辛亥革命(1911年)から100年。「君は兵を挙げたまえ。我は財を挙げて支援す」――梅屋庄吉が孫文を生涯、支援した資金は、今でいえばなんと1兆円
とも2兆円とも。辛亥革命後のクーデターで失脚して亡命した孫文と宋慶齢の結婚式も、新宿区百人町の梅屋庄吉の広大な邸宅で行われる。
時は1500年台前半。北条氏の風摩小太郎、扇谷上杉氏の曽我冬之助。武田氏の山本勘助――この三人が関東の支配権をめぐって鬼神のごとき死闘を繰り広げ
るが、本書はその助走。主人公は早雲庵宗瑞(後の北条早雲)が見出した逸材・小太郎。「人材は見つけるもの」といわれるが、息子・氏綱の子である千代丸の
代になっての軍配者として小太郎を育てる。20年、30年後のことを考えてだ。
太田あきひろです。
「原発賠償仮払い法」が昨日29日、成立しました。今回の原発事故の被害者への賠償金を、東電に代わり国の責任で早期に仮払いをする議員立法で、公明党が主導してきたものです。事故の収束や諸対応が遅れに遅れていることから、この「仮払い法」成立は、福島県民の安心につながる大きな力です。
一方、急激な超円高は深刻。しかし、政府はまるで無関心であるかのように傍観するだけ、ひどい状況です。ここにきて、日本の経済界は「77円台ではとてもやっていけない」と、悲鳴を上げています。復興の担い手たるべき輸出企業がダメージを受けていることを傍観視してはなりません。
武田さんの『「核」論』の増補。本格的。私自身の歴史を思いつつ(ゴジラや鉄腕アトム、万博も)、昭和40年代後半にたずさわった「原子力船むつ」や「低
線量被ばく」問題、お会いした武谷三男さん、広瀬隆さん、高木仁三郎さんなどを思い出しつつ、また、衆院憲法調査会などでの憲法論争を考えつつ読んだ。原
爆被害にあった日本、米国との強調で来た日本、核エネルギーを科学の力で開放し制御する原発という技術を手に入れた日本――。原発「ハンタイ」「スイシ
ン」の対立のなか、議論は深まったか、成果をみたか。原子力は科学や経済を超えたまさに戦後日本そのものの濁流のなかに位置してきた。武田さんは立地にし
てもJCO事故などにしても、常に「弱者」にシワ寄せされた現実を浮き彫りにし、弱者を虐げる社会か否かを問え、という。当然押しつけてくる「スイシン」
に批判の目が注がれるが、「ハンタイ」運動家にも「科学的な思考を手放すリリースポイントが早すぎる」など厳しい。それは寺田寅彦の「ものを怖がらな過ぎ
たり、怖がり過ぎたりするのはやさしいが、正当に怖がることは、なかなかむつかしい」を真面目に進もうとする、武田さんの誠実さと人間へのやさしさから来
るものだと思う

尊
き人生とは師弟に生きること。師の心と弟子の誓い。宇宙のなかで、自然のなかで、市井に生きる尊さと創造すべき価値。世界中に三千万本の木を植えた作中に
出てくるモデル・横浜国大宮脇昭先生に対する師の言葉「見よ、この大地を!
39億年の地球の生命の歴史と巨大な太陽のエネルギーの下での生命のドラマが目の前にある。まず現場に出て、目で見て、匂いを嗅いで、舐めて触って調べ
ろ!
現代人には二つのタイプがある。見えるものしか見ないタイプと、見えないものを見ようと努力するタイプだ。きみは後者だ。現場が発しているかすかな情報か
ら見えない全体を読み取りなさい」――。主人公の青年・坪木仁志は、佐伯平蔵からこの言葉を送られる。
最後に、小説では珍しく「あとがき」がある。宮本さんの思いだと思うが、本書は人生、哲学そのものの小説だ。
