生きて帰ってきた男.jpg「ある日本兵の戦争と戦後」と副題にある。1925年(大正14年)生まれの小熊謙二さんの人生を、子息の小熊英二さんが聞き取り、まとめたもの。苦難の歴史は私の父母にもかぶるものがあり、思い起こしつつ読んだ。戦前、戦中、戦後の日本人の庶民の生活と心象風景。若い最も楽しかったはずの若き時代が、戦争に奪われ、苦労ばかりだった世代の思い。時代と権力を持つ側に翻弄された人生。そして戦後社会の激変。庶民の生活の民俗学ともなっている。

1930年代から「生活物質が急になくなっていく」「兄弟、親族が次々と病い等で亡くなっていく」「空襲、入営通知、敗戦」「シベリア抑留とは露ほども思わず日本に帰ると思っていた」「最初の冬は想像を絶する極寒と厳しい生活環境のなか、仲間が次々と死んでいった」「民主運動。反動分子の烙印を押されたら帰国できなくなるとの恐怖」「帰国後、まともな仕事がなく、次々と職を替える、生きるに必死の状況」「絶望的な結核療養所の約5年」、そして「高度成長とともに変わる生活」「戦後補償裁判」・・・・・・。父母と私の戦後生活がかぶる。


ちびっこ天国 0807.jpg  王子連合 0807.jpg

灼熱の暑さとなった8月5、6、7日の3日間。地元では、町会・自治会の納涼祭や盆踊り、祭礼、商店街のサンバ、夜店、子ども祭りやどじょうつかみ大会など、様々な行事が行われ終日、駆け回りました。祭りの気合のこもった声や盆踊りの太鼓、子どもたちの元気な声が街に響き渡りました。

岸町 0806.jpg  豊島サンバ 0807①.jpg

各会場では、多くの方と懇談ができました。行事を運営してくださる地域の方々のご尽力に感謝です。

また6日の午前中には、参院選で9年ぶりに勝利を勝ち取った公明党愛知県本部の夏季議員研修会に出席をしました。

愛知県本部 0807.jpg


新・御宿かわせみ お伊勢まいり.jpg平岩弓枝さんの「御宿かわせみ」シリーズは、昭和48年に始まり、全34巻。そして「新・御宿かわせみ」となっても続き、本書はその最新作。

大川端の旅宿「かわせみ」は江戸から始まるが、東京となった明治の初めのこと。春の嵐で屋根瓦を吹き飛ばされ、改築のために休業を余儀なくされるが、女主人のるいは千絵に誘われて、十数人の一行で「お伊勢まいり」に行く。その道中でさまざまな事件が起きる。嶋屋長右衛門は行方知れず、その女房のお仙は不慮の死、大坂屋平八は病のために脱落、小泉屋の火事・・・・・・。そんななか、この道中は「明らかに誰かが仕掛けたもの」で、千絵が非業の死をとげた夫・畝源三郎の敵討ちに狙いがあったことがわかる。そして、雷鳴が轟くなか・・・・・・。

時代と庶民の日常。喜び、悲しみ、怒り、生老病死が、そっと心情まで浮かび上がるように描かれる。「『変わりましたよね、このあたり・・・・・・御一新の前とは・・・・・・』お千絵が町並みを眺め、るいは大川端の方角の空を仰いだ。歳月が移り、世の中が変った。けれども、その中で生き抜いて来た人々の想い出は想い出す人がある限り消えはしない。人は一生をかけて想い出を紡いで行くものかと胸の内で小さな吐息を洩らした。空に雲があった・・・・・・」――。いい。


アドラーに学ぶ よく生きるために働くということ.jpg「働く」ということは人間の本質に迫る問題だ。「働くことは生きるということと同義である」「人はよく生きることを願っているのであり、働くのもただ生存するためではなく、よく生きるためであるというのが、『生きるために働く』ということの意味だ」「アドラーは人生には取り組まなければならない『仕事の課題』『交友の課題』『愛の課題』という三つの『人生の課題』があるという」――。

「人は何のために働くのか。働くことで人は自分の持っている能力を他者のために使い他者に貢献する。他者に貢献すれば貢献感を持つことができ、そのことで自分に価値があると思える。自分に価値があると思えれば、対人関係の中に入っていく勇気を持つことができる。対人関係の中においてこそ、生きる喜びを持ち、幸せになることができる」という。そしてアドラーは「勇気は伝染する。臆病も伝染する」という。こうして「仕事の課題」は、他者との協力、結びつきの「交友の課題」を解決することになり、「愛の課題」の解決になる。エーリッヒ・フロムは「愛の本質は、何かのために"働く"こと、"何かを育てる"ことにある。愛と労働とは分かちがたいものである」といっている。アドラーは「他者を喜ばせることを始めたら『自分が役に立ち、価値があると感じられるように』なる」ともいう。

「働くことの意味」を岸見さんは、自身の人生を率直に語りつつ、考察、提示している。


官賊と幕臣たち.jpg「列強の日本侵略を防いだ徳川テクノクラート」が副題だ。江戸幕府、一口に「鎖国」といわれるがそうではない。欧米列強が虎視眈々と侵略を狙う世界の動きをまず示される。宣教師たちの目的、江戸幕府成立以前からのポルトガルとスペイン。それを追うかのごときオランダの対日貿易独占戦略。旧教国対新教国という図式でのスペイン・ポルトガル対オランダ・イギリスの対立。切支丹禁令。そして西へ西へと進み、太平洋を渡って迫るアメリカ。インド、中国から日本を窺うイギリス。密貿易の国・薩摩を背後で支援したイギリス・死の商人グラバーの暗躍・・・・・・。薩長同盟なるものの矛盾を突き、坂本龍馬にいたっては、武器あっせん商人の手先とこきおろしている。

そのなかで幕府の対外協調路線を描く。欧米列強の侵略を防ぎえたのは、徳川の幕臣テクノクラートだという。「阿部正弘、堀田正睦、井伊直弼政権が敢然と対外協調路線に踏み切り、川路聖謨、水野忠徳、岩瀬忠震、井上清直、小栗忠順といった英傑といってもいい優秀な徳川幕臣テクノクラートが欧米列強と正面から渡り合い・・・・・・」「この足を引っ張ったのが"復古!復古!"と喚いて、"尊王攘夷"というスローガンだけで徳川政権から積年の悲願として政権奪取を図った、いわゆる勤皇勢力、尊王攘夷派、即ち薩摩・長州勢力である」という。テロリストといっている。薩長史観を迫力をもって打砕いている。司馬史観をも。「明治維新という過ち~日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリスト~」に続く第2弾の書。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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