「日本の国家戦略を考える」と副題にある。20世紀最後の四半世紀と21世紀の現在のアジア情勢がいかに変化しているか。グローバル化と中国の台頭を受けての米国の戦略と東南アジア諸国の考え。大陸部東南アジアと島嶼部東南アジアの違い。グローバル化・都市化・期待の革命の進行。中国の「一帯一路」と「天下」の秩序。
きわめて緻密に今を分析し、踏まえるべき事項と未来への戦略を浮き彫りにしている。「日本は超大国ではない。大国だ。超大国は、国際的なルールを、自分で、あるいはみずからリーダーシップをとってつくれる国だ。それに対し、大国は、超大国が国際的なルールをつくろうとするときに、超大国と交渉し、ルールづくりに実質的に参加できる国だ」「われわれは、どういう世界をつくりたいのか。現在の秩序の上に、もっと自由で公平な世界をつくりたいのか。それとも"自分たちだけがよければ"といって"虫のよい生き方"(吉田茂)を続けようとするのか」「大きな方向としては、大日本帝国の過去と折り合いをつけ、戦後日本がその下で平和と安定と繁栄を享受してきた自由主義的国際秩序を守り発展させる」――。海洋アジアと大陸アジアを軸にした地域全体の構図を示し、日本の安全保障と経済の戦略を提示している。
埼玉県行田市にある100年続く老舗・足袋業者の「こはぜ屋」。足袋業がジリ貧であることは明白。社長の宮沢は、足袋作りのノウハウを生かしたランニング・シューズの開発に乗り出す。
中小企業の脆弱性、資金難、妨害・・・・・・。苦難の連続だが、仲間の強い結び付きで乗り越えていく。
社長の宮沢を支える社員の安田、あけみ、富久子。新しいソールのシルクレイ製造に人生をかけたシルクール元社長の飯山、シューズマイスターの村野、銀行の融資担当であった坂本。抵抗する経理担当の富島玄三もいい。長男の宮沢大地、長距離選手・茂木裕人も真っすぐ。「企業は人」「人は覚悟」「企業はチームワーク」が貫徹されて心持よい。
「茂木にはわかったことがある。自分は人気取りや世の中からの賞賛を得るために走っているのではないということだ。自分が走るのは、自分にとってそれが人生そのものだからだ。そして何より、――走るのが好きだから」「勝つために走る」――。苦難を乗り越え登場人物が皆強くなっていく。苦難にあうごとに覚悟が堅固になる。「波浪は障害に遭うごとにその頑固の度を増す」――。
有川浩さんの2003年以来のエッセイ集。率直で、理屈っぽくなく、ストレート。目線が現場にあり、興味が広範で躍動感があり、「お天道さまの下」で生きる明るさがある。それぞれに「振り返って一言」が付いて肉声が聞こえる。面白い。
「倒れるときは前のめり(竜馬の言葉とも司馬遼太郎とも)」「心に太陽が照っていなければ創作活動はできません・・・・・・」「読書は遊びだ(本好きは楽しむために本を読む)」「言葉は利器にもなるし凶器にもなる。インターネットによって言葉の行使が簡単になったからこそ、使い方には気をつけたい」「ネガティブな言葉は、他人に放ったつもりでも、自分の魂にダメージが蓄積していく。ポジティブな言葉は自分にパワーを蓄積してくれる」「『ゆるい共感』を呼ぶすさまじい本能(秋月りす「OL進化論」)」「宇宙開発に失敗はない・・・・・・宇宙開発は歩みを止めたら最後である」・・・・・・。
文庫と単行本、創作の裏側、映像化と作家の気持ち・・・・・・。あまり聞いたことのない世界にふれることができた。「木綿のハンカチーフ」を読んで、改めて太田裕美メドレーを聴いた。「三匹のおっさん」もいいが、児玉清さんは「とびきり素敵なおじさん」だったろうと私も思う。
木材利用をさらに進めよう――。25日、衆院第2議員会館で、住宅・林業・木材関係11団体からなる木材産業要望活動団体から政策提言と要望を受けました。公明党から石田祝稔政調会長らも同席しました。
私は、木材利用を大きく進め、木材関係の11団体等とも、この10年以上連携を取ってきました。その努力が実り、このところ木材利用が大きく進み始めました。今年、足立区で日本初めての木造5階建ての老人ホームが完成、国交大臣時代には、CLT(直交集成板)を活用する法律や学校の木造3階建てを可能にする法律も成立させました。また耐火実験や高層木造住宅への補助も進めてきました。2020年東京オリンピック・パラリンピックめざして、あらゆる点でできるだけ木材利用を進めています。
この日は、要望を受けるとともに、国交省、農水省、経産省、文科省、内閣府の五輪担当等とも打ち合わせをしました。