13日(日)、20日(日)、TOKYO MX1の「東京ホンマもん教室」に出演しました。
藤井聡・京都大学大学院教授との対談で、私の出演部分は、13日が開始20分頃、20日が開始13分頃です。
以下のURLからご覧になれます。
SDGsは、2015年の国連総会で全加盟国が合意し、採択された世界の進むべき「未来のかたち」。貧困、飢餓をなくし、健康と福祉、産業と技術革新、海の豊かさを守るなど、経済・社会・環境にまたがる17の目標と169のターゲットがあり、2030年までの達成をめざす。「だれ一人取り残されない」ための目標を設定しているが、具体策は任されている。「従来型の、問題があって答えを導く問題集とは逆で、答え(目標)は書いてあるが、その答えを導くプロセスは書かれていない」「個別目標を達成するために押えておかねばならないチェックポイント、個別利益と全体利益との整合性をもたせるためのチェックリスト」「達成へ向けルールがなく、到達点だけが示されている」のがSDGsだ。全加盟国が合意し、今、全体に浸透していっているSDGsの意義はきわめて大きい。
「ポスト・コロナ」の"道しるべ"――。新型コロナの猛威のなかの世界。これによって失業、貧困、弱い立場の人への打撃、教育も経済も医療もダメージを受けている時、「だれ一人取り残されない」ためのSDGsが達成されていたら、影響は間違いなく緩和されていたはずだ。働き方や公共交通、GIGAスクール、デジタル化が進んでいればと思うが、だからこそ「ポスト・コロナの"道しるべ"」SDGs、「未来のかたち」SDGsということだ。
SDGsは従来の環境を重視した取り組みを「経済・社会・環境の統合」を実現させた。そして、企業にも「SDGsへの対応が企業価値を高める」「イノベーションの起爆剤となる」「"四方よし""中長期経営戦略""消費者意識の変化"などに対応する」という変化をもたらしている。自治体にも「SDGs未来都市への挑戦」「地方創生の方向性と戦略」「だれ一人取り残されない個性ある都市への志向」等々、取り組みの加速をもたらしている。
SDGsの第一人者である蟹江慶應大教授が解説する。
21日、2021年度予算案が閣議決定されました。一般会計の総額は2020年度当初予算に比べ、3.8%増の106兆6097億円。3年連続で100兆円を超えました。コロナ禍で落ち込む景気の底上げをはかり、コロナ克服へ様々な予算を計上しています。歳入は税収が減り、57兆4480億円にとどまっています。借金にあたる新規国債の発行額は約3割増の43兆5970億円で、財政運営は厳しい状況となります。
この予算では新型コロナウイルスへの対策を中心にして、コロナ対策の予備費として5兆円を計上。もっとも多い社会保障費は35兆8421億円に達しています。また、防災・減災に重要な公共事業費は6兆695億円、防衛費は5兆3235億円になります。
菅内閣発足後、初の編成となる予算ですが、看板政策であるデジタル化や脱炭素への取り組みを加速させ、経済再生を狙うものとなっています。
来年1月の通常国会に提出し、15日に決定した2020年度第3次補正予算案と、今回の2021年度予算案を合わせて「15か月予算」と位置づけ、一体的に編成した予算案の審議が行われます。いずれも早期成立をめざします。
「中国古典に学ぶ『世界最高のリーダー論』」が副題。「貞観政要」は、唐の第2代皇帝、太宗・李世民の言行録。座右の書とする人も多く、北条政子、徳川家康、明治天皇も愛読したという。房玄齢、杜如晦(とじょかい)、魏徴(ぎちょう)の3人の名臣を用いたが、とくに魏徴は、かつては李建成(次男の李世民に殺された兄)に仕えていた外様で、李世民に耳に痛いことを言い続けた。もう一人の功臣・王珪も外様で諫言する部下だった。
出口さんは『貞観政要』のなかの「三鏡」――銅の鏡(自分を映す)、歴史の鏡、人の鏡(部下の直言や諫言を受け入れる)を座右の銘にしているという。納得だ。「十思九徳――いいリーダーに共通する10の思慮と9の徳業」「魏徴は、何かをしなくても、また何かを命令しなくても世の中を治めることができるのが聖天子(徳の高い皇帝という。適材適所に人材を配置することで全てが決まる。あとは信頼して任せる)」「むやみに行使しないのが"強い権力"(権力は正しく使うべきであり、力をもって人民や家臣を服従させてはならない)」「どんな組織も"上に立つ人の器"以上のことはできない」「いっそ"上司の器は空っぽ"にする」「"人がついてくる"と、権力・人事権で"人を従わせる"は大違い」「明君の条件――複数の人の意見、諫言を聞き入れること」「人には瓦タイプ(じっくり育てる)と鉄タイプ(叩いて伸びる)の2つがある」「太宗は3つのことを実践した――"過去の皇帝の失敗に学ぶ""善人を登用する""戯言に耳を貸さない"」「太宗は大局観で捉える君主だったが、"小事が大事"と臣下には小さな問題も放置してはいけないと言った」「国家や組織を治めるには、リーダーが『言(げん)』と『徳』、言葉と人徳を立てることが大事(言葉と人格の言行一致)」「リーダーは目先だけでなく、"時間軸"を頭の中に持て」「思いつきの指示は部下に必ず見抜かれる(信と誠がある人が人を動かす)」・・・・・・。
臣下の劉洎(りゅうき)は、皇太子の教育が行き届いていないとして「読書」「文章」「人との交流」を太宗に上申した。人物を大きくする3要素だ。貞観政要には「『疾風、勁草を知り、板蕩、誠臣を識る』とあり、困難に遭って初めて真価がわかり、天下が乱れた時こそ、その人の忠誠心がわかる」とある。「優秀なリーダーでも管理できるのは10人が限度。太宗は自分は賢くない、すべてに口を出したら人民を惑わすとわかっていた。それで賢良な部下に任せた」「太宗は組織を少数精鋭にする、少数にしたら精鋭になると考えた」「創業と守成――房玄齢は天下平定に艱難辛苦を経験したゆえに創業が難しと考えた。魏徴は天下を安定させ驕りを心配し、守成の難しさを理解していた」・・・・・・。
「君は舟なり、人は水なり」は貞観政要の有名な一句。「水は能く舟を載せ、亦能く舟を覆す」とし、君主が正しい政治を行わなければ、水(人民)は荒れ狂い、舟(君主)を転覆させると言った。そして「有終の美」を飾れる人には「初心を忘れない」「諫めてくれる臣下をもつ」が大事といい、太宗は魏徴の直言を屏風にしたという。
東京から離れた小さな観光の町。若者たちが町おこしを企画するが、コロナ禍で中断を余儀なくされ、寂れと閉塞感が漂う町。そんななか、殺人事件が起きる。殺されたのはとても信頼されていた元中学校教師・神尾英一。東京に住む結婚間近の娘の真世は、動揺・混乱のなか駆けつける。ちょうど同窓会をやろうと同級生が集まることになっており、そのなかには今、人気沸騰のアニメ「幻脳ラビリンス」の作家・針宮克樹や、それで町おこしをしようとしていた建設会社の柏木広大、銀行員の牧原悟、九重梨々香、本間桃子、原口浩平らの面々がいた。捜査が開始されるが、そこに突然現われた神尾英一の弟の武史。これがなんとマジシャン。「俺は警察より先に、自分の手で真相を突き止めたいと思っている」と真世を使いながら、警察を手玉に取って謎を解明していく。周りを翻弄する、まさに心理学に長けた"黒い魔術師"の知恵と仕掛け満載。怪しい、ぶっ飛んだ"お叔父さん"だ。
コロナ禍を背景にした東野圭吾最新作。殺人動機を考えると、"正義"や"善意"というのは真正面から振りかぶられると、この矛盾撞着の社会では、時には困り果てることもあるもの、との思いを深くする。