なつかしいZ会の機関紙に「こころの物語」と題して加地伸行先生が語った連載。利己主義、個人主義、家族主義について繰り返し、説かれる。
「個人主義者とは、自律・自立し、自己責任をもって自己決断する人のことである。一方、利己主義者は己のためにだけ行動する人である。何もだれも信じない。信じるのは、自己と金銭財物だけである。ただし個人主義的生き方はなかなか難しい」「そこでキリスト教の神(唯一最高・絶対者)が、内面的に個人主義とつながり、崩れようとするときの抑止力となっていったのである」。「こうしたキリスト教的世界と異なり、日本・朝鮮・中国という儒教的世界では、個人主義は生まれず、家族主義ひいては一族主義をすぐれた生きかたとした」。
そこで家族の思想に貫かれる無償の愛を説き示す。「無償の愛がないから他人」「日本人を変質させた"個人主義のものまね"」「他者への無償の愛、すなわち友情」「教養人(君子)であれ、知識人(小人)にはなるな」。「沈黙の宗教――儒教」「家族の思想」「論語」の大家・加地先生が易しく、繰り返し、青年たちに語っている。
4月26日からモンゴル、韓国を訪問して首相・関係大臣等との会談・視察を行い、30日夜に帰国しました。
モンゴルは、日本の4倍もの国土に300万人弱の人口。首都ウランバートルにその半数近くが集中し、人口の流入が続いています。4月末のモンゴルは「広大な草原」ではなく、土、土、土の丘陵・平地がどこまでも続き、そのなかで舗装の悪い(してもない所も)道路を土煙をあげて走る状況となりました。
アルタンホヤグ首相、ガンスフ道路・運輸大臣、バヤルサイハン建設・都市計画大臣、オヨーンゲレル文化・スポーツ・観光大臣、オヨーン自然環境・グリーン開発大臣等と連続して会談。新ウランバートル国際空港の建設、道路・鉄道などのインフラ整備、観光交流の拡大などについて意見交換し、2つの覚書を交しました。
そのなか、新ウランバートル国際空港の建設現場を車を長時間走らせて視察。また、戦後抑留中に亡くなられた日本人慰霊碑を訪問し、献花をしました。
ウランバートルでは、人口の急増、無秩序・不法に建てられた多数のゲル、道路の未整備、大気汚染、渋滞等さまざまな課題が生じており、今回の訪問では、課題解決へ突っ込んだ協議をしました。日本への協力を強く求めている状況です。
韓国の訪問では、セウォル号沈没事故で社会全体が深い悲しみに包まれていました。犠牲者を悼む市庁舎前の合同焼香所に参列し、献花を行い、犠牲者のご冥福をお祈りしました。
また、ユ・ジンリョン文化体育観光部長官、ソ・スンファン国土交通部長官と会談。増加が止まってしまっている観光交流の強化、来年の日韓国交正常化50周年を契機とした交流活発化のための行動計画の策定や、2018年平昌五輪及び2020年東京五輪に合わせた共同マーケティング協力の推進などについて合意しました。
この他、コン・ノミョン元外務部長官、ユ・ミョンファン元外交通商部長官、韓日議連のファン・ウヨ会長、キム・テファン会長代行、カン・チャンイル幹事長、キル・ジョンウ議員等とも会談し、今後の日韓関係の改善などについて、様々な角度から議論しました。
生涯獲得タイトル数歴代一位、全7タイトル戦で6つの永世称号を有する。すなわち永世名人、永世棋聖、永世王位、名誉王座、永世棋王、永世王将(あと1つは竜王)。「決断力」「大局観」に次ぐ著作だ。
「直感と読みと大局観。棋士はこの三つを使いこなしながら対局に臨んでいる」「直感は磨くことができる。・・・・・・短い時間の取捨選択だとしても、なぜそれを選んでいるのか、きちんと説明できるものだ。・・・・・・今まで築いてきたものの中から生まれてくるものだ」「直感とは堆く積まれた思考の束(経験の蓄積)から、論理的思考が瞬時に行われるようなものだ」・・・・・・。
棋士の世界が見えてくる。たんたんとペースを刻み、前向きで、自然体で、囚われず、忘れ、空白をつくり、見切り、無理をせず、自己否定せず、マラソンのラップを刻むように進む。思い通りにならない自分を楽しむ。名人、達人の領域だ。
「長考に好手なし」「手を渡す――将棋は他力」「一発逆転はない。願望から生み出された幻影だ」「自分の得意な形に逃げない」「持ち駒再利用は日本の将棋だけ(世界中には将棋の類似が多くある)」――人生哲学ともいうべきものだ。
4月24日午後、国交省で「水災害に関する防災・減災対策本部」の会議を開催し、集中豪雨、洪水などに備えた「タイムラインの作成」「地下街対策」の2つの対策を打ち出しました。わが国では初めての取り組みです。
まず「タイムライン」の作成。
例えば台風が日本に接近してくるような場合は、事前に事態の予測がある程度可能ですが、わが国では時間軸に沿った防災行動計画は作られていません。アメリカでは、一昨年にニューヨークを襲ったハリケーン・サンディの際、「上陸2日前には避難所を準備する、36時間前には避難勧告を出す、1日前には地下鉄を止める」といった時間軸に沿った計画(タイムライン)に基づき対応し、被害軽減に大きな効果がありました。大被害をもたらしたハリケーン・カトリーナの教訓からです。
災害対策、避難勧告等で日本でもこのタイムラインの考えを導入しようと私は考え、時間軸に沿ったタイムラインの作成を決定しました。気象庁や地方自治体と連携し、早めに交通機関を止めたり避難を促すなど、分かりやすく有効な対策が可能になります。例えば昨年10月の台風26号による伊豆大島の災害では、夜間に豪雨が襲いましたが、タイムラインがあれば明るいうちから避難することが可能です。
そしてもう一つは、地下街や地下鉄への対策。
東京は世界でも他に例を見ないほど、ゼロメートル地帯に地下鉄や地下街が広がっています。昨年フィリピンを襲ったスーパータイフーン(最大瞬間風速90m)が今後日本を襲うことも考えねばなりません。洪水や高潮でいったん浸水すると、地下空間全体に広がり、被害は想像を絶するほどになります。このような事態に備え、地下鉄事業者や地下街・ビルの管理者が連携して対策を打って行くよう、わが国初めての方針を決定しました。
まもなく出水期。近年の災害は局地化、集中化、激甚化しており、万全の備えが必要です。緊張感をもって対策を強化していきます。
見事な小説。的矢六兵衛とは何者か、素性も謎のまま、名文で最後まで押し切ってしまった。シンプルな構成、時代の大激動と不安に比し、ただ一点、ただ一人、無言ゆえの重厚さと精神性が空間を制圧している。
時は幕末。場所は一点、西郷・勝によって成就した不戦開城の江戸城内。開城前夜の江戸城に官軍の先遣隊長として送り込まれた尾張家御定府組頭・加倉井隼人が見たものは、一見して平穏な城中に、全く正体不明に座り続けていた一人の侍だ。しかも、西郷・勝は、その侍をけっして腕ずく力ずくで排除してはならぬ、ここに天朝様がまもなく入るからだという。隼人を中心に添役・田島小源太、外国奉行御支配通弁・福地源一郎は難役に挑む。もはや武士道いずこへという大混乱の時に頼りになる者はいない。
この侍は何者か。御書院番八番組・的矢六兵衛だ。御書院番といえば旗本中の旗本、将軍家の馬前を固める騎馬侍だが、いまや人も武士道も散り散りとなっていた。しかもこの六兵衛は身代わりで、以前の六兵衛ではないという。しかし姿形すべて武士道すたれるなかで見事な所作で周りを圧する。誰が説得しようと黙して語らず、毅然としてただただ座り続けている。部屋の場所を次々に替え、存在感が頂点に達するなか最後は表御殿の黒書院に座り続ける一人の侍・的矢六兵衛。
何者なのか。何の為なのか。人間存在。宇宙即我にまで思考は及ぶ。
