11都道府県に発令されていた緊急事態宣言が、栃木県を除き3月7日まで延長されました。医療支援、生活支援、企業・事業主支援を3本柱として支援を行ってきましたが、長期化の打撃は深刻です。公明党は、今年、雇用や生活困窮者などへの数多くの施策を実現しました。まとめてご紹介します。竹内政調会長へのインタビューです。
■(雇用)雇調金の特例措置、延長
――雇用対策が急務です。
竹内政調会長 一部の自治体では雇用創出に向けた先進的な取り組みが行われています。
提言では、こうした地方自治体による雇用創出の取り組みについて、今年度第3次補正予算の「地方創生臨時交付金」を活用し、速やかに全国に広げるよう訴えました。
また雇用維持に協力した企業に対する「雇用調整助成金」では、助成率などを引き上げる特例措置を「緊急事態宣言が全国で解除された月の翌月末」まで、現行水準のまま延長するべきだと要望。提言後、公明党の訴え通りに延長が決まりました。
一方、休業手当が支払われていない中小企業労働者向けの「休業支援金」についても、勤務時間の減少で生活に支障を来している大企業の非正規雇用者も対象とするよう主張しました。
これについては4日の衆院予算委員会で公明党の稲津久議員が対象拡大を訴え、菅義偉首相が「早急に具体的な対応策をまとめる」と答弁。厚生労働省は5日、大企業で働く非正規雇用の労働者にも対象を拡大すると発表しました。
■(暮らし、住まい)必要資金の貸付を追加
――コロナ禍の生活支援として、「総合支援資金」「緊急小口資金」が特例で貸し付けられています。
竹内 提言では、特例貸し付けを借り切ってもなお厳しい状況にある人に対する支援のあり方を速やかに検討するよう主張。
公明党の提言を受け、厚労省は、緊急事態宣言の延長などに伴う経済的支援策として、総合支援資金の1世帯当たりの限度額を最大60万円増額する方針を決めました。
緊急小口資金の償還(返済)免除要件についても、2021年度または22年度において、借受人と世帯主が住民税非課税であると確認できた場合、一括免除する方針です。
■住居確保給付金/最長12カ月まで拡大。3カ月間の再支給も
――離職・廃業した人などに対する家賃補助の制度としては「住居確保給付金」があります。
竹内 支給期間は原則3カ月でしたが、公明党の提言を踏まえ、今年度中に新規申請した人は最長12カ月まで延長されます。
また1人につき「人生で1回のみの利用」との原則も見直され、3月末までに支給が終了する人は、3カ月間の再支給を受けられるようになりました。
しかし、最長12カ月の支給も、3カ月間の再支給という特例措置も、申請期限が3月末までとなっています。そこで公明党は、コロナ禍の影響が長期化し、生活再建が困難な状況が続いている現状を踏まえ、申請期限の延長や、収入基準の緩和、支給上限の引き上げなども求めています。
――ひとり親世帯の生活も依然として厳しい状況です。
竹内 コロナ禍の影響が深刻で厳しい状況に置かれている、所得の低いひとり親家庭に対する給付金の追加支給を検討し、中長期的な自立につながるよう、就労・居住支援といった総合的な対策を講じるよう要望しています。
■(社会的孤立)実態把握や対策、早急に
――生活保護を必要とする人がためらうことなく受給できるようにしなければいけません。
竹内 自治体側が親族に援助できるかどうか問い合わせる「扶養照会」を理由に、困窮者が申請をためらう実例があります。当事者に寄り添った弾力的な運用がなされるよう改善を提言しました。
――コロナ禍では、DV(配偶者などからの暴力)や児童虐待が増え、社会的孤立状況がより一層深刻化しています。
竹内 個人の問題ではなく、医療費や社会保障費の増大、労働力の減少、貧困の拡大にもつながる、社会全体で取り組むべき重要な問題です。全省庁横断的な対応を行う関係省庁連絡会議を立ち上げ、地方自治体や民間団体と連携し、実態の把握や対策の検討に早急に取り組むべきだと提言。
4日の衆院予算委員会でも私が質問し、首相は「社会的孤立を防ぐため関係省庁が連携して、しっかり対応する体制を検討する」と前向きな姿勢を示しました。
2021年「このミステリーがすごい!」大賞受賞作。主人公は、おカネ大好きの敏腕の若手弁護士・剣持麗子。「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」という前代未聞の遺言状を残して、大手製薬会社・森川製薬の御曹司・森川栄治が死去する。栄治はわずか3か月だけだが、麗子の元カレだった。
数百億円とも思われる遺産目当てに何人もが"犯人"として手を上げる。そして名乗り出た栄治の友人・篠田から麗子は代理人を頼まれる。栄治は重度のうつ病で体力も低下、インフルエンザで死んだというが、本当はどうなのか。森川家でいったい何が起きているのか。「完璧な殺害計画をたてよう。あなたを犯人にしてあげる」と麗子は意気込み、軽井沢の現場に乗り込んでいく。奇想天外の展開、キャラの立つ女性弁護士はじつに面白い。著者自身が若き弁護士であればこその魅力あふれる作品。
東日本大震災から10年になる。福島原発事故で放射能に怯え続けた相双地域。南相馬市は、原発の20km内の小高区、30km内の原町区、その外の鹿島区に分かれ、「警戒区域」「緊急時避難準備区域」「非避難区域」として3区域別々の原発被害対策をとらざるを得ず、退避も補償も別々となった。それぞれの地域住民の不安・戸惑い・不満は想像を絶するものがある。本書の副題は「福島・原町の10年」――。この間、原町区の人々はどう生きたか、4つの家族を取り上げたドキュメント。「懸命に生きる」「一所懸命に生きる」「皆で力を合わせて共に生きる」姿には感動する。それに比して「政府とか東電とかのいかにも遠い」こと。この10年も今も放射能に怯え続けた苦悩が胸に迫る。「コロナ禍の東日本大震災から10年」は、その心からまず考えるべきだと思う。
第一章「終戦記念日」は、相馬地域の創価学会婦人部のリーダー松本優子さん。「"自主避難""屋内退避"と言われてもどうすればいいのか」「学校の再開もできない現実」「放射能の危険と圧倒的情報不足」などの大混乱のなかでの闘いの実態。「外部被曝と内部被曝という言葉があるが、南相馬の人間はみんな一人ひとりがあの原発事故が深い"内心被曝"を受けたと思う」という。第二章の「未来の扉」では、㈱北洋舎クリーニング社長・高橋美加子さん(中小同友会相双地区会長)の闘いを紹介する。「南相馬からの便り」を発行し、「"ありがとう"から始めよう! つながろう南相馬」の運動、「鎌田實講演会(歌・さだまさし)」「ファシリテーション運動」「世界一のエコシティの建設」など走り回る。第三章「ほめ日記」は卒寿を迎えた羽根田ヨシさん、息子の妻・民子の看護師(鹿島厚生病院)としての"野戦病院"さながらの闘いを描く。原発事故で医療現場は大混乱、高齢者が亡くなっていく姿は深刻。放射能に怯え、ストレスの重なる浜通りで、6年間も住居を転々とし帰還した羽根田ヨシさんの「ほめ日記」は元気を与えた。復興はこうした庶民一人ひとりの "負けまいとする心" あってのことだ。上がやったのではない。
第四章は「新築開店」――。幕末からの魚屋「てつ魚店」を苦難のなか復活させ、最初は新潟からの魚、そして片道7時間の大回りしての小名浜からの魚の仕入れ、2019年に新築開店した「てつ魚店」の奮闘と福島の漁業、再生エネルギーの問題を抉る。
「高校生等奨学給付金」の追加支給が決定――。コロナ禍で生活が困窮する世帯の高校生を支えるため、住民税非課税世帯を対象とする「高校生等奨学給付金」の追加支給を行なうことが決まりました。先日、成立した2020年度第3次補正予算に盛り込まれ、給付額は最大2万6100円(第1子)。2021年度については追加給付額(年額)と同額を引き上げる方針で、来年度予算案に計上しています。公明党として強く推進したものです。
この給付金は、授業料以外の教育費(教材費など)に使える支援制度。追加の給付額は、オンライン学習に必要な通信費相当額で、国公立、私立ともに全日制・定時制の場合、第1子で2万6100円、15歳以上23歳未満の兄弟姉妹がいる第2子以降で1人当たり1万2000円です。通信制・専攻科は1万2000円となります。全国約40万人の高校生が対象です。
コロナ禍で大変な家庭も多く、「生活支援」をしっかりやっていきます。
幕末の豪商志士、尊攘運動家、一商人の枠を超え尊攘思想を深く理解し、志士たちを物心両面からつきっきりで世話をし、支援してきた白石正一郎。下関の荷受問屋「小倉屋」の八代目当主。白石邸は維新運動に奔走した尊攘志士の拠点であり、宿泊した志士は400人にも及ぶ。西郷隆盛、高杉晋作、平野國臣らを支え、「白石正一郎、白石邸がなければ明治維新は遅れていた」「奇兵隊は高杉晋作が構想を立て、白石正一郎が魂を入れた。白石正一郎は、高杉晋作にその生命を賭けた」。しかも、家業が傾き、借金に苦しみながらも支援を続け、維新後は名誉栄達を求めず、散った志士たちの慰霊・顕彰に専念したという。筋金入りの "愛国の覚悟"が伝わってくる。
まず、長州、そして下関という位置と白石正一郎だ。この地は地勢的にも情報の集約地、交差点であり、しかも欧米列強とぶつかった舞台であり、幕末から維新の歴史的出来事が集約された地であった。その拠点となったのが、白石邸であった。この地に白石正一郎という人物がいたことは、まさに宿命的。高杉晋作の奇兵隊、七卿の都落ちも、倒幕への転換も、この地この人あってのことだろう。
もう一つ、「あれほど維新に貢献した白石が、新政府樹立後に中央の東京に出ていかなかった」「名誉栄達よりも志士たちの慰霊・顕彰に専念した」ことだ。そこには、「明治政府の正体、明治維新というものへの不信感」「勤王を志し、王政復古に至るまで私財を投げ出したのは、功名心や己の利益ではない。ひたむきな勤王心の砦があった」「私財をなげうって支えた平野國臣、高杉晋作が死に、西郷隆盛も後に城山で自死する」・・・・・・。心中に横溢する維新へと突き動かした猛きナショナリズム、精神のもつ違和感はどうしようもないものだったのだろうか。