莫山書話.jpg莫山先生が逝去された。これは1994年に出版され、本年初頭に出された新装本だ。

大正15年、三重県上野市(現・伊賀市)に生まれ、書家として揺るぎない地位を築くが、昭和33年に書壇を退き、詩書画三絶の世界を開く。莫山先生の「境地」ということや「人は歴史とも自然とも対話できる」ということを感じざるをえない。いや元来、人間はそうして生きてきたのだ。

冒頭の「小野道風、空海と最澄、王義之と顔真卿」から一気に莫山先生の境地にのめり込む。


なぜ日本人は落合博満が嫌いか?.jpg「ファンサービスが足りない」
「取材も受けない」
「媚びない、はしゃがない、人目を気にしない」
「嫌われても筋を通す」
「誤解されても言い訳はしない」
 ――批判されようが、「俺は勝つことだけが唯一の仕事」「自分は人気商売じゃなくて"数字商売"」と徹して動く。 不気味さが武器の落合。超合理主義の落合。

他人を気にし、テレビや雑誌でいうことをうのみにし(食でさえも自分で判断できなくなってしまった)、幼稚化する日本人。文化や政治までもどんどん大衆迎合になって、独創性や創造力が低下する一方の二流国に転落するたむろする日本。

これを打開するのが「落合力」、落合の生き方だ。そう、熱烈な長嶋信者・テリー伊藤さんが寡黙にして勝負して勝つ落合を絶賛する。野球を超えて混迷日本の打開がテーマになっている。


マンチュリアンレポート.jpg1928年(昭和3年)6月4日、午前5時23分、奉天(瀋陽)郊外の満鉄線と京奉線が立体交差する地点で起きた、張作霖爆殺事件(満州某重大事件と発表)。

首謀者は関東軍高級参謀・河本大作大佐で、日本の意に従わなくなった(意志をもった) 張作霖を爆殺し、満州の占領を企てた関東軍の仕掛けた軍事的謀略――こういわれるが、真相は闇の中に封じ込められてきた。

浅田次郎さんは、清朝末期の西太后等を描いた「蒼穹の昴」から「珍妃の井戸」、そして張作霖と西太后、袁世凱の運命が交差する「中原の虹」を書き、そして爆殺事件の謎を「マンチュリアン・リポート」として、密使志津中尉から昭和天皇への報告として解き明かそうとした。


アインシュタインの望遠鏡.jpg宇宙の解明は、全く新しい段階に突入したようである。衝撃的だ。

宇宙は何でできているのか――長い間、科学者達が挑んできた課題。今は高性能の望遠鏡のおかげで、はるか遠く、何億光年という光の星まで観測できる。

「アインシュタインの望遠鏡」というのは、これらの望遠鏡とは全く異なり、一般相対性理論――空間と時間はあらゆる質量によって曲げられる――をもとに、「重力」がつくる望遠鏡である。

いわば、宇宙そのものを望遠鏡として使うのである。この重力レンズによって視野の限界は打ち破られ、かつて見ることのできなかった宇宙の暗い領域が明らかになる。

10年ほど前、宇宙物理学は、ダークマター、ダークエネルギーという存在を発見した。


2020年、日本が破綻する日.jpgアジテーションをしているのではない。きわめて冷静に、公然のデータを使い、危機を示し、脱出の方向性を示している。

「債務超過の日本財政」
「埋蔵金で問題は解決しない」
「成長のみで財政は再建できない」
「財政は社会保障の再生プランなしに健全化できない」
「財政赤字は世代間格差だ」
「財政の持続可能性と世代間公平の同時達成が大切」
などを指摘する。

そして解決策として
「事前積み立て」
「世代間公平基本法の制定」
「管理競争の導入」
を示している。

財政・社会保障再生の全体像を示すなか、最も求めているのは、「そうした本格的論議をいつまで政治は逃げているのか」という著者の叫びだと思った。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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