首都高・中央環状線が全線開通──。3月7日、品川区五反田の山手トンネル内で行われた開通式に出席し、舛添東京都知事をはじめ多くの関係者とともにテープカットを行いました。
今回開通したのは大橋ジャンクション~大井ジャンクション間の9.4km。これで、江戸川区の葛西から小菅、江北、板橋、西新宿、大橋を経て大井に至る中央環状線の全線、約47kmが開通しました。首都圏の3環状道路(圏央道、外環道、中央環状線)で最初のリングの完成です。
この開通効果は絶大です。
まず渋滞緩和。都心に集中している通過交通が分散されるため、都心の渋滞が大幅に緩和されます。
そして羽田空港へのアクセス改善。例えば新宿から羽田空港への所要時間は、約40分から約20分に短縮されます。
さらに、池袋から大井までの山手トンネル(18.2km)は日本最長の道路トンネル。世界でもノルウェーのレアダールトンネル(24.5km)に次ぐ第2位の長さです。最新の地上発進型シールド工法により、我が国の高い技術力を示すものとなりました。
ニューヨーク、パリ、上海など世界の主要都市と比べても、最も渋滞の少ない大都市と言われている東京ですが、この中央環状の全線開通、そして3環状の整備によって、さらに世界でも例のない"渋滞のない大都市"をめざすことになります。
圏央道もこれから開通が相次ぎ、来年3月までには神奈川県から八王子、埼玉を通って成田空港まで一気につながる予定です。既に埼玉などでは沿道に企業が次々と立地しています。3環状のネットワーク強化で、人やモノの流れが大きく変わり、物流や観光などで大きな成長につながります。
東京、首都圏の国際競争力強化に向けて、これからも取り組みを続けていきます。
「18歳選挙権」がついに実現の方向に動き始めました。
昨日5日、「18歳選挙権」の実現に向けた公職選挙法などの一部改正案が、自民、公明、民主、維新などの6党から共同提出されました。
公明党は、この問題を1970年代から国会審議で取り上げ、選挙公約にもしてきました。とくにこの数年、公明党青年委員会が実現に向けて取り組み、常に論議をリードしてきました。私も、憲法調査会等で本格的検討を主張し、党全体の推進をバックアップしてきました。
世界では、先進国はもちろんのこと、198カ国・地域の内、176カ国・地域が18歳以上に選挙権を与えています。
これから未来に向けてスピードがますます速くなる時代――社会保障や税制などの課題を、若者が政治に参加して考えることは非常に重要になると思います。来年夏の参院選からスタートできるよう、今国会での成立をめざします。
国土のグランドデザインの必要性は、その都度指摘され、「日本列島改造論」「田園都市構想」や全国総合開発計画(全総)などによって提起されてきた。しかしこの20年、未来を描くという作業が十分行われてこなかった。特にこの10数年、「急激な人口減少、少子化」「異次元の高齢化」「都市間競争の激化などグローバリゼーションの進展」「巨大災害の切迫、インフラの老朽化」「地球環境問題」「ICTなど技術革新の進展」という劇的な構造変化に直面。日本はデフレに沈み、未来を描くという意欲すら失っていたように思われる。
私は衆議院議員になってから、国土のグランドデザインの必要性を常に提唱してきたが、国土交通大臣に就任してその策定に着手。約1年半をかけて議論し、昨年7月4日に「国土のグランドデザイン2050~対流促進型国土の形成~」を発表することができた。
そのキーワードは「コンパクト プラス ネットワーク」と「対流促進型国土」である。対流は温度差があってはじめて起こる。コンパクトシティを進める各都市、各地域が個性を発揮して、違いがあるから対流が起き、連携が始まる。私は、公共事業は長期的視野に立って行われなければならないと考えており、2050年という長期を見据えて国土づくりに取り組む柱がこの「国土のグランドデザイン2050」だ。
本書は、この作業に取り組んでいただいた大西隆氏、奥野信宏氏、小田切徳美氏、坂村健氏、寺島実郎氏、藤沢久美氏、野城智也氏、橋本哲実氏をはじめ、国交省の総力を挙げて作り上げ、結実したものである(上記各氏のコメントも本書に載っている)。分かりやすい図表も多く取り入れ、私と増田寛也氏との対談「全国の市町村よ、人口減少に『知恵』と『ネットワーク』で立ち向かえ」や、グランドデザイン2050の本文も掲載している。
時あたかも「地方創生」が重要テーマとなっている。国土づくり、地域づくり、まちづくりに取り組む多くの方々に是非とも読んでいただきたい。
イスラーム国の衝撃――長い歴史、来歴、根本思想、アラブの春、イスラーム主義穏健派の台頭と失墜、組織、巧みなメディア戦略・・・・・・。その実態、実情を真正面から解読してくれる。
「『イスラーム国』の台頭は、グローバル・ジハードの思想と運動の発展と『アラブの春』によって生じた政治変動の帰結が結びついたところに生じた」「『アラブの春』は短期的にアラブ諸国と中東地域全体に不安定と混沌をもたらした」「『アラブの春』をきっかけにした中央政府の揺らぎは辺境地帯の統治の弛緩をもたらし、『統治されない空間』を各地に生み出すと共に、それぞれの辺境地帯の混乱が相互に影響しあい、新たな紛争を連鎖していく。そこにグローバル・ジハード運動が介在していくことで、いっそう混乱は深まっていく」・・・・・・。
中東の近現代史のなかで、「イスラーム国」の台頭という現象をどう位置づけるか。その急激な伸張の影響で中東秩序の溶解が加速している。構造変動の軋みがますます表面化する様相を呈していると、池内さんはいう。そして台頭の背景には、中東地域への米国の一極覇権構造の希薄化も指摘している。中東秩序の行方がどうなるか。そのために世界各国、中東域内の地域大国はどう動くか。重大局面にあることを示している。
第一次世界大戦勃発から100年を経た2014年、ウクライナ問題やイスラム国など「戦争の危機」を感じさせるような出来事が世界で起きている。これはいったい何であるのか。世界史のなかで今、我々はどこに立っているのか。人類のなかで類比できる思考があるとするなら、解決への一歩が見えてくるのではないか。
アンリ・ベルクソンは「問題は正しく提起された時に、それ自体が解決である」と言ったが、本書を読んでそれを想起した。佐藤さんは「資本主義と帝国主義」「ナショナリズム」「キリスト教とイスラム」の3つの角度で歴史を俯瞰し、現在を「新・帝国主義の時代」と位置付け、鮮やかに、しかも重厚に読み解く。「ウクライナ問題」「イスラム国」もこの視座に立った時に新たな地平が浮かび上がる。「沖縄」についても、新たな言及がなされている。
「国内で大きな格差が生まれ、精神が空洞化している、新・帝国主義が進行する現在、ナショナリズムが再び息を吹き返している。合理性だけでは割り切れないナショナリズムは、近現代人の宗教と言うことができる。・・・・・・その暴走を阻止するために、私たちは歴史には複数の見方があることを学ばなければいけない」「社会の危機に対して、復古主義・原理主義的な運動が起こり、地域や領土を越えて拡散していく点では共通している」「近代の枠組みのなかで戦争を止めるには、近代の力を使うしかない。それが私の言う啓蒙主義であり、モダンのリサイクルだ。・・・・・・もう1つは、プレモダンの精神、言い換えれば、『見えない世界』へのセンスを磨くことだ」――。
矛盾撞着の人間の巨大集合の成す濁流の歴史。最後の藤代泰三先生の言葉に『見えない世界』への謙虚な探究を見た。