「辞書は、言葉の海を渡る舟だ」「海に渡るにふさわしい舟を編む」――新しい辞書「大渡海」づくりにかけた者たち。松本先生、荒木、馬締(まじめ)、そして西岡、佐々木、岸辺・・・・・・。空恐ろしいほどの熱意、世間でいえば"変人"の馬締が主人公だ。
言葉の持つ力。言葉の重要性。「記憶とは言葉だ。香りや味や音をきっかけに、古い記憶が呼び起こされることがあるが、それはすなわち、曖昧なまま眠っていたものを言語化するということだ」「玄奘三蔵が大部の経典を中国語訳する偉業を成し遂げたように。禅海和尚がこつこつと岩を掘り抜き、30年かけて断崖にトンネルを通したように。辞書もまた、言葉の集積した書物という意味だけでなく、・・・・・・ひとの叡智の結晶だ」「言葉があるからこそ一番大事なものが俺たちの心のなかに残った。先生のたたずまい、先生の言動。それらを語りあい、記憶をわけあい伝えていくためには、絶対に言葉が必要だ」――。
辞書づくりという思いもよらない世界を、ここまで書き上げた三浦しをんさん。丁寧に、しかも一気に読ませる2012年本屋大賞受賞作。
「説得力」は重要。仕事におけるプレゼンテーションでも、日常の対話においても。しかし、簡単なことではない。問題の急所を、わかり易く語るには、当然、勉強量の蓄積は欠かせない。問題の所在が蓄積されていなければ、相手にもされない。
そのうえでの技術――高嶌さんは「人間的な魅力」「説明する能力」「納得させる能力」をあげる。そして、いきなり重大な頼みごとをせずに抵抗感を和らげておいて説得に入る「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」や、その逆の「ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック」、そして、相手が受け入れやすい頼みごとをして承諾してもらった後にオプションを増やす「ロー・ボール・テクニック」、勝ち馬に乗りたい同調心理をくすぐる「バンドワゴン効果」などを紹介する。
この社会で生きていく以上、説得力は不可欠――しかし演説と、会議などの説得力は異なると思う。
昨年は末次一郎氏没後10年の「学ぶ会」が行われ、最近は野田総理が初の沖縄訪問で胸像を訪ねている。現代社会の不安と閉塞感、破壊衝動の風潮とポピュリズム――そんななかで昭和56年に発刊された本書を読んだ。思うことは、イデオロギーに流されずに働く「奔走」ということだ。生きざま、国(民)を担うということ、実践ということだ。
「大陸に残された同胞の救出や支援(引揚援護活動)」
「戦争受刑者の釈放」
「核抜き、本土並み、72年返還への沖縄返還」
「四島一括を求める北方領土返還」・・・・・・。
とくにあくまで実践者、運動家として、いつも初めは小さく、そしてうねりが大きく展開されていく。健青クラブ、日本健青会も、沖縄に国旗「日の丸」を贈ることも。「評論ではなく、動きをつくる人」「破壊ではなく、汗を流して創る人」が大事であることは、時代を超える。
