藤原新也氏の「東京漂流」を衝撃的に読んだのは、相当前のことだ。その感性はよりとぎすまされ、やさしく、透明になっている。「尾瀬」「コスモスの野」「トメさんと菜の花」「カフェ恵と真っ黄のアワダチソウ」「宮間(写真家)とアジサイの花」「カハタレバナ」・・・・・・。
美しい花が目に浮かぶような小説が続くが、都会の喧騒のなかで、人々の"渇き"のなかで、男と女の交わりや別れ、生老病死が描かれている。しかし、藤原さんは「人間の一生はたくさんの哀しみや苦しみに彩られながらも、その哀しみや苦しみの彩りによってさえ人間は救われ癒されるのだという、私の生きることへの想いや信念がおのずと滲み出ているように思う」といい、「哀しみもまた豊かさなのである」という。
「他者への限りない想い」が哀しくも美しく、感動的に描かれている。
太田あきひろです。
秋も深まり、いよいよ文化の秋、スポーツの秋、本番です。昨日も今日も、絵画展や合気道などの大会をはじめ、多くの行事に出席させていただきました。
日本の武道は「強ければよい」というものではなく、「礼に始まり礼に終わる」「相手を思う心」「先輩を敬う心」を自己の練磨とともに重要視します。
ますます教育が大事な時代となっていますが、芸術・文化の振興やスポーツ振興に力を注いできた私としては、このことも現場のなかから強く発信したいと思います。
日本の成長戦略を考える場合、環境、農業、社会保障分野、あるいはロボット等の技術を語ることが多いが、蔦さんは"再成長のエンジン"として「クール・ジャパン、日本の文化を基盤とした高度の付加価値をもった産業の創出に活路を見出そう」という。
そして、そのターゲットは、発展し、増大するアジアの中流層だと指摘する。中流層とは必要な家電製品や自動車や日常品をほぼ揃え、そのうえに安心、安全、健康、介護、教育、福祉、エンタテインメント、環境、感動を求める生活などを価値と考える層だ。その数、すでに1億人以上、さらに加速度的にふえるという。
ファッション、アニメ、マンガ、ゲーム、映画などのコンテンツ、和食、農業産品、日本の伝統と技術、観光、スポーツ、文化などの現状を詳細に述べ、もっともっと戦略性をもって挑めという。全くその通り。それにしてもこうした分野に蔦さんが詳しいのには驚いた
環境重視ということも、根本的には安田喜憲さんがいうように文明の転換(価値観、生活スタイルの大転換)なしにはできないが、福祉社会(国家)というのもまた、人々の考え方、心そのものが大きく変わらないと築き得ないのではないか。
「福祉とは、社会のなかでお互いの生活を保障すること」であり、「民主主義=自由+平等+連帯+共生となる」と千葉さんはいうが、はたしてどれだけ、自由には責任やルールを守ることが同時に求められており、平等では、その人に適した権利が平等にあるということなどが身体と心で理解されているかと疑問を投げかける。
それは消費税25%というデンマーク、女性専用車両や凹凸の大きい点字ブロックなどは逆差別と思う欧州の感性、税金でも「出した分だけもらわなくては損」と考えるのではないという、「自分だけがよければいいのでは国はよくならないという」思考。貧困、不正のない国、教育、福祉など、具体的にデンマークという国を示してくれている。
隣りのスウェーデンに行った時も、私自身、国民の思考自体が気候・風土・民族性などに大きく起因するという、いわば人生地理学的な思いにひたったものだ。