欲望、人間中心主義、自然との対立概念、科学技術優先――。そうした近代西洋文明批判、近代合理主義批判がなされて久しい。むしろ最近では、骨太の文明論は少なくなっている感すらある。しかし、梅原猛さんは、それに代わり人類文化を持続的に発展せしめる原理が、日本文化のなかに存在する。それは「草木国土悉皆成仏」だという。
文明と文化を全的に把握したうえで、真正面からナタを振り降ろすがごとき大きな肺活量の文明論だ。天台本覚思想、縄文文化、アイヌ文化。そして西洋のデカルト、ニーチェ、ハイデッガーの哲学。更にヘブライズムとヘレニズムという西洋近代文明の源を示しつつ、西洋哲学から人類哲学への転換を説く。「草木国土悉皆成仏」「森の思想」だ。
生命の尊厳、色心不二、草木成仏、一念三千論、五陰・衆生・国土の三世間・・・・・・。私はそうしたことを想いつつ読んだ。壮大な人類哲学は、想いがあふれなければ、とうてい書けるものではないと思った。
猛暑、豪雨、渇水の気候不順の夏――。8月2、3、4の週末3日。地域では納涼祭、祭礼、盆踊り、子ども大会、カラオケ大会、サンバパレードなどの商店街行事、伝統の王子田楽など多くの行事が行われました。また、日本海洋少年団全国大会が高円宮妃殿下のご臨席の下で力強く行われ、ますます大事になる海洋国家・日本を担う次の人材が全国から集い、友情の輪を広げました。
地域での人の交流、子どもたちとの交流はとても大切です。関係の方々に感謝です。懇談もでき、多くの声を聞きました。
「東北の復興や社会資本整備を進めていくためには技能労働者の不足を解決することが大事」――。7月31日、静岡県富士宮市にある富士教育センターを視察しました。これは、建設業の技能者の育成を目的とした施設です。当日は、静岡県、山梨県、神奈川県の高校生など82名の若者が泊まり込み、クレーン技能や足場組立て、内装の実習に熱心に励んでいました。
近年、建設業に就職する若者が減り、就職しても技術を身につける前にやめてしまうなど、職人さんの不足や高齢化が課題になっています。未来を担う若者が誇りとやりがいを持って建設業で働いていくことができる環境整備を進めていくことが大事です。
やる気にあふれた若い実習生たちと言葉を交わし、将来を担ってほしいという期待を込めて激励しました。次に、静岡県の三保松原を視察しました。6月に富士山とともに世界文化遺産に登録され、外国人観光客を呼び込むためにも期待が高まっています。しかし、海岸浸食が進んでおり、海岸の保全と景観の両立が求められています。富士山と松原、砂浜が一体となった白砂青松の景観を将来に残していくために、静岡県と協力し、技術的・財政的支援をしっかりやっていきます。
有意義な視察ができました。
国際政治学の白熱授業を受けているようだ。「見方、考え方」を確立するには、分析する根拠、道具立てがいる。巻末に「ブックガイド」が載せられているが、それら全てを土台としたうえで、藤原さんは思考の道標を示してくれる。「"戦争の条件"には、戦争を避けるための条件と、それでも戦争に訴えなければいけないときに満たすべき条件という二つの意味を、込めている。暴力が国際政治の現実であることは否定できない。暴力に頼ることなく戦争を回避することもきわめて難しい。だが、その現実のなかには常に複数の選択が潜んでいることも見逃してはならない」「暴力への依存を最小限に留めながら平和を実現する方法を具体的な状況のなかで探ることであり、そこでは戦争の条件と平和の条件が裏表のように重なり合うのである」――。「戦争違法化と好戦国家の排除が平和の条件」「歴史問題は時が解決するという議論がある。だが事実は違う」......。「広島の語り、南京の語り、靖国の語り」などはきわめて印象的であったが、藤原さんは現実の問題の根源を剔抉してくれている。