21世紀は都市の時代と呼ばれ、2050年には世界の人口の3分の2にあたる60億人以上が都市に居住するといわれる。都市人口比率が10%程度であったものが、上昇傾向は加速し、アジアでは50%超になるのにわずか50~60年といわれる。
インフラ輸出に安倍内閣は力を入れ、私自身、アジア諸国に直接働きかけてきた。急速進展し、JOINもつくった。しかしいまや道路、鉄道、港湾、上下水道、電力等の個別ではなく、都市そのものをトータルで推進する、それが都市輸出だ。本書の副題は「都市ソリューションが拓く未来」だ。
しかも日本は、都市の課題を次々と解決してきた都市課題先進国であり、「都市課題解決策(都市ソリューション)の宝庫ニッポン」だという。日本の都市力はすぐれている。「都市開発――生活と文化の質を両立」「交通・TOD――鉄道・自動車・徒歩による通勤が都市の発展に貢献」「廃棄物――豊かな生活でも"ゴミ"を増やさない」「水処理――世界最低水準の無収水率(漏水・盗水が少ない)」「防災――災害リスクは高いが、備えは世界最高レベル」など、いずれも日本を取り巻く難しい環境のなかで築き上げてきたものだ。省エネやインフラの老朽化対策も急速度に進めてきている。
原田昇さん、野田由美子さん等による「都市ソリューション研究会」の第一弾が本書だが、更なる活躍を期待したい。
30日、全国各地の道づくり女性団体の代表が一堂に会し都内で開催された「全国みちづくり女性団体交流会2015『女性が語る道づくり・地域づくりフォーラム』」に出席、挨拶をしました。
全国各地で道づくりの女性の会が結成されており、ものすごく元気でパワフルな団体です。国交大臣時代、全国の各地でハッピ姿の女性の方々から「道路を少しでも早くつくって下さい」「急病の時、お産の時、病院も遠く困っている。命の道を早くつないでください」「道路ができれば、この地域は生き返る」「観光がふえているが、道が狭くて渋滞で困っている」ーーーこうした強い要望を受けてきました。
今大会のテーマは「"つなごう!道・ひと・地域" ~女性が道を支える、地域を支える」です。何回もお会いしている方々の全国大会だけに、大変な熱気で、迎えていただきました。今回参加したのは北は青森の下北半島縦貫道路から、南は九州の東九州自動車道を推進している女性の方々。学者、有識者も交えたシンポジウムも行われ、大変充実した大会でした。
「いまこそ、自由主義、再興せよ」と副題にある。「信なき言論煙の如し」というが、激烈な時代のなかで信念を貫く。言論人の使命を貫く。屹立した人間のギリギリ、究極の姿がすっくと浮かぶ。
「石橋湛山全集」全16巻に収録されている膨大な論文のなかから70本を抜き出し、船橋さんがそれに加えて語る。湛山の思想と精神に迫る論文解題だが、「湛山を読む」であるとともに「湛山で時代を読む」ということだ。
論文は1914年の「断乎として自由主義の政策を執る可し」から、1947年の「私の公職追放に対する見解」に及ぶ。第一次世界大戦への日本の参戦、対華21か条要求、1920年代の世界の潮流と日本の民主主義の産みの苦しみの軌跡、金解禁論争、満州事変から日中戦争そして三国同盟、太平洋戦争へなだれ込む日本――そのなかで権力を監視し、ペンで信念を貫く石橋湛山の姿に、感ずること、考えることはあまりにも多い。
幕末の江戸。名所の歌川広重、武者の歌川国芳、似顔の歌川豊国(三代)の「歌川の三羽鳥」が相次いで死去した。三代豊国の娘婿である絵師・清太郎(二代国貞)は、四代豊国となることを期待されながらも、躊躇して踏み出せない。自らの画力が生真面目すぎて相応しくないこと、そして弟弟子の奔放なめくるめくような才気溢れる姿も認めざるを得ないこと。思いは複雑だ。歌川を誰が背負うのか。
そして時代は激変し、幕末から明治へ。幕末の江戸は大揺れに揺れる。江戸は、薩長からも、世界からも浸食される。人心も文化も。江戸が異質の東京へと飲み込まれていく。「江戸が、遠のいていく」「大衆が愛した浮世絵自体が錦絵自体がはじき飛ばされ廃れていく」「憂き世を浮き世として笑い飛ばす熱も、華も消し去られていく」「浮かれ暮らして、憂さ晴らし。――ははは、お江戸が飛んで行かぁ」・・・・・・。
清太郎は四代豊国として立つ。しかし、時を経ずして、卒中で倒れ、右手が使えない。「ヨイヨイ豊国、ヨイ豊」とカゲ口をたたかれる。「師匠。おれは――やっぱり画が描きてぇ」――衝動が、天にまで衝き上がる。感動作。