火の闇.jpg四つの短編小説。沖縄という因習というか、庶民の原型というか、呪術というか、宗教の原風景がある。ここまで村全体が1つの家族のように一体となっていると、息苦しく、何でもウワサが一瞬のうちに流布してしまうなかで、主張性をもった人間は極端に走らざるを得ないのかもしれない。

人が共同体を形成して生きていくなかで、宗教は不可欠のようだが、それゆえに伝統を打ち破るには狂人のごとき相当の覚悟がいる。

光と闇と祈りと火をテーマにして日常を書くことは、卓越した粘りの力だ。


私の後藤田正晴.JPG57人のつづった後藤田正晴への感謝ともいえる言葉。まさに戦後史そのものだ。日本が国難ともいうべき時、判断の難しい時、即座の判断が求められる時、後藤田さんがいた。後藤田さんという座標軸をもっていたこと、鍛え抜かれた判断力と、それを実行する存在感をもつ人が権力の中枢にいたことは幸せだった。

日中友好会館、日中を中心にお話をさせていただいたが、もっとじっくり話したかったと今も思っている。

「政治は目的実現のために権力を使いこなす。しかし同時に大事なのは国家権力の怖さを知り、権力を細心にして丁寧に慎重に扱うことだ」

「権力者は謙虚であらねばならない。職権は行使するより話し合いを第一に考えることだ」

「国家の基本をゆるがせにするな」――後藤田さんの魅力を次々と本書は示しているが、その魅力を感じる57人もおやっと思う感性を見せてくれている。

昨今の日本の政治家に「政策通はいても政治通がいない」ことが問題だと指摘する人がいたが、「政治家とは」ということを考えさせる一書でもある。


政界は一寸先が闇といっても、これほどの激震はなかなかないと思います。9月12日には安倍総理の突然の辞任、そして11月4日は小沢民主党代表の辞任会見、この臨時国会は大変な様相を呈しつつ、最終の週に入りました。
 
しかし、こうした時は原点からモノを考えることが大切だと思います。それは参院選で示された「率直で透明性・公開性のある隠しごとのない政治」「生活や格差を直視した生活現場主義の政治」をもって、政策実現することだと思います。

日本は今、重要な局面、政策課題はヤマ場です。政治は仕事をする為にある。庶民の為にある。その意味で政治の停滞は許されません。


靖国戦後秘史.JPG「A級戦犯を合祀した男」という副題があるとおり、元宮司松平永芳氏を描いている。松平春獄直系の孫で、その尊皇精神の志と、師である皇国史観の平泉澄東京帝大教授とB級戦犯として処刑された岳父醍醐忠重海軍中尉の影響。松永氏自ら自負できるものは「A級戦犯合祀である」とし、「現行憲法の否定と極東軍事裁判の根源をたたく意図のため」といっている。

その前、じつに32年間の宮司・筑波藤磨氏のこと。さらには、「千鳥ヶ淵の攻防」「国家護持法」「祭神に祀り上げられた二人の皇族」など、戦後史のなかでのあまりに生々しい現実が描かれている。


空気と戦争.JPG「昭和16年夏の敗戦」。そのとき、戦ったら敗北することを提示した総力戦研究所があり、30代の若き精鋭が集った。

しかし現実に戦争になだれ込む。「数字を誤魔化すと国が滅びる」と猪瀬氏は、官僚システムの宿痾を示し、「空気」に捉われない「歴史意識」を磨き、事実に基づいての論理とデータに立つ屹立した1人の人間を求める。

「組織や時代の空気に流されずに生きろ」ということを、私は大衆社会、メディア社会のなかで、より痛感する。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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