1784894870574.jpg「『危機の時代』を歴史洞察する」が副題。「歴史は繰り返さないが韻を踏む(マーク・トウェイン)」――。「世界が、100年前の時代と似ている。何か、どこか、韻を踏んでいる」と船橋さん等は感じ、石橋湛山から「今、目前にある危機脱出のヒント」を探る。各界の第一人者10人がそれぞれ専門の角度から論じた著作。

192030年代の世界と日本。第一次世界大戦後、新たに設立された国際連盟は、安定的な国際秩序とバランス・オブ・パワーを作り出せず、世界恐慌からの経済不況も不安と不安定を加速させ、第二次世界大戦に突入することに帰着する。日本は経済不況と大陸への勢力圏拡大へと突き進み、満州事変からの15年戦争への泥沼に入る。「国際経済では、米中ともに、市場とサプライチェーン、そしてデジタル、AI、バイオ、クリプト、エネルギー・ 鉱物資源の市場占有権と影響力効果(そして経済的威圧)を極大化する経済の武器化を追求している。その過程で米中の経済デカップリングが進んでいる。一方、国内政治では欧米ともに反エリート、反移民、反多様性のポピュリズムと、排他的ナショナリズムが広がり、中道政治が瓦解し、左右の過激主義政党・勢力が勢いを増している」と船橋さんはまず言う。石橋湛山の「小日本主義」論、「一切を棄つるの覚悟」、「地政学と経済利害を踏まえた湛山のリアリズム」、「社会を敵味方に分断するポピュリズムへの戒め」等、湛山の揺るがぬ思想と行動が抽出される。船橋さんは、「日本に今、最も必要なのは『政治人間』として鍛え抜かれた政治指導者のリアリズムである」と言う。

「日本の政府・軍、そして国民が、勝利に酔いしれて誇大欲求を掲げることのないよう戒めた」「他者と和をなしたければ、他者と利益を分かち合わなければならないという湛山流平和論」「帝国日本の大東亜共栄圏に似た習近平の『一帯一路』」(益尾知佐子)・・・・・・

「ワシントン会議と『一切を棄つるの覚悟』」「『アメリカの世紀』の黄昏に立ち会っている今、国際秩序をあきらめないために、湛山の大胆な構想は今こそ真摯に顧みられるべきだろう」(三牧聖子)・・・・・・

中国をどう観るか。これはいつの時代も日本には重要。「湛山は中国を『独立国』だと措定しながら『自国を統治する能力』がない、とみなし、日本の『真似をしている』と言いながら『文明国と同等の』実力を養おうとしない、と断じていた。まさしく矛盾である。・・・・・・第一次大戦時の『小日本主義』から主張は一貫して変わらなかった。しかし利権『放棄』の主張の論拠をなす中国観自体に矛盾をはらんでいては、その説得力は減退せざるを得ない」(岡本隆司)・・・・・・

「大欲を満すが為に、小欲を棄てよ」「小日本主義」「満蒙の権益は不要」「(日本の国防線は)日本海にて十分」「我らは曖昧の道徳家であってはならぬ、徹底した功利主義者でなければならぬ」と湛山は言う。しかし今、「20世紀初頭からの『極東1905年体制』が揺らぎつつあり、しかも同体制に代わって、すべての関係国・地域が同意できる新たな地域秩序の形成が見通せない。湛山以上の知的格闘が求められている」(千々和泰明)・・・・・・

湛山は日中米ソ平和同盟構想」を唱えるが、今日、「国家が『理に従い義によって』行動する事は、かつて以上に容易なことではない。それでも湛山のこの構想は、日本外交におけるオルタナティブを考えるための座標として、今も光を保ち続けている」(井上正也)・・・・・・

湛山はポピュリズムが、超国家主義を後押しする時代に抗った。「言論機関の任務は極端なる議論に対して中和性を与え健全なる輿論の存在を知らしめる点に存する」と湛山は言うが、超個人主義、それ以上にデジタル・ポピュリズムが席捲する現在だ。「これらの湛山の知見は傾聴に値する」(筒井清輝)・・・・・・

「『責任なき政治家』は『世に於いて最も恐るべき者』」とした湛山。「信念を持ったリアリストの政治家がポピュリズムを抑制する」(境家史郎)・・・・・・

湛山は浜口内閣の緊縮政策を批判し、消費減少を問題として「大に生産を興し消費を増進すべし」とした。「韻を踏んでいる問題」としては、リフレーション政策後の出口戦略。「高橋財政後の湛山の悲痛とも言える主張は、アベノミクスからの出口戦略の難しさをも教えている」「国民の生産力を基本とする経済思想」(牧野邦昭)・・・・・・

「湛山は、ウィルソン主義者であると同時に、ベンサムに見られるような功利主義者でもあった」「『一切を棄つるの覚悟』で言う民族自決と脱植民地化」「湛山の『小日本主義』の外交思想は、戦後の日本外交の中に深く埋め込まれていった」「湛山は政治家に高い道徳や誠実さを求め、政治の世界がポピュリズムに堕落することを強く嫌悪していた」「いまだ湛山が期待していたようなリベラルな国際秩序は確立していない。湛山のプロジェクトは依然として未完である」(細谷雄一)・・・・・・

世界秩序の混迷、世界経済の不安定、デジタル・ポピュリズムの跋扈を眼前にして考えされる諸論文だ。


1784894244640.jpg昨年1月、衝撃作「透析を止めた日」(堀川惠子著)に出会い、林新さんと堀川さんが命をかけた取り組んだ本書を買った。そして本年、川越宗一著「絢爛の法」で、大日本帝国憲法を作り、日本が立憲国家として生きる諸制度作りに命をかけた井上毅の壮絶な人生に触れた。この2つの書から導かれたこの新犬養木堂伝は圧倒的、凄まじいものであった。

犬養木堂----。強権的な藩閥政治に抗い政党政治を日本に築こうと戦い続けた男。腐敗した利権政治を唾棄し清貧を貫いた男。普通選挙を確立した男。軍備増強の波に抗し軍部と対峙し続け満州国樹立を断固阻止しようとした男。5.15事件で軍の凶弾に斃れた総理。「政界の荒野を駆け抜けた狐狼、犬養毅。その死から13年間、この国が焦土と果てるまで、政党政治が復活することは二度となかった」・・・・・・

そして、本書はもう一人、犬養にピタッとついて、まさに物事の本質と犬養の心をよく知り、裏方に徹した「懐刀」古島一雄をもう一人の主人公として描く。「政界の野人」古島は、犬養の死以降も約20年生き抜き、戦後は「吉田茂の指南役」として重きを成した。

「時代が大きく動く時、政治家は誰もが己を試される。その流れに乗るのか、頬かむりで様子を見るのか、それとも濁流に立ち向かうのか」――。

「戦地探偵人」――。明治103月、犬養毅(21)は、西南戦争で近代日本初の従軍記者として戦場を駆け西郷隆盛を追った。

井上毅vs犬養毅。井上は、天皇を頂点とするドイツ型の立憲体制。福沢諭吉を師とする犬養はイギリス型の議員内閣制。明治14年の政変劇から憲法と議会開会をめぐり2人の激突が始まる。大権と民権だが、井上は大権の保持に固執しつつも、立憲主義的であり、議会と国民の権利を書き込むことに苦心した。辣腕の"剃刀"井上毅だ。

明治22211日、大日本帝国憲法が発布され、23年に第一回衆議院議員選挙。犬養は改進党から故郷の岡山3区で当選。民権派の「民党」と政府寄りの「吏党」の対立が帝国議会となる。薩長藩閥は最初から政党の存在を認めていない。政府席の井上毅は舌鋒鋭い""犬養に対した。

犬養を尋ねてきた新聞記者古島一雄(「日本」編集部)、そこで働くようになった正岡子規。日清戦争に突入、二人は従軍記者となる。明治29年、「この国を一等国にしてみせる」と全てを投げ打った井上毅が死ぬ。「痩せて、全身が衰弱し、一滴の血も残らないほどであった」と言う。国家のために汗血を絞り尽くした。同郷の徳富蘇峰が「血の一滴も残さなかった」と追悼文を書いた。

日清戦争、三国干渉、国粋主義の火の玉が大きくなっていく。明治29年、「松隈内閣」が破綻、天敵の自由党と進歩党が手を結び「憲政党」となるが隈板内閣も瓦解。福沢諭吉が死に、正岡子規も壮絶な死を遂げる。

本書で感じるのは、著者と井上毅や正岡子規、そして犬養木堂に共通する志を持った人の精神性みなぎる壮絶な「死に様」「生き様」である。「古島は子規を送る言葉をこうくくった。『僕らが君に学んだのは、俳句にあらず、和歌にあらず、写生文にあらず、すなわち人間はいかにして外界の困難と戦うべきかの問題である。否人間の気力なるものが、如何ほどまで事業を遂行し得るかの問題である』」・・・・・・

山県・桂の藩閥政治に抗う犬養は孤立する。その間に犬養が支援した孫文たちは辛亥革命を成功させ、中華民国を成立させることになる。

いよいよ大正、憲政擁護運動の嵐が来る。「閥族打破、憲政擁護」――。犬養57歳、尾崎54歳。犬養は運動を率いた。「原敬はとにかく犬養の存在を煙たがった。器用に泳ぐのは原の方だ」・・・・・・。桂の策謀、西園寺と犬養の談判、「まさに犬養毅の独壇場だった」。民衆の暴動が内閣を倒し、藩閥政治の行き詰まりを示した「大正政変」だ。しかし政治は混乱した。大隈内閣での「ニ個師団増設」「対華ニ十一ヵ条要求」・・・・・・

犬養は「普通選挙」の実現に力を入れる。「普選の代償」は大きく、結果的に犬養は引退する。

「張作霖爆殺事件」など軍靴の足音がするなか、世界経済の混乱が始まる。突如、政友会の総裁の要請を受ける。犬養74歳。浜口内閣のロンドン海軍軍縮条約会議、統帥権干犯問題の渦中。老獪な犬養はもちろん持論は軍縮だが、「政友会は図体は大きいが政策は無い。この党を政策で引きずり回す事は容易だ。しかし、政党を大きくするには無主義、無節操で、ただ党を大きくすることを考えるのがよく、政策を行おうとすれば党は小さくなる。・・・・・・党は無主義で太り、主義主張に忠実で細る(馬場恒吾『現代人物評論』)」と考える。そして持論を曲げてでも絶対勢力を抱き込む謀略と辛抱強さを持って動いた。「昭和68月、前年11月に銃撃を受け重体となった浜口が息を引き取る。そして翌月918日、関東軍の独断による満州事変が勃発。1931年をイクサ始まると読む易者がいたが、15年戦争の幕が開ける。ひたひたと迫りくる政党政治の終焉を告げる晩鐘が、重く低く鳴り響いていた」と描く。

そして犬養は昭和61213日、総理となる。「見果てぬ夢がとうとう手中に入った」――。軍備増強の軍部の要求に、大蔵大臣を高橋是清にして抵い、国民党の幹部たちと交友の深い犬養は中国に密使を送る。世論は軍拡に流れ、政治家もマスコミまでも軍部に迎合した。そこに上海事変が勃発する。「満州事変を進めれば、必ずや日本は自滅する。吾輩は、たとえ内閣が短命に終わろうとも、やるだけの事はやってみる」――犬養木堂そういう男だ。たとえ死しでも己を貫く正岡子規のごとく「まもなく最後の時を迎えようとする人間の、とことん生き切ろうとする覚悟だったのではないか」と描く。政治家の孤独、そして著者2人のことをも思ってしまう。

312日、犬養は天皇に満州国の承認を拒否することを奏上した。そして51日、NHKラジオで、「内憂外患の対策」の講演演説をする。「私がいう産業立国は、皇国主義じゃない、侵略主義じゃない、これとは正反対のものである。わが大和民族は、海外に出て行っても一切の武装をせず、平和なる工人、平和なる農民、平和なる商人で・・・・・・」――。堀川さんは身が震えるような衝撃を受けた、命がけの覚悟を感じたと語っている。そして515日----。覚悟していたのか、悠然と対応する犬養木堂。撃たれた後も、いくつか指示を出し、「心配するなよ」と気遣う木堂。

驚愕の事実と心情を描いた重厚な突き刺さる衝撃作。


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荒川第二調節池の一部がついに完成(容量1200万トン)――727日、東京・埼玉県南部を洪水から守る荒川第二調節池の工事現場を視察しました。この6月、容量3800万トンのうち1200万トンが運用開始され、荒川の大規模な治水対策が前進しています。現在工事中の第二・第三調節池が2030年度完成を目指して全て完成すると5100万トンとなり、洪水を大きく受け止めてくれます。

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この日、公明党の北区議団全員、川村雄大参院議員、大松、薄井、大竹都議会議員が参加。第二調節池や完成された巨大排水門、囲ぎょう堤、池内水路などを視察しました。以前何回か工事を視察してきましたが、全く形のない状況で工事の大変さがよくわかりました。しかし今回、立派に完成している姿を見て感慨ひとしおでした。

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 今までとは全く違う異常な気象状況となり、洪水の危険は日常的に迫っています。全国109の一級河川、中小河川の洪水対策は、地域全体の「流域治水」として急務です。「タイムライン」「マイタイムライン」「避難対策」も含めさらに協力をお願いしたいと思います。

「災害は現場で起きている」「その解決も現場にある」「政治は結果。仕事をするのが政治家の役割」との思いが身に迫ります。

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1784894054531.jpg電車に乗っても「パーカーを着ている人」が多い。「パーカーおじさん」「カジュアルおばさん」という言葉があるそうで、「年甲斐もなく」というか「イケてる」というか・・・・・・。「パーカーは『ダサい』と言われることの多い服です。パーカーを着る人が『だらしない』だの『年不相応』だのと批判されることも多いし、・・・・・・おしゃれに着るのが難しいアイテムではないでしょうか。にもかかわらず、若い人も、年配の人も、性別に関わらず、みんなパーカーを着ています」から始まる背広・スーツばかり着ている私にとっては、とても新鮮な本。

「人はなぜ服装が気になるのか」「『ダサい』とか『ふさわしい』とは」――。服装の歴史や意味について示している。「ダサい」とは、「格好悪い」や「垢抜けない」を意味するが、その判断は常に揺れ動いている。

そこにあるのは、「規範」と「逸脱」だ。歴史的、社会的、人間関係などから「規範」が作られる。身分の上下(貴族と平民)や、産業革命を経て働きやすい服装が求められたり、M・ウェーバーが指摘するプロテスタンティズムの倫理から華美なものよりシンプルが求められたり、スポーツやレジャーの盛り上がりの影響もあったりする。「スーツはイギリスの貴族から生まれた(チャールズ2世の肖像)」「フランス革命により、自由と平等の象徴へ(革命推進派の長ズボンであるサンキュロット)」「ブランメルのダンディ」「女性の方は色彩や装飾豊かとなったが、社会進出が進むにつれてシンプルに」・・・・・・。「常識」や「規範」は、歴史の流れの中で築かれ、またそれ自体が変わっていったのだ。

「逸脱」――。パーカーは、スポーツや労働のための服であり、カジュアルだから、「パーカーおじさん」もいいが、歳をとると似合わなくなりがちだ。だがここにきて「パーカーを着た税理士たちが、DXで世界を変える!」という本がある。お堅い税理士事務所というより、「パーカーを着て、和気あいあいとしたカジュアルでIT企業のような雰囲気」というわけだ。特にIT企業のリーダーは、スティーブ・ジョブズも超カジュアルなスタイル。これが実は三宅一生のデザインだと言う。そのジョブズが目に止めたのはソニーの制服だったと言う。旧来のビジネスモデルや慣習に囚われないという発信でもある。「古い慣習や旧来のビジネスモデルに挑戦する服装となるのです。それは『スーツ』に対抗する服なのです」・・・・・・。アメリカのドラマで話題となった「スーツ」は、日本版でも楽しかったが、弁護士を騙るための「スーツ」であったことが示されている。

話題は服装・スーツなどの歴史から「2025年のホワイトハウスにおけるスーツを着ないで会談に臨んだゼレンスキー」や「中山服の習近平」、さらには明治4年の「岩倉使節団」を始め実に豊富に取り上げている。式典等と服装、会合と年齢や立場のTPOは難しいものだが、どう考えるかということ自体、葛藤そのものがある意味では面白い。

「流行ばかりを追いかける必要はありません。おしゃれでなくてもいいのです。でも慣習に縛られている必要もありません。外したってよいのです。『ダサい』は、規範から逸脱し、自由になるための力です。・・・・・・服装に正解はありません。ただ、自分にとって『ベスト』な服を着ていられることが一番の幸せなのです」と結んでいる。 


1784893562394.jpg高杉晋作が死を前にして詠んだ「面白きこともなき世を面白く」に「棲みなすものは心なりけり」の下の句をつけたのは女性歌人の野村望東尼(モト)。モトは50代で夫に先立たれ、出家して穏やかな余生を送るはずだったが、嗜んできた歌の師匠を求めて、大坂そして京都に旅する。そこで勤王の志士に出会うなか共感、多くの志士の支援をするようになる。「こげん婆さんになったっちゃ勤王ば唱えて、どげんか世ば変えられんかと逸っとるんやけん、自分でも呆るうったい。女は家ば守るもんやちゅうとに、ほうぼう飛び回った挙げ句、家族にも迷惑ばかけて。恥ずかしい話やばってん」・・・・・・。武家の妻とか母とか祖母とかを離れて、歌の上手な老境の女性が、ただ「本心」に従い生きたいように生きる。幕末の志士たち、あの平野国臣や高杉晋作までも「母」のように「同志」のように慕い安らぎを与えた一女性の姿をくっきりと描く。それはそのまま、長州に隣接する福岡藩内の一女性から見た鮮やかな幕末史となっている。

身分があるわけではないが、やり手で行動的、包み込むような優しさと教養を持った魅力的でちょっと困った"老女"という感じか。志士は皆、惹かれ語らいたくなるのだ。モトも「なぜ勤王運動に身を投じられたか」を聞くたびに、「喜悦で体が満たされていく」のだった。しかし野村家では、「タネは眉間の皺をますます深くした。『野村ん家はお義母様がおらんと回らんけん、妙な運動に肩入れせんごとと申し上げとうとです』」といった具合だ。

桜田門外の変、生麦事件、8.18の政変(1863)、翌年の蛤御門の変(禁門の変)、長州征伐・・・・・・。尊王論、攘夷論の運動は激しく、朝廷、幕府、特に長州も各藩もバラバラで揺れに揺れた。

その中で望東尼から見た志士たちが実に生き生きと描かれる。特に生きていれば龍馬のようになったかもしれない平野国臣、そして高杉晋作だ。本書前半の主役は平野、後半は高杉。高杉はモトに、「わしら、同志じゃけぇな。同志ん中でも、最上の同志じゃけぇ」と言い、島から救われたモトは病床の高杉晋作に最後まで付き添った。高杉はモトだからこそ、全てをさらけ出した。その剥き出しの人間像は限りなく魅力的だ。高杉晋作を支えた尊王攘夷の拠点は長州の豪商・白石正一郎だが、モトもまた心の拠点であったようだ。

モト、野村家を支えたしっかり者のタネ、高杉晋作の妻・雅、愛妾おうの----。「幕末の女たち」と「女たちの見た幕末」が、実に鮮やかに活写された素晴らしい力作。「きみがなき あとよりかれし秋草は 生かへりきて 花さへぞさく」・・・・・・

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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