指揮官の条件.jpg海上自衛隊元横須賀地方統監。2011年の東日本大震災において海上自衛隊災害派遣部隊(海災部隊)の指揮を執った。防衛大学校、海上自衛隊の現場のなかで、体に刻まれた指揮官のあるべき姿・資質、連綿と受け継がれている精神を描いている。

「きちんと任務を遂行する。かっちり仕事をするのは誠実で使命感のある人だ」「指揮官の役割は部隊が持つ潜在的なエネルギー(人や装備の総合力)を最大限に引き出して組織として力を発揮することだ」「指揮官は、富士の裾野に咲く、一輪の花や雑草の心が理解されなければいけない」「上から目線ではなく、常に鳥瞰を忘れてはいけない」「優しいだけでは部下は育たない」「マニュアル人間やマニュアル組織を作らない。応用動作ができる人、応用に強い人。それには基本に忠実であることが、応用動作への最短距離である」「指揮官の心得――誰よりも耐え、誰よりも忍び、誰よりも努力し、誰よりも心を砕き、誰よりも求めない」――。その通りだ。


天国でまた会おう.jpg「その女アレックス」のピエール・ルメートルの作品。仏の権威ある文学賞・ゴンクール賞受賞作。

第一次世界大戦も終結間近の1918年11月、武勲を狙った仏軍のプラデル中尉は斥候に出した二人を背後から射殺し、仏軍の怒りをあおる。それに気付いたアルベールもプラデルに生き埋めにされるが、エドゥアールに救い出される。しかし、エドゥアールも砲弾の破片によって顔の半分を失ってしまう。

戦後、二人はプラデルの目が光るなか、人目を避けるようにパリで極貧の生活をする。そして二人は、全国の戦没者の記念碑を建て、遺族から金を集めるという架空の事業"国家をゆるがす詐欺"を企てる。一方、プラデルは戦没者の墓地建設で大儲けしようとする。物語はどんどん緊迫の度を増し、二転三転、急テンポで突き進む。

「アルベールは倫理の名のもとに、復讐を夢見ていた」「エドゥアールは違った。復讐では、彼の目ざす正義の理想は満たされない。(個人的な問題ではない)ひとりの人間に責任を負わせるのでは、彼は満足できなかった。国には平和が戻ったけれど、エドゥアールは戦争に対し宣戦布告をしていた」――。

戦争にある本質的な絶望と熱狂。それは戦後においても、戦死者追悼の熱狂や生還した兵士への冷淡、虚無となって打ち続くことが描かれる。


訪日外国人客急増 ―― 昨年1973万人に!

広島県本部280119.jpg19日、広島市で開かれた公明党広島県本部(代表=斉藤鉄夫幹事長代行)の新年賀詞交歓会に出席、挨拶をしました。これには斉藤氏と、桝屋敬悟衆院議員、谷あい正明参院議員(参院選予定候補=比例区)のほか、湯崎英彦知事、松井一実広島市長ら多数の来賓が出席しました。

私は、「デフレ脱却ができるところまで経済最優先を貫く重要な年だ」「本日、昨年の訪日外国人数が1973万7000人となったことが発表された。観光には"見るもの""食べもの""買いもの"の三つが揃うことが大切だ。"見るもの"は景観とともに文化・歴史・伝統の奥深さが重要だ。平和の原点・広島は、さらに訪日外国人を呼び寄せるポテンシャルを持っているし、けん引して欲しい」と訴えました。

20160120 観光1300万.jpgのサムネイル画像訪日外国人数は、24年が836万人、私が国土交通大臣(観光庁所管)になった1年目の25年に、1000万人を超えて1036万人。26年が1341万人、そして昨年が1973万7000
人と急増。2020年に2000万人の政府目標を、実質的に5年前倒しでほぼ達成のところまできました。訪日外国人客の旅行消費額も一気に増えて3兆4771億円となり、旅行観光収支も大阪万博以来の大幅のプラスになりました。今後、3000万人時代を目指すわけですが、党に観光立国推進本部を立ち上げ、力を入れています。空港・航空の拡充、地方空港の充実、クルーズ船の誘致、ホテル不足への対応、Wi-Fiなどの外国人観光客の誘客対応など、多くの課題解決に全力をあげます。観光は成長産業の大きな柱に間違いなくなりました。さらに頑張ります。


誰も知らない新しい日米関係.jpg「日本は1950年のサンフランシスコ条約成立によって独立して以来、国の安全保障をすべてアメリカに依存し、危機的な状況に陥ることを避けることができた。だがいまやアメリカの影響力は急速に後退している。日本が築き上げてきた繁栄を守ろうとするのであれば、政治と経済においてだけでなく、軍事でも、主権に基づく独自性の高い行動をとる必要がある」「戦争というのは孤立した現象ではなくて、政治行為の一部である。これは世界の常識である」という。副題として「集団的自衛権で何が変わる」とある。

世界情勢は大きく変化している。それは米国の国民意識・関心の変化であり、"世界の警察官"米国の指導力や米軍の変化であり、ロシア・中国・ウクライナ・シリア・イスラム国等をめぐる状況変化であり、シェール革命をはじめとするエネルギー事情の変化であり、レーザー攻撃兵器や核兵器小型化、サイバー攻撃等の技術の変化など多岐にわたる。2016年の米国大統領選挙戦の現状には、それらが如実に現われていると指摘する。


アラブからのメッセージ.jpg「私がUAEから届けた『3.11』への支援」と副題にある。1990年にUAEの男性と結婚してUAE(アラブ首長国連邦)に移住した著者。東日本大震災にドバイで「チャリティー着物ショー」を開催し、支援に乗り出す。政治・文化・慣習・システムの違いに直面し、苦難に次ぐ苦難。「認可のない義援金集めが犯罪となるこの国では、相手が認可をこの目に見せるまでは、着物ショーをする気は全くなかった」「2001年以来、アメリカの監視団が国際送金を厳視しているため、目的のはっきりした送金の形をとる必要がある」ために、大変な苦労が続く。「ほとほと私の神経も磨り減った」という6か月間だったという。しかし、その経過を語るなかで、政治・宗教・習慣・文化の違いのなかで、いかに心の交流が図られていくかが描かれる。現場の現実だけに生々しく、きわめて説得力をもつ。

UAE、イスラーム、イフタール・・・・・・。これからの世界と日本を考えるなか、重要な指摘があふれている。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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