20110221-book.JPG  「新 興国が動かす世界経済の新ルール」と副題にあり、世界をめぐる4000兆円の「ホームレスマネー」が今、大挙して新興国(「BRICS」だけでなく 「VITAMIN」の時代)へと向かっている。大前さんのいうVITAMINとは、ヴェトナム、インドネシア、タイとトルコのT、アルゼンチンと南アフリ カのA、メキシコ、イランとイラク、そしてナイジェリアだ。とくにインドネシアやトルコを紹介している

  成熟経済では金利を下げて資金供給しても、経済自体が資金を必要としてないからそれを吸収しない。少子高齢化した先進国で、活性化した経済が持続することはない。だから金融緩和も財政出動も効果は出ない。

  大 前さんは怒り、あきれて、それでも数多くの提言をする。「内向き、下向き、うしろ向き」の三拍子を捨てて、「外向き、上向き、前向き」に進め。国債暴落の 危機が迫っているではないか。日本にはそれでも1400兆円もの個人金融資産が手つかずで眠っているではないか。これが吹き飛ぶ前に、税金ではなくこの 1400兆円と世界にあふれる4000兆円のホームレス・マネーを使って経済を活性化する仕掛けをつくれ。しかも円高で、技術もあり、発展させた経験も使 えるではないか。世界に向けて、そして国内でも新しい都市そのものをつくり出すなど、投資家にとって無視できないほど魅力的な開発プランを発信せよ。きわ めて具体的。分析や論議ではなくもう動かなくてはだめだと言っている。




20110218-book.JPG琉球王朝500年の末期。テンペスト――まさに世界も嵐、王朝も嵐、人心も嵐。アヘン戦争、列強が迫り、ペリー来航(浦賀より前に琉球へ)、そして大政奉 還、明治維新、廃藩置県――巨大であった清国の冊封(さっぽう)体制と薩摩藩との間のなかで、王朝国家の存続をかけて生き抜く主人公(父親の期待に応える ために宦官と偽り、孫寧温として王宮入りを果たす天才美少女・真鶴=女性として王の側室ともなる)それを囲む愛憎からむ人々。

  とにかく、波瀾万丈、奇想天外、時代の嵐と王朝内の権力闘争・毀誉褒貶、愛とロマンの宝塚を想起する大ドラマで面白い。九死に一生の連続で、そのダイナ ミックさは、息つくひまがないが、この時代、想像を絶する大変さ、混乱や悲惨、悲しみがあっただろうと思いをはせる。1872年に琉球藩設置、1879年 に琉球の取り潰し(琉球処分)、500年の琉球王朝が終わりを告げる。
  仲間由紀恵主演で舞台化されるが、この長編をどうやって演ずるのだろうか。


090717-1-book.JPGまず、南北朝時代を描いた、しかも村人の生活から時代の空気を描いたのは面白いし、あまり例がないのではなかろうか。しかも史実の裏付けがある。人物の配置と個性も鮮やか。黒澤明の「七人の侍」とはむしろ違っていて、これは悪党の襲来に備え、8人の侍を雇った村、弩を手にした因幡の百姓の物語だが、むしろその背景を描いている。

   柿渋を特産とし、塩との交易によって豊かな村をつくるということも背景にあるし、南北朝時代、楠木正成の活躍と死も物語の背景にある。


 太田あきひろです。

  昨夜は都心も大変な雪でしたが、今日は青空が広がっています。

 「昨年の名目GDP(ドル換算)で日本が中国に抜かれた(世界三位に)」「昨年10 - 12月期の実質GDPが0.3%減、年率換算で1.1%減で5四半期ぶりのマイナス成長」――昨日の内閣府発表です。懸念される要素は多々ありますが、大事なことは、景気・経済を回復させること、しっかりした成長戦略をブレることなく遂行する断固たる姿勢です。

   しかし、短期の金融・財政政策がいつも遅いこと、そしてしっかりした景気・経済運営へのリーダーシップが欠如していることが政府の問題です。この不況・デフレ下で増税路線の先行は禁物。景気・経済回復を先頭に立てて、経済構造改革を常に進め、成果を見てただちに財政再建に入るという戦略が重要です。激動する経済を見る動体視力が不可欠です。

  今年は長いデフレを克服し、経済正常化への確たる道を歩むべき重要な年です。世界と日本の経済を大きく見れば、デフレ要因の「信用収縮」「株や地価下落の逆資産効果」「商品価格高騰の交易条件悪化」「円高による輸出減」を改善するチャンスです。そのベクトルを生かす日本の景気・経済運営がきわめて重要です。しかし、景気・経済の回復への強い意志どころか、逆ネジを回すとしか思えない今の政治、しかも大迷走の政治を正さなくてはなりません。

  しっかり頑張ります。

 


20110215-book.JPG  新聞もテレビも出版も危機に瀕しているという。不況、IT、IPAD、キンドルなど社会の構造変化がその原因だといわれるが、内田さんは、そうではない、コミュニケーションの本質について理解しているかどうかだと深くえぐる。

  「国際情勢には通信社のニュースを機械的に配信するだけ」「内政については"善悪二元論"で"犯人探し""ワルモノ叩き"を繰り返す」という定型に安住 し、マニュアル化されたメディアには知見がない。オリジナリティーがない。だから「情報を評価するときに最優先の基準はその情報を得ることによって、世界 の成り立ちについて理解が深まるかどうか」という知的欲求に対応できない。そこに危機がある。「メディアが"何も知らされてない市民"の代表のような、" グッドガイ市民"の立場で報道しているのはおかしい」「クレイマー化するメディア」と手厳しい。

  「知性の劣化」「世論(責任なきみんなという言説)と知見」「教育と"買い物上手になる学生"」「著作権」 「電子書籍」「本棚の持つ欲望」「出版文化がまず照準とすべき相手は"消費者"ではなく"読書人"」「贈与と返礼、コミュニケーション」「ありがとうとい う言葉」を論じてくれているが、いつもながら内田さんは本質をえぐり出している。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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