1106570032_main_l.jpg圧倒的な感動小説。「丈夫が こころ定めし 北の海 風吹かば吹け 波立たば立て」(依田勉三)、「波浪は障害にあうごとに、その頑固の度を増す」を思う。明治から平成にかけて、東北から北海道に向かった祖父とその孫、そのまた孫の6世代にわたる家族と命をつないだ馬の物語。


雪崩で馬とともに遭難しながらも、その愛馬を食べて生き延び、腹の中にいた捨造の命を守った母。その手紙で事実を知った捨造の号泣。その孫・和子が世話をする馬・ワカ。離島に残された馬に会いに行く和子の孫・ひかり・・・・・・。「およばぬ」ものとして畏怖される苛烈な風土、そのなかで必死に生き抜く人と馬。壮絶ななかに「生き抜け」「馬に生かされたんだ。報いねばなんねえ」との心奥の叫びと、「わたしのどこが哀しいのだ。島に独り残り出られないのではない。この島の王として凛として君臨する」と感じさせる馬の存在が、大地に屹立する。


戦後リベラルの終焉.jpg「なぜ左翼は社会を変えられなかったのか」と副題にある。「本書ではこういう日本的な左翼(中道左派)を"戦後リベラル"と呼ぶ。彼らは反戦・平和を至上目的とし、戦争について考えないことが平和を守ることだという錯覚が戦後70年、続いてきた」「彼らは戦後の論壇で主流だったが、何も変えることができなかった。全面講和も安保反対も大学解体も、スローガンで終わった」「団塊世代の特徴は新憲法バイアスである。生まれたのが終戦直後だから、戦争は絶対悪で、平和憲法は人類の理想だという教育を子供のころから受けた」「憲法を超える"空気"は、戦前も今も変わらない。それをかつて右翼は"国体"と呼んだが、戦後は"国民感情"に変わっただけだ」・・・・・・。そして、「今の日本で重要な政治的争点は、老人と若者、あるいは都市と地方といった負担の分配であり、問題は"大きな政府か小さな政府か"である」と結ぶ。


まさに私の戦後は、人生そのもの、全てである。たどった人生、出来事、思想を、そのまま思い起こしながら読んだ。


足立凧まつり①.jpg   区民まつり①.jpg

10月3日、4日の土日。久しぶりの秋晴れのなか、地元では「足立凧まつり」や「北区区民まつり」「小学校の創立50周年祝賀会」「住区センターまつり」など多くの行事が盛大に行われました。

「第16回足立凧まつり」では、たくさんの凧が青空に舞い上がり、子どもたちの笑顔が広がりました。「第32回ふるさと北区区民まつり」では、王子、赤羽、滝野川の各会場で、多くの催しや屋台等がならび、大変な盛り上がりでした。町会・自治会、商店街、青少年地区委員会の役員の皆さまのご尽力に感謝します。多くの方々と懇談もできました。

小学校創立50周年式典①.jpg


春雷.jpg時代社会が変化していることを知らず、武士という特権意識に何の疑問ももたず安住する者。また名君気取りで質素の形だけに溺れ、見せかけの善政で体裁をつくろう者。信を寄せている訳でもなく、ただへつらい生きる者・・・・・・。そのなかで、恐れず、ぶれず、ためらわず、ただ心奥に秘めた一心の成就にかけた鬼と呼ばれた男がいた。財政難に喘ぐ豊後・羽根藩の改革断行に指名された多聞隼人。


「米一粒たりとも作らぬ武士こそ、悪人ということになる」「悪人とはおのれで何ひとつなさず、何も作らず、ひとの悪しきを謗り、自らを正しいとする者のことだ」「殿は名君にあらず、稀代の暗君である」「多聞様は自らが鬼となることで、まことの正と邪を明らかにされようとしていたのではないか」・・・・・・。


「多聞様は、世のひとを幸せにしたいと願って鬼になられたのです」――鬼と謗られる孤高の男の想いは誰も知らず。それを「蒼穹を、春雷がふるわせている」と結んでいる。


日本占領史19451952.jpg1945年の敗戦から1952年4月のサンフランシスコ講和条約発効までの7年弱。現代日本の法的・政治的基盤は、まさにこの時に創られた。この時の重い苦渋の決断の数々が、今の日本の"国の形"をつくっている。当初占領政策は、日本の非軍事化・民主化の推進に置かれ、日本国憲法が誕生する。しかし、アメリカとソ連による冷戦が深刻化していくなか、民主的な「平和国家」の創設だけでなく、新たに日本を「親米反共」国家にすることが付加され、「経済復興」政策が推進されることになる。ドッジライン、朝鮮戦争、そして結ばれたサンフランシスコ講和条約は、日米安保条約とセットの締結となる。そのなかで「全面講和か単独講和か」は、世界の冷戦構造の深刻化のなか、いかに大きな国際政治の渦の中で行われた選択であったかを今改めて考える。


本書は「東京・ワシントン・沖縄」が副題となっているが、それぞれの国を背負っての決断の実像が描き出される。「憲法」「安保」「沖縄」「政党の生成と分裂」「労働運動」「経済復興論争とドッジライン」「東京裁判」「国際社会の中の日本」・・・・・・。まさに戦後70年、今後の日本を考える時、不可欠の7年弱といえる。2015年度読売・吉野作造賞受賞。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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