今度生まれたら.jpg「終わった人」「すぐ死ぬんだから」に続き、"人生100年"「長寿社会」であるがゆえに考えさせる本。「人生をやり直したい」「あの時、あっちの道を選んでいれば・・・・・・」というのは、人によって悔恨もあれば、ごく普通に感情を伴うことなく思うこともあろう。自分自身にとってみると「回り道は真っすぐ道」だったということだ。誰しもターニングポイントは何回かある。いい時も悪い時も人生には4回位あるというが、迷った時は積極策をとる。悔いのない方を選ぶことだろう。「我慢して人生を無駄にしちゃダメ。・・・・・・他人に気を遣って生き続けて、何が楽しい」「昭和40年代は野蛮な時代だった(結婚して当然。オールドミスなどという言葉が平然と社会で通った)」「時代の風潮に合わせすぎるな。それらはすぐに変わっていく」「人間は死ぬ日まで、何が起きるかわからない。とにかく楽しんで生きるためには、自分から動く。何かを始める」「自分に与えられた人生を元気に、弾んで歩いて行く。佐保子にとっても私にとっても"今度生まれたら"より今なのだ」と本書にある通りだ。「私自身が『年を召した方』になってみると、口当たりがよく『人間に年齢は関係ない』とは言い難い。ただし、たとえ70を過ぎても、一生の一部分を、また生活の一部分を、やり直すことはできる」という。老境に入って、体も頭も若いが、仕事はない、社会も必要としてくれない、結局趣味に生きるしかないのか・・・・・・。「俺の人生、私の人生とは何だったのか」は「今度生まれたら」と同じ位相にある。

主人公は70歳になった佐川夏江。老境の夫婦、そして息子たちの家庭と人生、姉夫婦やかつて職場の同僚であった人の人生を描く。70代以降の人生をどうするか、長寿社会ゆえの大変な問題を、軽妙にテンポよく、ズバっと描く。さすが内館牧子さんとうなってしまうほどだ。


12日にファイザー社のワクチンが到着、いよいよ日本でのワクチン接種が始まります。まず医療従事者等、そして4月から高齢者、その後に一般の人という順になり、費用は無料(国庫負担)。実行するのは各市区町村で、その仕事は膨大。今、懸命に体制づくりをしています。各人に通知するクーポン券の発送、接種日程の調整(接種は2回必要)、接種場所や医療従事者の確保‥‥‥‥。混乱しないよう国民への情報提供がきわめて重要です。

準備途上であるため、その都度課題が見えてきます。「広い体育館等の集団接種と診療所等の個別接種の組み合わせ」「ワクチンの保管方法」「運搬方法(ファイザー社のはバイクや自転車は揺れるのでダメ)」「住所地以外の接種のあり方」「医療関係者のシフトや問診の仕方」「アストラゼネカ社のワクチンは仏、独などは65歳以上は推奨しない、としている問題」「変異株へのワクチン対処の問題」など、多くの課題に直面中です。国として、「ワクチンの有効性・安全性」を確認し、円滑な接種へ万全を期し準備を整えています。公明党はこれまで以上に「ワクチンの安全・安心・円滑」な接種に全力をあげます。

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明治維新の意味.jpg明治維新とは何だったのか。「絶対主義の確立」とか「ブルジョワ革命」などと捉える論調もあったが、「マルクス主義のカテゴリーにあてはまらない民族革命であり、西洋の脅威に直面した日本が、近代化を遂げなければ独立を維持できないと考えて行った革命であった」(吉野作造の継承者・岡義武)を引きつつ、北岡さんは「要するに維新から内閣制度の創設、憲法の制定、議会の開設に至る変革は、既得権益を持つ特権層を打破し、様々な制約を取り除いた民主化革命。自由化革命であり、人材登用革命であった」という。さらに「明治維新のキーワードは公議輿論だった。江戸時代に発言できなかった者が発言し、‥‥‥私的な利益は度外視して国益だけを考えて、ベストの議論を取る。それが大久保の言う公議輿論だった」「明治維新以来の政治で最も驚くべきことは、日本が直面した最重要課題に政治が取り組み、ベストの人材を起用して、驚くべきスピードで決定と実行を進めていることである」という。政治が「制度化」され、リーダーが「セクショナル・インタレスト」に陥り、政治のダイナミズムを失っているとの現代政治への眼は鋭く、本質を剔る。そこに「明治維新の意味を問う」という"意味"があると思う。

ペリー来航、阿部正弘の開明官僚の抜擢、桜田門外の変と公武合体路線、大政奉還、公議政体と王政復古、五箇条の御誓文、版籍奉還、廃藩置県‥‥‥。「明治4年に断行された廃藩置県こそは、維新革命の性格を決定づけ、またその後の方向を決める最も重要な決定であった」「島津久光は激怒する。西郷の引き出しと久光の説得は難題だった。(大久保は)この問題のために、実に渾身の努力をしていたのである」と大久保の志をもった戦いを讃える。公議輿論、明治の精神だ。

大村益次郎の抜擢と徴兵制度、地租改正、電信・電話・鉄道や教育の整備、岩倉使節団、そして征韓論‥‥‥。「自分を慕う仲間を裏切ることなく、しかし同志である大久保の国家建設を妨害することもなく、戦士の同胞の思い出のなかに死んでいくことが、西郷の希望であったと私は考える。これは政治的人間である大久保と、非政治的・宗教的人間である西郷の決定的に違うところであった」という。征韓論から西南戦争に至る難局。大久保は「行詰りとなったならば、万難を排して踏破するなり、または迂回するなり、臨機に適当な手段を用いなければならぬ。其処で静定の工夫を回らしたならば、必ず何処にか活路が見出されるものである‥‥‥」と語ったという。そして大久保の死、自由民権運動と明治14年政変、朝鮮問題と条約改正、明治憲法の制定、官僚制度の整備、天皇大権の強大、超然演説と議会政治の定着、元老から政党へ、政治の制度化と合理化‥‥‥。

「明治維新を再検討してみて、もっとも印象的なのは‥‥‥日本が直面した最も重要な課題に、最も優れた才能が全力で取り組んでいたということである。‥‥‥その国が直面する最も重大な課題に、最も優れた才能が全力で取り組んでいるかどうかが、決定的に重要だと痛感している」と結び、現代政治への警告を発している。


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JR上中里駅のホームドアが2月3日に運用開始――。2月7日、岡本三成衆院議員と同駅を視察しました。駅を利用している方々から喜びの声が溢れています。北区はJR山手線・京浜東北線・東北本線(高崎線・宇都宮線)・埼京線、東京メトロ南北線や東京さくらトラム(都電荒川線)など鉄道路線も多く、それに伴い駅が極めて多く、とても便利な地域です。

また、2月末にはJR北赤羽駅(赤羽口)に待望のエレベーターが運用開始される見込みです。

これからも安全対策とバリアフリー化を進めていきます。


コロナと潜水服.jpg「コロナと潜水服」をはじめとする5つの短篇集。いずれも不思議なことが起きるが、ファンタジック。人間の深層心理をきわめて柔らかく、すっきりと描く。人生が肯定的、時々シニカルで塩をきかせるようで、心持よい。

「海の家」――妻の不倫にショックを受けた小説家が、葉山の古民家に一人で住む。誰もいないはずの家だが、子供の足音が聞こえる。海岸で不良たちに暴行されるが、助けに来た子供が・・・・・・。夫の優柔不断、妻の甘え上手、したたかさとズルさ。

「ファイトクラブ」――早期退職の勧告に抵抗し、"追い出し部屋"的な警備員の仕事につかされた中年の男たち。仕事が終わった後、ボクシングを始めると、コーチが現われ、面白くなってのめり込む。そして事件が起きる。

「占い師」――プロ野球選手と付き合うフリー女性アナウンサー。好調でブレイクすればうれしいが、モテモテで自分から離れそう。悩んで"占い師"に相談する。「鏡子」と名乗る"占い師"は、自分を映す"鏡"だったのか。

「コロナと潜水服」――5歳になる息子はどうも不思議な能力を持っているらしい。「バアバ、今日はお出かけしちゃダメ」「パパ、そこに座っちゃダメ」などと突然言うと、コロナ感染者が出る。パパは防護のためになんと"潜水服"を着る。

「パンダに乗って」――会社を興して20年、社長として頑張ってきた自分へのご褒美として念願の初代フィアット・パンダを新潟で手に入れた男。パンダに乗ると、次々に元の持ち主の友人たちの所に車が案内し連れていくのだった。

「海の家」の子供、「ファイトクラブ」のコーチ、「占い師」の鏡子、「コロナと潜水服」の5歳の息子、「パンダに乗って」のパンダの元持ち主・・・・・・。いずれもあり得ないものだが、どこか100%ないかといえば「?」・・・・・・。心を映す"鏡"かも知れぬ。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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