなかった幸夫の交流が始まる。悲しみ、喪失、狼狽、悔恨、自責、葛藤、愛別離苦、憎愛、屈折、孤独・・・・・・。
「人は後悔する生き物だということを、頭の芯から理解しているはずなのに、最も身近な人間に誠意を欠いてしまうのは、どういうわけなのだろう」「愛するべき日々に愛することを怠ったことの、代償は小さくはない。・・・・・・喪失の克服はしかし、多忙さや、笑いのうちには決して完遂されない。これからも俺の人生は、ずっと君への悔恨と背徳の念に支配され続けるだろう」「あのひとが居るから、くじけるわけにはいかんのだ、と思える"あの人"が誰にとっても必要だ。想うことの出来る存在が。・・・・・・人生は、他者だ。・・・・・・遅いか、あー」
本文の「長い言い訳」が、「永い言い訳」の題に変わっているがゆえに、永遠の人生的、哲学的な問いになっている。"言い訳"というより"問いかけ"、どこまでも続く「永い問いかけ」となって深みを増している。それが息の長い、丁寧な文章で書かれて、心に浸み込んでくる。
7月7日、「ひまわり8号」運用開始、「第9回UIC世界高速鉄道会議」及び「第17回日本水大賞表彰式」に出席、その後、外国要人と連続して会談しました。
「ひまわり8号」がいよいよ運用を開始しました。「ひまわり8号」は世界最先端の観測機能を有しています。「7号」に比べ、画像解像度は2倍に強化、観測画像が5種類から16種類に増加、日本付近の観測が30分間隔から2.5分間隔に短縮。また、カラー画像の編集が可能、データー量が50倍に増加するなど観測性能は大幅に向上しています。気象庁に出向き、画像を直接見ましたが、台風の目が渦巻き、積乱雲が立ち上がってくる様子がはっきりと立体的にわかります。また、雲と区別がつきにくかった火山の噴煙や黄砂の飛散の状況も監視可能となり、日本の気象観測はステージアップしたと感動するほどでした。
UIC(国際鉄道連合)世界高速鉄道会議は高速鉄道に関する世界最大規模の国際会議。日本での開催は初めてとなります。40か国・地域の政府関係者や鉄道事業者など1,000人以上が参加しています。新幹線は日本から始まり、その技術はまさに世界一。私は安倍総理とともにオープニングセレモニーに出席し、「安全性、信頼性など極めて優れた日本の新幹線の良さを、是非共有していただきたい」と挨拶しました。
午後は、「第17回日本水大賞」の表彰式に出席。これは日頃から健全な水循環のために活動している団体、学校、企業を表彰するもので、秋篠宮殿下・妃殿下をお迎えして行われました。私は、福岡県の遠賀川で19年間にもわたって川づくりを進めている「直方川づくり交流会」に国土交通大臣賞をお渡しし、懇談しました。
また、インドのアンドラプラデシュ州のチャンドラバブ・ナイドゥ首相と会談し、州都建設や、新幹線や港湾整備について、協力関係を強化することで一致しました。さらに、4度目の会談となるマレーシアのサイド・ハミド陸上公共交通委員会議長とは、マレーシア・シンガポール間の高速鉄道の整備について、資金面や人材育成面での支援を中心に意見交換をしました。