第151回芥川賞受賞作。離婚したばかりの元美容師・太郎が、世田谷区の取り壊し寸前の古いアパートに引っ越してきた。そこで隣人(女)とかすかな交流が始まる。なにげない日常生活。しかしそこには静かな歓びや人との心の通い合い、見えないものが立ち現れてくる発見、日常のなかに起きる出来事・・・・。丁寧に、鮮かに、心情を描いている。
今年2月の大雪と都知事選が突然出てきて、本当に今年のことだ、今年の作品だと驚いた。街も家も庭も、欅や紫陽花や百日紅や金木犀などの草木も、動物も、そして引っ越していく人も、空室がふえていく空間も、生老病死の変化相にあることが静かに語られるが、そのなかで無常よりも幸福感が漂ってくるのがいい。
マレーシアに引き続き、14日から16日までカンボジアを訪問しました。
カンボジアは成長著しい大の親日国。我が国は最大の支援国です。
フン・セン首相、トラム公共事業運輸大臣、タオン観光大臣、マオ民間航空庁長官と連続して会談を行いました。
フン・セン首相とは、2国間関係全般について幅広く意見交換しました。はじめに「政治的・経済的に大変苦しい時には日本にいつも助けていただいた」と心からの謝意が述べられました。個別の分野では、とくに友好の象徴である「日本橋」の改修などの協力を引き続き求められました。また、今秋の2国間の直行便の開設は、2国間関係の強化に向け大きな意義があるとの認識で一致しました。さらに、70年代後半のポル・ポト政権の大虐殺、内戦、その後の市場経済への移行に伴う国内外の調整など、現在の発展に至るまでの数々の苦難についても、じっくりと話を伺うことができました。
閣僚との会談では、インフラ整備の推進や自動車検査登録システムの改善、航空管制の高度化、観光交流促進などについて議論を行い、交通インフラ、航空、観光の3分野で、今後の協力関係強化に関する協議議事録に署名しました。
現在ODAで日本が建設しているネアックルン橋の工事現場を猛烈な暑さのなか視察しました(現在、1号線は国道でありながら、メコン河を渡る橋がなく、フェリーでは7時間待たされることもあります)。これは、メコン河の水深25mの軟弱地盤に全長5.4kmの橋梁と道路を建設する巨大工事で、日本の優れた技術が活用されています。
また、アンコール遺跡群も訪問し、観光大臣と懇談しました。カンボジアは観光に力を入れ、日本人の受け入れのため、380人の日本語ガイドを配置するほどの力の入れようです。上智大学、早稲田大学などの日本関係者が施設の修復・保全に協力しており、その貢献に感動しました。
国土交通大臣がカンボジアを訪問するのは初めてのこと。次から次へと要望を受け、期待の大きさを実感しました。
8月13日、14日にマレーシアを訪問し、マレーシア・シンガポール間の高速鉄道計画や道路行政などにおける協力について関係閣僚等と会談しました。
マレーシアは2020年に先進国入りをめざし、発展著しい親日の重要な国です。
高速鉄道について、13日には、リオ運輸大臣、ワヒド首相府大臣と、14日は、サイド・ハミド陸上公共交通委員会議長と会談しました。
とくに、直接的に計画を担当しているワヒド大臣とサイド・ハミド議長とは、関係企業も伴って会談を行い、日本の新幹線が安全で技術水準がきわめて高いこと、そして官民一体となって取り組んでいる姿勢を示し、我が国の意気込みを伝えることができました。また、ファイナンスや人材などについての日本側の支援体制に対するマレーシア政府の理解を深めることができました。
道路関係については、14日、ファディラ公共事業大臣と会談しました。次世代のETC導入に関する相互協力、老朽化が進むインフラの維持管理など、道路分野全般の協力関係を促進することで一致しました。
巨大台風が関東地方に襲来するその時に、都内で連続テロが発生する。東京壊滅を狙うテロ集団だが、狙いも、規模も、肝心の正体もわからない。明確な他国の特殊部隊による攻撃とも断定できないゆえに、警察権で対応するが、壊滅的打撃を受ける。首相官邸での国家安全保障会議、首相は防衛出動の決断をする。
しかし、対応が後手、後手に回り、前線は次々壊滅される。狙い定めた半島の精鋭部隊に対し、こちらは何の準備もない。実感も覚悟もない。訓練も体制も不十分な"ゼロ"に等しい。まさに「ゼロの迎撃」だ。しかもメデイアは情報戦に使われる有様だ。この緊急事態に、自衛隊総合情報部の三等陸佐・真下俊彦が敵の狙いをつかみ、戦いに挑む。高度な情報戦――敵の最終的狙いは、台風を利用し、岩渕水門を決壊させ、隅田川、荒川下流域、地下鉄等を完全に水没させる、東京壊滅であることを掴む。
日本の安全保障体制、テロ対策、台風と地震との複合大災害対策など、その脆弱性とやるべきことを浮き彫りにしているが、描写は、国家安全保障、行政、土木工学、技術などかなり専門的で詳しい。