2025年、日本の年間死者数は今より20万人以上ふえて150万人を超える。「超高齢社会」であるとともに「多死社会」となる。しかも認知症高齢者は約700万人になる。
「これまでの医療は寿命を延ばす延命に価値をおいてきたが、これからは患者が亡くなるまでの生活の質が大きな指標となる」――。「超高齢社会と終末期医療」「尊厳ある終末期医療」「"在宅医療"という選択ができる社会」「医師・看護師・介護士を含めた地域の連携の体制整備」「人工呼吸器、胃ろうと延命治療・平穏死」「認知症、単身高齢者への寄り添いと看取り」「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)(事前の医療・介護の計画づくり)の考え方や実践」「救命のジレンマに葛藤する医師」・・・・・・。課題は多いが、大きな転換点にあることは間違いない。2025年は近い。真剣に考え取り組む、急な坂にさしかかっている。
「旅立つ人も見送る人も笑顔・満足な死に方」――。小笠原文雄・日本在宅ホスピス協会会長ご自身の"笑顔の事例"を紹介した書。人生の最後の最後まで「延命」と「器械」で迎える「死」ではなく、穏やかな「死に方」を追求している。
「在宅ホスピス緩和ケア」の「在宅」とは暮らしている"処(ところ)"。「ホスピス」とはいのちを見つめ、生き方や死に方、看取りのあり方を考えること。「緩和」とは痛みや苦しみを和らげること。「ケア」とは人と人が関わり、暖かいものが生まれ、生きる希望が湧いて、力が漲ること。「旅立つ人が希望死・満足死・納得死ができたなら、離別の悲しみはあっても、遺族が笑顔で見送ることができる。"なんとめでたいご臨終"と言わずにはいられない」という。それには在宅緩和ケアを行なうスキルがいる。人生の最終章を迎える人と家族を包み込む小笠原さんのスキルが示される。
なかでも「ところ定まれば、こころ定まる」、つまり最期までここにいたいと願う"処"で過ごすことが、いのちの奇跡を生み出す。とくに"家"に帰りたい人が多いという"処"だ。最期まで家で朗らかに生きられる。そうした在宅ホスピス緩和ケアの総合的なスキルの実践レポート。
二百余年続いた(前)漢王朝が乱れ、簒奪した王莽の改革も失敗、反乱が全土に及んだ一世紀初頭。光武帝劉秀は天下平定・後漢王朝建国事業を進める。その劉秀の下で最も信頼を得た名将・呉漢を描く。
天下平定は言語絶する茨の道。制したと思えば、また反乱。広大な中国の混乱を収拾する道は、河北から始まり最後の蜀の公孫述を破り平定するまで、長い歳月を要した。謹厚で温柔な人物といわれる劉秀が、寛大で"赦す人""温情の人"であるとともに、教養と武略をも兼ね備えていたことがわかる。そして、「志とは、雲に梯子をかけてのぼること」と教えられた呉漢だが、"平凡""忠誠"に徹し、祇登、角斗、況巴、魏祥、左頭、樊回、郵解、郵周、呉翕ら、智慧袋、軍師、謀臣、軍吏、謁者らに恵まれ、その結束は固い。
宮城谷昌光氏の小説には「人間学」がある。そこが魅力であり、面白さだ。民は苦悶し、賊は跳梁するなかでの「天」の下での平定・建国。「民の憂い募りて国滅ぶ」「民の欲する所 天必ず之に従う」を思う。