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人口減少社会は目の前にある。このままいくと896の市町村が消滅する危機にある。副題に「東京一極集中が招く人口急減」とあるように、東京が全国の若者、若い女性を吸い込んでいく"ブラックホール"になる。減少を続ける若年女性人口の予測から、かなり大胆にデータを突きつける。


地方創生の意味が明確に浮かび上がる。国交省として私の長年の政治テーマであった「国土のグランドデザイン2050」を今年7月に打ち出した。個性ある都市を、そして連携で圏域を形成する「コンパクト+ネットワーク」「対流促進型の国土形成」だ。本書は、「人口急減社会への警鐘」を序章とし、「極点社会の到来」「求められる国家戦略(長期ビジョンと統合戦略の策定)」「東京一極集中に歯止めをかける("防衛・反転線"の構築、人口流出を食い止めるダム機能・地方中核都市の形成、コンパクトシティ)」「国民の希望をかなえる――少子化対策(希望出生率は1.8、人口の超長期統計、結婚・妊娠・出産・育児に厳しい日本社会と企業における働き方の変革)」「未来日本の縮図として北海道の地域戦略」「地域が活きる6モデル」――などについて述べている。


論議を急ぎ深め、前に進めたい。


土木女子 どぼじょの魅力、つまっています.jpg

松本小夢さんのマンガに「ドボジョ!」がある。本書は「ドボ女」の写真集。女性が土木の現場でヘルメット、作業衣で、元気に、しっかり働いている姿を知ってもらうには写真がいい。それも仕事中とそうではない時の姿、そのギャップも知ってもらうと面白いのではないか。そうしたことから生まれたのが、この「業界初! 土木女子写真集」だ。
 

20人の女性が登場している。私はそのうちの4人と懇談をしている。8月には外環の現場で、9月は大臣室でもお会いした。いずれもしっかりした意志が感じられ、子育てしながら頑張っている人もいる。


女性の活躍は、今後、日本で不可欠だ。そのため建設現場でいえば、「トイレ」とか「更衣室」、子育て支援環境などを整える必要がある。現場監督が女性だと「汚い」「キツイ」と思われがちな現場が変わると喜ばれている。


「ドボジョ」「建設なでしこ」「トラガール(トラック運転女子)」が元気で、「現場男子」に勢いがつくと、日本の未来に希望が出てくる。


なぜローカル経済から日本は甦るのか.jpg

「GとLの経済成長戦略」と副題にある。グローバルな経済圏で活動する産業、企業、人材に関わる話と、ローカルに密着せざるを得ない経済圏の問題は、かなり様相が異なる。Gの世界とLの世界を区分して観察し、成長を探る。GかLかではなく、GはGとして、LはLとして最適な政策を選択・遂行していく。そこに「GもLも」で行ける道が開かれる。


Gで勝ち抜くには、グローバル高度機能に特化した産業立地政策、超がつくほどの高度人材など、ビジネスオリンピックを勝ち抜く施策がカギとなる。法人税引き下げも、要は投資を呼び込む魅力的な場をつくること、産業立地競争力を高めるという問題だ。


そしてローカル経済圏だ。「じつはほとんどの産業がローカル経済圏のプレーヤー」「淘汰が起きにくいローカル経済圏では穏やかな退出と集約化で寡占的安定へ」「地方発のグローバル企業とかカリスマ経営者が必要なのではない」「中小企業政策を大転換させよ(個人保証や信用保証協会・・・)」「地方の組成は、集約によるコンパクトシティ化と駅前商店街の復活」「"モノ"から"コト"消費の時代へ」・・・・・・。Gの世界で活躍する冨山さんは、東日本の路線バスを中心とする公共交通機関を「地域住民との"共創"関係を構築」して実らせた人でもある。人口減少・超高齢社会日本の現在から未来への課題に、切れ味ある示唆を与えてくれている。


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6日、関西国際空港で、関空20周年、伊丹空港75周年の記念式典に出席しました。


関空、伊丹両空港は関西の発展に欠くことのできない基幹インフラ。新関空会社が両空港を一体的に運営し、近年、LCCを中心に大きく利用者が伸びています。現在、さらなる発展を目指し民間事業者への事業運営権の売却、いわゆるコンセッションに向けた手続きが進行しています。


「今後とも関西の発展を牽引して欲しい」「さらなる機能向上に向け全力で支援したい」――。式典では、両空港への期待の言葉が相次ぎました。私も祝辞の中で「両空港が関西圏の成長の原動力となることを期待する。引き続き最大限支援したい」と述べました。


式典の後、第2ターミナルビルにおいて日本初のLCCであるピーチのコスト削減への取り組み状況などを視察しました。

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その後、大阪市内に移動し、うめきた開発を視察しました。うめきた開発は旧国鉄梅田貨物駅24haを再開発するビッグプロジェクト。大阪の都市競争力を強化する切り札として、大きな期待が寄せられています。昨年4月に先行してオープンした「グランフロント大阪」は多くの大学・企業と連携した最先端の科学技術の展示エリアとテナント、オフィスなどの複合施設。家族連れや若い人を中心に大変な賑わいでした。また、現在検討が進む2期事業のコンセプトは、「世界に比類なき『みどり』と『イノベーション』の融合拠点」という斬新なもの。計画の実現に向け、大阪市や関係の事業者などと意見交換しました。テクノロジー、インテリジェンス、ビジネス、ショッピング――。関西のみならず日本全体をリードできる大きな潜在力を実感しました。


7日には京都で門川京都市長と懇談。桂川の水害対策、観光、京都のまちづくりなどについて、じっくりと意見交換をしました。


イスラーム化する世界.jpg

イスラーム世界にもともとあった移動・情報ネットワークと統一共同体概念――これが、欧米から始まったグローバリゼーションの流れのなかで、さらに緊密化し、強化されてきた。・・・・・・そこに国境も情報の壁も乗り越え、多種多様なものとつながりながら新しい解釈が解釈者によって生まれている。世界のイスラーム化現象だ。


その解釈には当然、キリスト教世界、近代文明、異教徒との関わり、その国の風土と解釈者の生い立ちが関係する。そしてまた、クルアーン解釈においては、その言が当然、アッラーの使徒であり、預言者であるムハンマドの時代の社会、文化、言語の制約と普遍的原理をどう考えるかという問題に常に直面する。


4人が登場する。まずアメリカ人「フェミニストの模索」――アミナ・ワドゥードとその解説書「クルアーンと女性――聖なるテクストを女性の視点から読む」だ。男女平等の視点によるクルアーン解釈だ。次にアパルトヘイト解決への道――ファリド・イサクだ。「解放のための宗教的多元主義」の観点からクルアーンを解釈した「クルアーン、解放そして多元主義――抑圧に対抗するための宗教的連帯に関するイスラーム視点」だ。次にイスラーム主義への回帰――ビラール・フィリップスだ。西洋社会の誤りを正す最善の書と考え入信した彼の解説書が「『部屋』章解釈――クルアーン四九章への注釈」だ。そして西洋社会との協調――フェトフッラー・ギュレン(トルコが生んだ世界的市民運動家)の解釈書「クルアーンを内省的に読む」だ。自己を律し、他宗教との対話を追求する。


プノンペンで著者のご主人から紹介された本書だが、丁寧に、真摯に、文献に当たり、「グローバリゼーション時代の宗教」を示してくれている。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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