名文、心にしみる言葉、人生の真実、社会の欺瞞......。こんな言葉に出会い、そんな言葉を吐いた人の境地と境智にふれることは、至福である。
「呑気と見える人々も、心の底を叩いて見ると、どこか悲しい音がする(漱石)」「才能も智恵も努力も業績も身持ちも忠誠も、すべて引っくるめたところで、ただ可愛気があるという奴には叶わない(谷沢永一)」「お金がすべてじゃないわ。持っている人はそう言うんです。(ジャイアンツのエリザベス・テイラーとジェームス・ディーンの会話)」「そら原作者の眼から見たら、ずいぶん不満もあるやろ、せやけど天狗ワテがつくった。これをいうたらあかん、しかし小説が売れた理由の一つはワテや、ワテの立ちまわりや(竹中労が書いた嵐寛寿郎の言葉)」「修学旅行を見送る私に『ごめんな』とうつむいた母さん、あの時、僕平気だったんだよ(日本一短い手紙)」「僕が母のことを考えている時間よりも、母が僕のことを考えている時間の方がきっと長いと思う(NTT)」「うますぎると評判ですが 私もそう思います(井伏鱒二が車谷弘の句集に対する葉書)」「『いいお酒ですな』と人に感心されるようなのみかたが、あんがい静かな絶望の表現であったりする(高橋和巳)」「美空ひばりには神様がついているけど、加藤和枝には神様がついていない(ひばり)」「東大出には、赤門とバカモンがある(山藤章二)」「私が田中角栄だ。小学校高等科卒である(中略)。できることはやる。できないことはやらない。しかしすべての責任は、この田中角栄が負う。以上。(田中蔵相就任の大蔵省演説)」――全てに生身のその人が出ている。
アデン湾を荒らし回っていたソマリア海賊はその範囲を広げている。インド洋西部の東経78度以西、南緯10度以北で区切られる海域がハイリスク・エリアとして指定され、各国は協力して安全保障のネットワークをつくり、緊密に情報交換をしている。
本書は海賊の実態、手口、装備の全貌を明らかにしつつ、海賊対策について詳説している。情報収集・インテリジェンスの強化とともに、現在、国会で法案審議となっている民間武装ガードについても語っている。資源開発で活況を呈しているアフリカと、資源の輸入が生命線である日本の戦略について、丁寧に論述してくれている。先日も、前線で本当に、頑張ってくれた海上保安庁職員から帰国報告を聞いた。
12日、虎ノ門ヒルズの建設現場と首都高速都心環状線の築地川区間(新富町)を視察しました。いずれも今、都市再生で注目を集めているところです。
虎ノ門ヒルズは、新橋から虎ノ門に至るいわゆるマッカーサー道路(環状2号線)の整備に合わせ、道路の真上に52階建てのビルを一体的に建設しています。この道路は、昭和21年の都市計画決定以来なかなか事業化が進まない状況でしたが、これで道路もまちも一変します。最新の機能と耐震性を兼ね備えたオフィス、ホテル、住宅、そして道路ができれば、東京の国際競争力の向上に大きく寄与します。
まちが変わる。東京都心に躍動感が生まれます。
また、首都高速道路は老朽化が進み、大規模修繕・大規模更新が課題となっており、7900億円~9100億円かかると試算されています。特に、築地川区間は、東京オリンピックに開通を間に合わせる必要があったため、用地買収がいらない川を干上がらせて建設されました。このため、元の川の形が残って急カーブが多い、道路の真ん中に橋脚が残っている、アップダウンもあるなど、老朽化に加えて安全性の観点からも更新が必要です。
この半地下部分にフタをしてその上部を「空中権」として周辺のビルに売却すれば、首都高速の老朽化対策、更新費用に充てることができます。周辺のビルも建て替えが容易になり、まちの景色が変わります。
このように、首都高速の老朽化対策と空中権を使った都市再生を一緒に行うのは、非常に有効な仕組みです。できるだけ早く具体化できるよう、頑張ります。
11日朝、首相官邸において、第2回「観光立国推進閣僚会議」が開催され、「アクションプラン」が取りまとめられました。観光は私の所管です。
我が国には、素晴らしい自然、文化、歴史、料理など、世界の人々に自信をもって勧められる観光資源があります。これを活かし、史上初めて訪日外国人旅行者数1,000万人を達成し、さらには、2,000万人の高みを目指す意欲的な取り組みです。
具体的には、
①日本ブランドをつくり、発信強化
②ビザ要件の緩和等による訪日旅行を推進
③観光地における多言語対応の強化など、外国人旅行者の受け入れの改善
④国際会議(MICE)の誘致体制の構築
などが柱です。
注目のビザ要件の緩和については、タイ及びマレーシアのビザの免除、ベトナム及びフィリピンの数次ビザ化、インドネシアの数次ビザの滞在期間延長を実施することになりました。画期的な内容だと思います。大事なのは実行です。
「クールジャパン戦略」と合わせて、観光立国の実現を目指して頑張ります。