13,000年前から2300年前くらいの1万年以上も続いた縄文時代――。きれいな水と空気、大地から実をとり、狩りをする。食べ物も豊富にあって、天変地異が起こらず、他人と仲良く暮らすことを願った縄文人。人は、自然と対決では勿論なく、共生というよりも、自然に抱かれて生きてきたようだ。ゆったりとした時空のなかで、人は自然の声を聞き、人の心に敏感。本書には「泣く」「祈る」「人と自然との交流」が、文明の夾雑物を一切排除して描かれる。全ての過剰を除去したシンプル、原点、原風景の心持良さだ。
ライアの"ラ"は「五」を意味する。天・地・火・水・神。この世の全てを表わす。"イ"は「朗らか」、"ア"は「結ばれる」――。縄文時代のライアと、現代の大森桃子が結びついて主人公となる。縄文の魅力とロマンが感動的に流れ出る。
森沢明夫さんの「津軽百年食堂」「青森ドロップキッカーズ」に続く青森三部作。鈴木杏樹主演で映画化され、近く公開される。楽しみだ。
「道の駅」が「第7回日本マーケティング大賞」を受賞──。5月26日、全国「道の駅」連絡会会長の本田敏秋・岩手県遠野市長が表彰式から直ちにそのトロフィーを持って、国土交通大臣室に報告に駆けつけてくれました。
日本マーケティング大賞はマーケティングの視点から最も優れたヒット商品を表彰するもの。第1回はユニクロのヒートテック、第2回はサントリーの角ハイボールなど、これまでは民間の商品が受賞してきました。公共の取り組みが受賞したのは今回の「道の駅」が初めてのことです。
「道の駅」は今では全国1059か所まで広がり、年間売り上げは2100億円。私は「地方創生の手段は、右手に観光、左手に道の駅だ」と言っていますが、今回の受賞はその注目の高さの現われです。
本田市長からは、「道の駅で地方の意識を変え、資源を活かしていきたい」「全国の道の駅で取り組みを広げて頑張っていきたい」と意欲的な発言がありました。これからも「道の駅」がますます盛り上がっていくようしっかり支援していきます。

全盛を誇った日本マクドナルドが苦戦していることを分析・レポートしている。マクドナルドを日本化しようとした藤田田氏(1971年~2003年)と、米国式経営を志向した原田泳幸氏の経営(2004年)だが、不思議にもほぼ同じような結果、一致をもたらしている――それを分析している。
1993年、バブル崩壊後の消費低迷で売り上げが急減したことに対し、ディスカウント路線と店舗拡大戦略で対応した藤田氏。ブランドイメージが低下したところにBSE問題(2001年)が追い討ちをかけた。米国式経営を持ち込み新商品をヒットさせた原田氏だが、商品の値頃感の失墜やほかの外食チェーンやコンビニに顧客を奪われていく。マクドナルドの経営理念(QSC+V)(品質Q、サービスS、清潔度C+お値打ち感V)、サービスのトライアングル(企業・従業員・顧客の満足、感動と満足の三角形)は現場の人間の努力があって成立するものだが、それが崩れてきた。また、イノベーションの不足もめだつと指摘する。
欧米人が19世紀から20世紀にかけて発明した最強の3つのビジネスモデル。百貨店、食品スーパー、FCシステムはいずれも、苦戦を強いられている。変化激しい社会、構造的な変化のなかで、定見を保持、鍛えつつ、短期的収益だけにとらわれない経営は至難のことだと思われるが、あらゆる組織が問われていることだ。真正面から問いかけられた思いだ。
21世紀の全体主義――問題意識は同じだ。「思考停止」が「凡庸」な人々を生み出し、巨大な悪魔「全体主義」を生む。1951年、ハンナ・アーレントの「全体主義の起原」は「反ユダヤ主義」「帝国主義」「全体主義」の三部から成る。そして大衆の出現なくして全体主義は成立することはなかったと指摘する。フランクフルト学派、ホイジンガ、フロム、オルテガ等々、私の20代は大衆社会化状況のなかで全体の中への個の埋没現象、ファシズム論を学び、書き、語ったが、今はない。事態は逆にそこまで進んでいるといってよい。
藤井さんは、21世紀の「凡庸」という大罪、思考停止の病理を具体的に示す。「いじめ」「リセット願望」「俗情に結びつく構造改革」「米経済界を席巻した新自由主義」「グローバリズム全体主義」「大衆迎合的プロパガンダの横行」「全体主義的テロル」・・・・・・。そして、人間は人間である以上、思考停止してはならない責務があるという。