あん ドリアン助川.jpg「どら焼きのどら春」――この店は、線路沿いの道から1本路地を抜けた桜通りという名の商店街にあった。店を任せられている千太郎はバイトの求人を見てやってきた指の曲がった高齢の女性(76歳)・吉井徳江を雇う。そのつくる「あん」がとても旨く、店は繁盛しはじめる。しかし徳江の指に込められた閉じ込められた人生が少しずつ少しずつ語られていって・・・・・・。

「誰にも生まれてきた意味がある」「生きる意味がある」「私たちはこの世を観るために、聞くために生まれてきた。この世はただそれだけを望んでいた」「私がいなければ(観る人がいなければ)、この満月はなかった」「世のため人のために働いてみたかった」――。自ら背負った人生の苦しみから得た人生の深淵が語られる。「喜びは苦しみと背中合わせだった」ということも。そして「現実だけ見ていると死にたくなる。囲いを越えた心で、生きるしかない」ことも。

ラストは桜をモチーフにして、静けさと沈黙の時間が流れ、心に迫ってくる。しかもそうではないかと思いつつ読み進んだが、徳江が「もう一度あの桜が見たい」と言っていた故郷の桜は、私が生まれ育った愛知県新城市の桜淵公園の桜。私も時折り、その思いにかられる。なお、徳江はハンセン病だったが、このほど最高裁は、裁判を裁判所外の隔離施設などで行った特別法廷について、運用は違法で、患者への差別を助長するものとして謝罪した。


よこまち余話.jpg昔なつかしい長屋、幅一間ほどで東西に細く伸び、東の端には一対の銀杏に両脇を護られた石段、その先が天神様のお社。この路地に住むお針子の齣江や老婆、魚屋のおかみさんと息子の浩一と浩三。そして友人の学生・遠野さん。

日本の街の原風景に、時間がゆったりと流れ、人情の交流がキメ細かく、しっとりとしてなつかしい。くっきりと切り取られた近代の世ではなく、色心不二、依正不二、境界が溶け出していく能でいう"あわいの世界"が、じつに心持よく、やさしさをもって描き出されていく。


酒田港②.jpgのサムネイル画像22日、山形県酒田市に行き、酒田港視察や国政報告会に参加しました。国政報告会は、庄内開発協議会主催で酒田市・鶴岡市など庄内全域から多くの方々が出席し、「前国土交通大臣 太田昭宏氏 国政報告会」と銘打って、開催されたもの。庄内の発展や参議院選挙・公明党勝利に向けて、意気上がる会合になりました。


国政報告会に先立ち、丸山至・酒田市長(庄内開発協議会会長)と酒田港を視察。酒田港は近年の東アジア、ロシアでの日本産乳幼児用紙おむつブームで輸出量が増加し、平成26年度は週2便であった国際定期コンテナの就航も昨年(平成27年度)は週6便となり、輸出量は2年連続で過去最高を更新。私は国土交通省とも連携を取り、コンテナクレーンやリーチスタッカーの増設などの港湾機能強化を推進。さらに国際クルーズ船の就航に向け、旅客船ターミナルの整備など、日本海側の国際拠点港として拡充策を図っています。

山形 国政報告会②.jpg国政報告会には、庄内の酒田市・鶴岡市の市長や有力者、各議員など約1300名が参加、大変な盛り上がりでした。私は「これからパナマ運河の拡張、北極海航路の拡大などで物流が増大する。日本海側に位置する酒田港は重要だ。また、長年念願の日本海沿岸東北自動車道の事業着手を決めさせていただいたが、早く開通するよう頑張りたい。災害対策や産業・経済の面からも宮城県石巻から山形県酒田を結ぶ"みちのくウエストライン"の整備も大切だ。庄内はより活性化するポテンシャルを持っている」と述べました。

また、会場で庄内開発協議会の新田嘉一・最高顧問(株式会社平田牧場・会長)、丸山至・会長(酒田市長)、榎本政規・副会長(鶴岡市長)等から「庄内地域の社会基盤の整備について――日沿道の建設促進、新庄酒田道路の整備促進」などの要望を受けました。終了後、新田嘉一・最高顧問、各市長、有力者の方々と懇談を行いました。

庄内 要望書①.jpg


新文明学4 国土学.jpg国土学を「国民国家の現象学」として提起している。「国土学」とは、「国家の存続と繁栄のために国土のあり方を考える学問」であり、「自然の脅威」「外敵の脅威」「自滅の脅威」を克服し、繁栄と存続に資する"あるべき国土"を考えるために、国民国家の「現象」すべてを包括的に捉え、解釈する「国民国家の現象学」だ。仏法でいう「依正不二」「三世間」論を根底にすることだと私は思う。Ⅰ部とⅢ部で藤井聡さんが、その哲学を語っている。

大石久和さんが第Ⅱ部で論じた「日本の国土学」は、具体的で卓越している。他国とは比較にならない脆弱国土・日本。それに日本人はどう働きかけてきたか。そのなかで、日本の社会と日本人の意識構造はどうつくられてきたのか。近年、安全・安心の国家、防災・減災と経済成長のエンジンであるインフラ整備の観点がなぜ脱落し、論点から切り離されてきたのか。財政、経済との関連で、インフラ整備のフロー効果ばかり論じられ、なぜ本来のストック効果を見ないできたのか。先進各国はどうインフラ整備に取り組んできたのか。インフラ整備の日本の現状はどうであり、何が今必要なのか・・・・・・。

社会を下から支える基礎構造であるインフラ概念を理解していない日本の現状に、哲学的かつ具体的に迫る。災害が頻発する脆弱国土日本なのに、インフラ整備が見落とされてきた不思議な日本。防災と経済成長・競争力強化のためのインフラ整備が今ほど大切な時はない。


平成28年熊本地震災害対策本部.jpg 20160417災害募金.jpg

16(土)、17(日)、18(月)の3日――。16日朝、党の「平成28年熊本地震災害対策本部」の緊急会合を開催。また、埼玉県所沢市での西田まこと(参院選予定候補=埼玉選挙区)参院幹事長の国政報告会に出席し、防災・減災対策に全力をあげると挨拶。

17日、東京都北区で行われた「平成28年熊本地震災害支援・北区民の会」の街頭募金活動に青年党員とともに参加。また、企業や現地とも連携をとり、毛布などの空輸について政府と連携、推進をしました。

また昨日は、兵庫県明石総支部(支部長=梅田宏希)の政経セミナー(参議院兵庫選挙区予定候補の伊藤たかえさんらが参加)に行き講演をするとともに、有力者との要請・懇談をしました。

20160416所沢1.jpg IMG_2504.JPG

4月14日21時26分頃に発生した熊本地震は今も余震が続いていますが、前震や本震(16日1時25分頃)があり、これまでにない大きな不安を与えています。

2012年2月、党の「防災・減災ニューディール」を推進した私は、その後3年弱の国交大臣期間、「防災・減災・老朽化対策、メンテナンス・耐震化」を公共事業のメインストリームにしてきました。

「災害列島・日本」「脆弱国土・日本」ですが、とにかく今は、救命・救援に全力をあげます。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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