つまをめとらば.jpgこのたびの第154回直木賞受賞作。一年前、青山文平さんの「鬼はもとより」が、直木賞をとると思っていた。今回の「つまをめとらば」が受章して本当によかった。絶妙の筆致、奥行きといい、人心の機微、日常における人生の信念と芯、そしてゆったり流れる時間とテンポの心地良さ・・・・・・。

「つまをめとらば」は、幼なじみの五十過ぎた爺二人が再会し、貞次郎が「この齢になってなんだがな、世帯を持とうと思っておるのだ」ということから話が始まる。互いの人生経験、男と女、他人がいっしょになる夫婦というもの、結婚と離縁・・・・・・。「貞次郎との二人暮らしの日が重なるにつれて、省吾も、自分がなにをいちばん欲していたかに気づいていった。それは、つまり、貞次郎が言った平穏だった。平らかであり、穏やかである、ということだった」「三人の妻といるときは平穏とは無縁だった。常に、彼女たちなりの正しさに、付き合わなければならなかった。・・・・・・なにしろ、彼女たちは、まちがっていないのである」「1人暮らしになったときは、・・・・・・諸々の煩わしさから解き放たれたことを喜んだが、これは束の間で、すぐに孤独が目の前に居座った。静謐ではあったが、平穏ではなかった」「貞次郎にとって最も大事なのは、素晴らしい算学の問題をつくって、空と己が一つになることなのだろう」――。男の強さと女の靭さ。男の煩悩と女の生死。男の野望と女の現実。その他人が結ばれる夫婦というもの。本書はこのほか「つゆかせぎ」「乳付」など五篇が加わっている。いずれもいい。


沖縄 政経セミナー0216.jpg2月15日、那覇市で行われた公明党沖縄県本部(代表=糸洲朝則県会議員)の政経文化セミナーに出席、挨拶をしました。これには秋野公造参院議員(参院選予定候補=比例区)のほか、先の市長選で劇的な勝利を飾った佐喜眞淳・宜野湾市長ら多数の来賓が出席。6月5日の県議選、7月の参院選のスタートを切りました。これに先立ち、沖縄県中小建設業協会、沖縄県建設業協会と意見交換をしたあと、女性の集いに出席し挨拶をしました。

沖縄は振興策が進んでいますが、とくに観光が拡大。2015年は前年より約70万人増え776万人になり、なかでも外国人観光客は前年の60万人から150万人に増えました。また、アジア(8か所)との地の利を生かした航空貨物の取扱量が08年のスタート時の1800トンと比べて100倍の18万トンに伸び、経済波及効果、雇用効果ともに顕著な成長がみられます。

沖縄 女性の集い 0216.jpgのサムネイル画像人の流れと物流が大きく変わり、2020年供用開始を目指している那覇空港第二滑走路の工事が着々と進んでいますが、他にも港湾の整備や渋滞対策に必要となる鉄軌道の整備等の要請を受けました。

参院選、県議選に向け力強いスタートが切れました。頑張ります。


23区格差.jpg諸データで東京各区の違いを分析している。各区をランク付けするのは、いかがかと思うが、日本をけん引し、世界一の東京をめざしての役割分担として各区の特徴を考えてみるということだ。各区が独立してバラバラに競い合っている訳ではないからだ。

高齢化率、病院や大学の数、所得、子育てのための諸施策、防災・減災や犯罪抑止への努力、人口の増減や外国人の比率、1人暮らしの内容と現実・・・・・・。それぞれ提起される現実のデータはシビアだ。しかし、東京各区が懸命に努力しており、変化している。事実、そのデータも急速に変わってきている。「住」ということは、まさに○○区に住むことだが、「何かの縁」にふれることと、「住宅費」「交通の利便性」などがかなりの要素を占めると思う。私の住んだり、活動してきた北区、板橋区、足立区、文京区、台東区、中央区などは、個性も違うが、いずれもいい所だ。


新東名 テープカット0213.jpg13日、新東名高速道路の浜松いなさジャンクションから豊田東ジャンクション間の約55kmが開通、愛知県内の新東名は全線開通となりました。このうち私の生まれ故郷である新城市での開通式に参加。新城市始まって以来の大きなイベントで、地元の多くの方々と喜びを共にしました。

新城市といっても、全国的に知っている人が少ない小さな市ですが、発展への起爆力となることが期待されます。新城、豊橋、豊川、蒲郡、田原などの東三河地域は、世界第4位の自動車輸出入台数を取り扱う三河湾をはじめ、自動車関連企業も多く立地。農業でもキャベツ、柿やミカンなどの果物も豊富で、あさりの漁獲量も全国一。工業・農業・漁業などバランスのとれたポテンシャルの高い地域です。この新東名が、かつては田舎といわれた新城を走り、大きな変貌をみせています。大きな工場もすでに建ち始めました。

新東名 開通式0213.jpg観光面でも、あの長篠の古戦場の地域がジャンクションとなり、鳳来寺山や茶臼山の芝桜や中設楽の花祭りなど、奥三河の観光圏域が拡大します。インフラのストック効果は大きいものがあります。私の通った新城小学校などの児童とともに、テープカットをしました。


「絶筆」で人間を読む.jpgゴヤの「我が子を喰らうサトゥルヌス」から最後の「俺はまだ学ぶぞ」、ミレーの絶筆「鳥の巣狩り」、ティツィアーノの絶筆「ピエタ」など、すさまじい気迫の絵画もあれば、色彩の艶は褪せ、無味乾燥の教科書のごときボッティチェリの「誹謗」、魂が抜け落ちたダヴィッドの「ヴィーナスに武器を解かれた軍神マルス」などの晩年の絵画もある。ボッティチェリ、ラファエロ、ブリューゲル、グレコ、ルーベンスからフェルメール、ゴッホに至るまでの15人の画家の「絶筆」に迫り、生きざまを剔り出す。「畢竟、芸術作品は、産み出した本人を語るものだから」と中野さんはいう。

「明治時代に西洋文化を積極的に学び始めた日本は、ちょうどそのころ大人気を博していた印象派作品を、絵画の手本と思ってしまった節がある。・・・・・・それは長い絵画史におけるほんの最近の潮流にすぎない。西欧絵画はまず神とともにあり、王侯の嗜好とともにあり、時代ごとの民衆の生活とともにあった」・・・・・・。中野京子さんの著作にはいつも引き込まれる。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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