518QMAUBVsL__SX343_BO1,204,203,200_.jpgブレグジット、トランプ、プーチン――。米・欧・露は日常的に頻繁な交流があり、利害・思惑が交錯する。巨匠ジョン・ル・カレの最新作。1931年のイギリス生まれだから88歳になる。それ自体が凄い。

英国秘密情報部(SIS)のベテラン情報部員ナットは、ロシア関連の作戦遂行後、中年をすぎて引退が囁かれていた。英国はブレグジットで混乱、米国のトランプ政権の変化やロシアの情報部の脅威もあり、人員の吹きだまりのような部署「ヘイブン」支局長として異動になる。着任早々、ナットは新興財閥(オルガルヒ)の怪しい資産の流れを探る作戦の準備に忙殺される。息抜きは近所のスポーツクラブでのバドミントン。向かう所敵なしの彼に、エドという若者が挑戦してきて二人は親しくなる。そんな時、ナットのところに利用価値もないと思われていたロシア人亡命者セルゲイから緊急の連絡が入り、ロシアの大物スパイが英国で活動を始めるようだという。情報部全体が色めき立っていく。

登場人物は多彩。大きなアクションがあるわけではないが、各人物の思惑、本心の読み合い、読み取られないように細心の注意を払う言動や行動、個人と組織の相剋や忠誠心などが、人間存在の核心に迫るかのように繊細に描写される。息苦しいほどのスパイの日常、そしてその命の中に確立された信念や誇り、宿命というべきものが伝わってくる。


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6日(日)、「防災の日」の諸行事が町会を中心に行われました。

コロナ禍でもあり、高層団地ではベランダからの参加の訓練であったり、AEDや初期消火の練習、スタンドパイプの訓練等が行われました。さまざまな工夫が目立ちました。台風10号の襲来という大変な日だけに、緊張感がありました。

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コロナ後の世界 ジャレド・ダイアモンド.jpgこのパンデミックで人類の未来はどう変わるか。世界の知性6人への緊急インタビュー。それぞれの専門家に、率直に聞いているだけに、興味深い。

「独裁国家はパンデミックに強いのか」(ジャレド・ダイアモンド 生物学・生理学・地理学教授でピューリッツァー賞受賞)――。「日本は諸外国に比べて、よくやっているように思う」「未知の感染症は動物が持っているウイルスが人間にも感染するように変異したもの。なぜ中国は何年も前に野生動物市場を閉鎖していなかったのか」「日本の人口減少はアドバンテージになる。日本の高齢者は健康、問題は高齢化ではなく定年退職システム」「移民を受け入れ、女性を家庭から解放しよう」「何よりも大事なのは中国、韓国との関係改善だ。フィンランドを見よ」「21世紀は中国の時代か?」・・・・・・。「AIで人類はレジリエントになれる」(マックス・テグマーク AIの安全性を研究する『生命の未来研究所』を設立した理論物理学者)――。「パンデミックとの闘いは情報戦」「ワクチン・新薬開発にAIが活用できる」「汎用型AI(AGI)となると大量のデータを必要としなくなる」「AIによる自動兵器の脅威に国際禁止協定を」・・・・・・。

「ロックダウンで生まれた新しい働き方(リンダ・グラットン 人材論・組織論の権威で『ライフ・シフト』の著者)」――。「新型コロナは人生100年時代への大きな影響はない」「長寿社会とは"より長く働く社会"」「日本と企業を支配してきた"男女分担の考え方"を変えよ」「日本が戦後の再建に費やした経済成長へのエネルギーを、『個人』『家族』『健康』に注ぎ込め」・・・・・・。「認知バイアスが感染症対策を遅らせた」(スティーブン・ピンカー 進化心理学の第一人者のハーバード大教授)――。「中国の独裁主義が感染拡大を助長した」「いいニュースは報道されないジャーナリズムの罪」「我々の認知能力はバイアスの影響をすぐ受ける」「AIへの不合理な恐怖」・・・・・・。

「新型コロナで強力になったGAFA」(スコット・ギャロウェイ デジタルマーケティングを教えるニューヨーク大学スターン経営大学院教授)――。「パンデミックでビッグテックはますますパワフルに。企業統合の動きが続く」「GAFAはあたかも高速道路の巨大料金所」「GAFAを禁止する国が出てくる」「GAFAはパンデミックでパワフルになり、70~80%の企業は弱体化する」「オンライン教育となると二流大学は倒れていく」「在宅勤務のできる人とできない人の格差が広がる」「BATとGAFAのぶつかる場所はアメリカではなく、アフリカやインド」「GAFAの負の側面から目をそらすな」・・・・・・。

「景気回復はスウッシュ型になる」(ポール・クルーグマン 2008年ノーベル経済学賞)――。「労働人口の20%ほどが突然仕事を奪われ収入がなくなった"人工的な昏睡状態"」「ためらわずにバズーカ砲を撃て(強力な金融緩和策)」「景気回復のカーブはU字型でもV字型でもなくスウッシュ型になる。それも二歩進んで一歩下がる」「消費増税は税収を減らすだけ」「インフレ率を上げれば、実質金利が下がり、個人消費は喚起される。インフレ率が低迷しているのは、企業が賃金を十分に上げないことと、モノの価格を上げたがらないことにある」「インフレ目標を達成するには、減税や公共投資などの財政支出、爆発的財政支出が求められる」「ドイツはEUの"問題児"」「米中貿易戦争に勝者はいない」・・・・・・。

いずれもきわめて率直に語っている。


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5日(土)、党千葉県本部(代表=富田茂之衆院議員)の夏季議員研修会に出席、「議員の使命と責任、誇り」について語りました。

私は「未曾有のコロナ禍で全国民が不安のなかで苦しんでいる。『仕事をする』『結果を出す』のが議員の役割り。悩める人々のために闘おう」と述べました。「君という字を分解するとコロナとなる。人間とは人と人の間で生きるという意味をもつ。君と僕、あなたと私という人間の本質がソーシャルディスタンスなどで遮断されるのがコロナだ」「『文化・芸術』『スポーツ』『観光・旅行・レジャー』『飲食』という人間の豊かさの中核がダメージを受けて いる。最も悩み苦しんでいる人々のために闘う。それが公明党議員だ」「公明党は太陽の党だ。地域を歩き、声をかけ、仕事をして、結果を出す。信頼を積み重ねていこう」「立党精神を胸に、今こそ、現場に入りきって闘おう」と訴えました。


ひこばえ上.jpgひこばえ下.jpg万博に沸く1970年、主人公の長谷川洋一郎が小学校2年の時に家を出て行った父親の記憶はおぼろげだ。48年たった現在、高齢者施設の責任者を務め、結婚した娘が臨月を迎えている彼のもとに、ある日突然、その後全く接触のなかった父親の訃報が届く。意外にも父親・石井信也は洋一郎とそう遠くない土地に住み、一人暮らしを続けていたという。洋一郎は父の住んでいた部屋を訪ね、付き合いのあった人々に出会い、「父はどういう人生だったのか」と、父親の姿を探り当てようとする。再婚した母親、迷惑をかけた父親を悪しざまに言う姉・宏子、父と親しかったトラック仲間・神田や行きつけのスナックのママ・小雪、「自分史」を残そうと相談されていた西条真知子・・・・・・。話を聞くうちに迷惑をあちこちにかけたが、憎めない親父、寂しさを抱え続けた親父の姿が見えてくる。そして、父―息子―孫、理屈を越えた血縁をしみじみ感じるのだ。

「ひこばえ」――。太い木の幹を切って切り株を土台にして、「ひこばえ」がいくつも芽吹く。「娘や息子には会えない。あわせる顔がないってことだな。だが孫には会いたいって言っていた」「自分の蒔いた種が、子どもの代をへて、孫の代にまで続いてるっていうのが、いいじゃないか」「思い出を勝ち負けで分けたらいけん。・・・・・・ええことも悪いこともひっくるめてひとはひとなんよ。あんたらのお父さんは、世間さまに褒めてもらえるようなことはできんかった。あんまり幸せにはなれんかったかもしれん。・・・・・・でもあんたらが幸せになって、あんたらの子どもも孫も、みんな幸せになってくれればええんよ。それでお父さんも・・・・・・お父さんが生きて、この世におったことが報われるんよ」「苦労やら気兼ねやら、ぜーんぶひっくるめて、うちは幸せな人生じゃったよ」・・・・・・。「母は最後にあらためて父の遺骨に手を合わせた」「洋ちゃん、お父さんを連れて来てくれてありがとうな。あんたの親孝行のおかげで、いろんな胸のつかえがとれた」という。人の心には「胸のつかえ」、「寂しさ」があり、それを埋めるには、人の血縁のつながりが不可欠のようだ。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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