首都直下地震が首都圏を襲った場合、どう首都圏を守り抜くか――3月24日、首都直下地震の最大の防災拠点であり、政府の現地対策本部となる東京臨海広域防災公園(お台場、有明の丘地区)を視察しました。これには公明党の三浦のぶひろ参院議員、こいそ善彦都議、のがみ純子都議、加藤まさゆき都議、まつば多美子都議、細田いさむ区議(都議選予定候補)が参加、国と都が連携をとって動けることを考えてのものとなりました。
首都直下地震が起きた場合、中心の対策本部は首相官邸。そしてこの有明の広域防災拠点が現地対策本部となり、政府や警察、消防、自衛隊、東京都など首都圏の各県・市の行政が一体となって対策を行います。広さは13.2ヘクタール、大型ヘリが7機駐機できるヘリポートを備え、応援部隊、医療、物資の3部門のコントロールセンターとして機能します。オペレーションルームは約960㎡の大部屋で、各機関の職員約200名が一つの部屋で画面を見ながら情報共有して指揮をとります。まさに官邸の指令と災害現場をつなぐ現場の大拠点で、頻繁に防災訓練が行われています。
この日は、この状況を視察するとともに、平時に防災の体験や学習・訓練できるように造られた防災体験ゾーンや学習ゾーンも回りました。
国と東京都、首都圏各県が連携をとり、防災・災害対策の先頭に公明党が立って頑張ります。
新渡戸稲造の「武士道」は、武士道そのものを解説したものではない。明治維新以来、欧米の文明と文化が流入し、「日本人とは何か」が問われる。日本人のあらぬ誤解が世界に流出する。そうした時代、たぐいまれな語学力と人格と行動力をもった新渡戸稲造は、本書副題にある「愛国心と国際心」をもって「日本の道徳思想文化論」として、世界に「日本と日本人の考え方・行動を支配する倫理道徳思想」を発進した。「日本はキリスト教国ではないが、野蛮な国ではなく、欧米に劣らぬ倫理道徳観をもち、礼儀をわきまえた文明国である」ことを知らせようとした志をもっての「発進者」であった。
「道徳とは人間の完成」「教育の目的は人格の完成」「平等は人格の平等ではなく、物質的平等の意味にまで堕落した」「デモクラシーは国の形態ではなく、国の品性、もしくは色合いである」「ノブレス・オブリージュ」「和を以て貴しとなす」・・・・・・。
1862年(文久2年)に盛岡で生まれ、1884年(21歳)で海外に出て、アメリカやドイツで学び、アメリカ人女性(メリー・エルキントン)と結婚、母校の札幌農学校で教鞭をとり、37歳の時に「武士道」を書く。第1高等学校、東京帝国大学、植民政策の第一人者でもあり、ジュネーブの国際連盟では初代事務次長。「排日運動はアメリカの建国理念に反する」として激しい論陣を張る一方で、満州事変では軍部の暴走を批判するとともに中国の主張にも真っ向から反論――。1933年(昭和8年)カナダで亡くなるまで、日本の思想・文化の世界への発進者としての道を貫いた。
十年前、京都で学生時代を過ごした仲間6人が、鞍馬の火祭りを見に行く。そこで仲間の1人、長谷川さんが忽然と姿を消す。そして5人は10年ぶりに鞍馬の火祭りに集まり、1人ずつ旅先で出会った不思議な体験を語る。いずれも岸田道夫という画家の「夜行」という絵画に関係したものであった。舞台は「尾道」「奥飛騨」「津軽」「天竜峡」「京都・鞍馬」――。何が真実で、何が夢想なのか。不思議な異界が語られ、夜の闇の世界に引き込まれる。
私の学生時代の京都、とくに故郷の飯田線やその奥・天竜峡。きわめてよくわかる。人のほとんどいない暗い闇とポッと灯る光。たしかに人の一生、喧噪のなかの今の自分、人の幸せ等々を考えさせられる時空だった。長い夜、暗い静寂な世界、日常を脱した異次元の世界に引き込まれ、時空を超えた瞑想、夢、妄想の世界に入ることができる。無意識のなかに沈んだ末那識、阿羅耶識への旅を開示してくれている。
「『生前退位』が突きつける皇位継承の危機」が副題。有識者会議のヒアリングでも発言している笠原氏。「日本人にとって皇室のもつ統合力はいつの時代にも不可欠である」「今日もなお、天皇や皇室は社会秩序の安定化に資する重要な役割を果たしている。・・・・・・いつ国家的危機が到来するかわからない。『日本国民統合の象徴』である天皇の存在意義はここにある。国家の存亡にかかわる天皇の統合力を軽視することはできない」「わが国の歴史上、天皇は政治的宗教的権威であり、政治権力を行使する政権を権威化し、その施政に正統性を付与することで、政治的コストを低減し政治秩序を安定化する役割を果たしてきた」「退位の制度化により憲法が定める象徴としての国民統合の機能が低下するおそれがある」「天皇の権威の二元化、二重権威、強制的退位、恣意的退位の懸念があり、統合力の著しい低下は免れない」「人心離叛した幕府の失政を批判した岩倉具視は『人心ノ収攬』を訴え、天皇、皇室の統合力に期待を寄せた」・・・・・・。
本書は歴史を俯瞰し、特に7世紀。皇極女帝、天智天皇、天武天皇、持統女帝、藤原不比等、乙巳の変、壬申の乱等を通じ、天皇制国家の成立と皇位継承を示している。そして次に、幕末から明治への激動のなかでの幕府と天皇を、孝明天皇、和宮降嫁、大政奉還、岩倉や大久保、王政復古、明治憲法体制と旧皇室典範を解説する。そして「皇統の危機に直面する現代の日本」として、象徴天皇制度と現行皇室典範、天皇の統合力・権威と皇統の意義等を語り、現状を剔抉する。
中学・高校時代、ふとしたきっかけで"事件"が起きる。その関係者は心に傷を負い、ずっとそれを抱え引きずる。乗り越えられないが、自らを納得させて生きなければならない。「10年後の卒業文集」「20年後の宿題」「15年後の補習」の3話。いずれも手紙のやり取りが始まり、真相が見えてくるが、関係した1人1人のその時の思いと行動が、いかに微妙に食い違っていたかが明らかになっていく。心に迫る傑作。
「10年後の卒業文集」――。高校時代の元放送部の浩一と静香の結婚式で仲間が再会するが、浩一の恋人だった千秋が姿を見せない。千秋は仲間と登った地元の山で滑り落ち、顔に大けがを負って、音信不通だった。
「20年後の宿題」――。高校教師の敦史は小学校時代の恩師・竹沢真智子の依頼で、前任の学校での教え子6人の消息を聞きに行く。20年前、先生夫妻と6人はピクニックに行き、川に1人が流され、助けようとした先生の夫が溺れ死ぬという事件があった。
「15年後の補習」――。28歳になっている純一は、恋人の万里子に突然、国際ボランティアの一員として発展途上国に行くことを告げる。そして往復書簡が始まる。15年前、1人が焼死、1人が飛降り自殺という事件があり、それに関係していたのが純一と万里子だった。