"いい話"が続く。最後はドンデン返しのようでいて、暗黒から突き抜け、次元の異なる感動的な"いい話"で着地する。第一章「垣見五郎兵衛の握手会」から最終章「美しい人生」までの8つの連作短編。なつかしい映画の場面が現われ、流れる。
堀尾葉介――。顔もスタイルも抜群で、アイドル時代は圧倒的な人気を博す。俳優に転身した後は、演技力を磨き、数々の映画賞を獲った実力派の国民的俳優。真摯で誠実な人柄で誰もが称賛される好感度抜群の男だ。
各章で登場するのは、仕事も結婚も順風満帆ではなく不器用に生き暗い過去を抱える人々だが、いずれもある場面で堀尾葉介にかかわり、交差する。そこから人生が変わったり、アンビバレントな感情を引きずったりもする。「だし巻きとマックィーンのアランセーター」「ひょうたん池のレッド・オクトーバー」「レプリカントとよもぎのお守り」「真空管と女王陛下のカーボーイ」「炭焼き男とシャワーカーテリング」「ジャックダニエルと春の船」・・・・・・。いずれも"いい話"。題名にある激しい「雨」の日に「涙」を流す出来事は印象的だ。抱え込んだわだかまりが、「人との出会い」「雨」「涙」でふっ切れ、人生を肯定的に描いているのが心持良い。
昨年、病のために47歳の若さで亡くなった伝説のエンジェル投資家、経営コンサルタントの瀧本哲史さん。京大客員准教授として教壇に立ち、「起業論」「交渉論」等を講義するが、衝撃の授業として人気沸騰、そのM・サンデル的な質問を交えての"白熱授業"に大教室は盛り上がった。たしかにそう思う。そこで東大でもやろうということで、2012年6月30日に行なったのがこの講義。2時間。「とりあえずやってみよう。このなかから少しでも自分がやれることをやって、世の中を変えてくれる人がいたらいい。本気でやる気になれば意外とできる。2020年6月30日に、またここで会いましょう。宿題の答え合わせをしよう」と呼びかけて終わっている。惜しいかな、瀧本さんはいない。どうなっただろうかという思いが募る。
言うことはきわめてリアルでシンプルに凝縮される。話にもリズムがあり、巻き込んでいく。「ヒトラーでも橋下徹でもない。誰かすごい人が全て決めてくれればうまく行くのはたぶん嘘」「自分で考え、自分で決めよ。人のふりをした猿にはなるな。人間になろう」「本を読んで終わり、人の話を聞いて終わりではなく、行動せよ!」「教養の役割とは、他の見方、考え方があり得ることを示すこと、『新しい視点』を先人たちの思考や研究を通して手に入れること」「『わかりやすい答え』を求める人向けにインスタントな教えとかノウハウを提供するのって簡単だが意味はない」「最重要の学問は『言葉』である。言語には2つの機能がある。『ロジック(誰もが納得できる理路を言葉にする)』と『レトリック(修辞=言葉をいかに魅力的に伝えるか)』である」・・・・・・。明治維新は言葉の力で国を動かした。行動を変え、仲間を増やし、世の中のルールと空気を変えた。
「世界を変える『学派』をつくれ。僕もマッキンゼーを辞めて、1900億円の負債にあえいでいたタクシー会社・日本交通の経営に参画した。当時29歳、川鍋社長34歳」「世を変えるのは若者だ。パラダイムシフトとは世代交代だ。天動説から地動説に変わったのも50年かけた世代交代だった」「口が達者なニセ預言者ではなく、正しい預言者を見極め、選択せよ」「交渉は『情報戦』、論点をずらし、妥協させるアンカリングの魔力に騙されるな」「大事なのは相手の『理由』をすべて潰せ。違う結論になった時は、なぜ相手はそう考えたかを理解すること」「人生は3勝97敗だ。ベンチャー企業は、100社でうまくいくのは3社ぐらい」「自分の仮説を試せ、見込みのある人を支援せよ、仲間を探せ」「よき航海をゆけ、その人にしかないユニークさは盗まれない」・・・・・・。
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8日、熊本市で行われた「第6回熊本地震復興会議」(公明党熊本県本部主催=城下広作代表)に出席しました。これには、蒲島郁夫県知事をはじめ、江田康幸衆院議員、熊本県下の議員が参加しました。2016年4月に起こった熊本地震から4年7か月、道路や鉄道などインフラの復旧・復興は着実に進んでいますが、今だに900人近い方々が仮設住宅生活を強いられるなど、現場を見るとまだ震災の爪痕が見られます。
私は「立党精神を胸に、一番大変な所に飛び込んで、苦しんでいる人に寄り添い、決定打を打つのが公明党の議員だ」「熊本県は特に、地震、コロナ、豪雨災害に直面している。コロナについては、生活・企業・医療の3つの大きな柱に対して、予備費を最大限活用するなどしてさらに力を入れていく」「豪雨対策においては、流域治水という観点から河川をどうコントロールするか、ハード・ソフト両面からの対策を打っていかなくてはならない」などと挨拶をしました。
復興会議の前後で、地震で被害のあった熊本城の修復状況、この程完成した国道57号線北側復旧ルート、架け替え工事の進む阿蘇大橋(来年3月開通予定)を、それぞれの首長らと現状調査をしました。また、トンネル工事が進んでいる熊本と大分を結ぶ滝室坂のトンネル工事を佐藤義興・阿蘇市長等と共に視察しました。
この世は、たくさんの不思議に溢れている。可視の世界、有限の世界の背後には、それを支える不可視の世界、無限の世界が広がっている。それがある瞬間、記憶の隙間に現われるのかも知れない。「今どきの座敷童子(ザシキワラシ)は、日本家屋じゃなくてビルに棲んでいるってわけだ」「古い建物に棲みついていて、壊される時に姿を現わして、今度は別の建物に移るんじゃないかな。幽霊というより、むしろ座敷童子、今はビル童子か」・・・・・・。白いワンピースに、麦わら帽子。廃ビルに現われる"少女"という"都市伝説"が全体を通じて奏でられる。
古道具屋を営んでいる兄の纐纈太郎。ある瞬間、ある場面で物(モノ)に触れると過去が見える不思議な能力をもつ弟の散多(サンタ)。建築事務所で幅広く仕事をしていた両親が事故死する。二人はその面影を追って、取り壊し予定の建物を訪ねたり、古い「タイル」を探し、"スキマワラシ""あの女の子"に遭遇する。そして「なぜ次男なのに散多(サンタ)なのか」「おまえ、女のきょうだいがいたよね」という生来の疑問を持ち続けていたが、「ハナちゃん」と呼ぶ声が聴こえたり、「醍醐覇南子(ダイゴハナコ)」という女性に出会いから親しみを感ずるのだった。太郎・散多の母の旧姓が"醍醐"であり、太郎とハナコ、そして散多との"縁"の世界をなぜか感ずるのだった。
本当なのか、幻なのか、思い違いなのか。しかし生命の奥底に刻まれた"縁"と"因"の世界が、突如として噴出することは現実にある。その生命の感得が世界を知り、人生を深めるとしみじみ思う。
