ケーキの切れない非行少年たち.jpg児童精神科医として精神科病院や医療少年院に勤務していた宮口さん。「ここに丸いケーキがあります。3人で食べるとしたらどうやって切りますか? 皆が平等に」と紙に丸い円を描いて提示すると、凶悪犯罪に手を染めていた少年たちはそれができないのに驚愕する。「計算ができず、漢字も読めない」「計画が立てられない、見通しがもてない」「反省といわれてもそもそも反省ができず、葛藤すらもてない」のだ。認知力が弱く、反省以前の子どもが沢山いるという現実を直視しないといけないと、宮口さんは行動する。

非行少年に共通する特徴5点セット+1――。「認知機能の弱さ」「感情統制の弱さ」「融通の利かなさ」「不適切な自己評価」「対人スキルの乏しさ」、そして「身体的不器用さ」。「見る力」「聞く力」「想像する力」が弱い。自己肯定感が低く、怒りをため込む。対人スキルが弱く、嫌なことも断れず、イジメに遭っても他者に助けを求めることができない。身体的不器用で力加減がわからず物をよく壊す。社会に出ても、仕事ができず、人間関係もうまくいかない。「知的障害はIQが70未満」だが、IQ70~84の「境界知能」の子どもたちは、およそ14%ほどいて、知的障害者と同じくしんどさを感じていて、支援を必要としている。困っている人たちだ。保護者などにも気づかれないまま、イジメに遭い、中学に入った頃から全くついていけなくなり、大きなストレスをかかえる。非行に走って加害者になり、警察に逮捕され、少年鑑別所に回され、初めて「障害があった」と気づかれる。軽度知能障害や境界知能の人には支援が必要だが、気づかれないゆえに非行、犯罪まで行く。

認知行動療法に基づいたソーシャルスキルトレーニングがあるが、それは認知機能に大きな問題がないことが前提となり、考え方を変えるトレーニングだ。しかし、聞く力、言語を理解する力、見る力、想像する力などの認知機能に問題がある人には身につかない。矯正教育や学校教育の現場では対象者の能力が考慮されていない。

「ではどうすれば? 1日5分で日本を変える」「学習の土台にある認知機能をターゲットにせよ」――。ワーキングメモリを含む認知機能向上への支援として有効な「コグトレ(認知機能強化トレーニング)」が紹介される。


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2月28日、国立情報学研究所の新井紀子教授と懇談。「大学入学共通テストにおける記述式問題のあり方」「鉄道における痴漢対策」「街づくり」など、多方面にわたって意見交換を行いました。数学者の新井先生は有名な「AI vs教科書を読めない子どもたち」「AIに負けない子どもを育てる」の著書をはじめとして、きわめて本質的かつ広範な提言を行っており、私もこれまでも具体的実行に向けて働いてきました。この日も貴重な提言をいただきました。


老~い、どん!.jpg副題は「あなたにも 70代~90代『ヨタヘロ期』がやってくる」だ。人生100年時代――。ピンピンコロリなどはない。ヨタヨタ、ヘロヘロの「ヨタヘロ期」がやってくる。長いかもしれない。今の状況が続くと思っているのは大間違い。80代の経験者・樋口恵子さんの話を聞いておいた方がよい。

健康寿命は男性72.14歳、女性74.79歳、平均寿命は男性80.98歳、女性87.14歳。ヨタヘロ期はざっくり言ってこの間のことになる。「人生後半の安心生活――してよかった25のこと」が冒頭にある。樋口さん自身、「生きがいを見つける」「身辺整理を少しずつ」「居住環境を整える(84歳で建て替え引越しを実行した)」「できなくなることを受け入れる」「ご近所と気軽に声をかけ合う」「体の自由が利かなくなったときの備え」「無理せずに助けを求める」――。また「生きものと話をする」「自分に合った運動や健康法を続ける」「家計と財産の把握」などもある。

そして「84歳の建て替え引越し大冒険(捨てられる物の哀れ、悩ましき住宅費)」「おひとり高齢者の食生活(中流型栄養失調症、ごはん友達増加作戦)」「老いて歩けば(街角にベンチがほしい、トイレがほしい、安心パッド)」「人生100年丸に乗って(倍にのびた夫婦芝居の幕ひき、ケアされ上手でありたい)」「大介護時代をどう生きる?(認知症 みんなで支えりゃこわくない、"のろさ"への応援歌)」「老いての自立と支え合い(災害と老い――高齢者もできる範囲で自立度を高め、わが身を守る準備と覚悟を、災害時に女性の参画を、高齢者とペットの関係)」・・・・・・。立派な「高齢者のあるべき像」とは全く無縁。"ヨタヘロ"の弱さ、のろさを受け入れて、どう生きていくかを自らさらけ出して語ってくれている。


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28日、2020年度予算案が衆院本会議で可決、参院に送付されました。予算の規模を示す一般会計総額は過去最大の102兆6580億円。教育無償化をはじめとする全世代型社会保障の構築や、昨年相次いだ自然災害からの復旧・復興の加速、景気を底上げする経済対策などが盛り込まれています。

公明党の推進で実現した幼児教育・保育の無償化に3410億円を計上したほか、所得の少ない世帯を対象に4月から始める高等教育無償化に4882億円、私立高校授業料の実質無償化に4247億円を盛り込んでいます。

防災・減災対策の強化には1兆1432億円を計上。インフラ整備などを柱とした「国土強靱化のための3カ年緊急対策」を着実に実行し、災害に強い国造りを強力に進めます。

憲法の規定により、予算案の年度内成立が確実となりましたが、新型コロナウイルス感染症が拡大しており、この緊急事態に対処するためにも予算案の速やかな成立と、迅速かつ着実な執行が大事です。

2020年度予算案の衆院通過を受け、安倍晋三首相の表敬を受けました。


「家族の幸せ」の経済学.jpg「データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実」が副題。「帝王切開なんてダメ、落ち着きのない子に育ちますよ」「赤ちゃんには母乳が一番。お母さんの愛情を受けて育つから、頭もよくなるんだよ」「子どもが3歳になるまでは、お母さんがつきっきりで子育てしないとダメ」など・・・・・・。それは「真実」なのか、「神話」「思い込み」「間違い」なのか。データ分析をし、わかりやすく解説する。

結婚の経済学――「男性の5人に1人、女性の10人に1人は生涯独身」「キャリア女性ほど、結婚のメリットは減っている」「カップルの2割がマッチングサイトで出会っている」。赤ちゃんの経済学――「帝王切開はお母さんと赤ちゃんの健康に悪影響を及ぼしかねないが、帝王切開で生まれた子どもは問題がある子どもだというような偏見は誤り」「母乳育児で生後1年間の胃腸炎と湿疹が減少するが、肥満・アレルギー・喘息防止効果や知能・行動面の長期的効果は確認されていない」。育休の経済学――「育休があれば仕事への復帰もスムーズだが、長い育休は逆効果となる」「子どもにとって育つ環境は重要だが、育児をするのは必ずしもお母さんである必要はない(良い保育士さん)」「育休3年制は無意味、1年がベスト」「給付金の充実よりも保育園の充実を」。

イクメンの経済学――「男性の育児休業取得率は増加傾向ながら低水準」「北欧では7割のパパが育休を取得」「育休をとるパパの勇気、上司の勇気は伝染する。影響大」「育休取得はお父さんの所得をわずかに下げるが、家族のライフスタイルが変わる」。保育園の経済学――「幼児教育は、子どもの知能指数のみならず、意欲、忍耐力、協調性を含む、社会情緒的能力を改善し、人生に大きな影響を与える」「知能より、軋轢を生む問題行動を減らす効果がある」「子どもの発達を改善する効果は、恵まれない貧しい家庭で育つ子どもたちに強く表われる」「保育園は、母親の幸福度も上げる」。離婚の経済学――「3組に1組の夫婦が離婚しているというが違う。2015年の有配偶者離婚率は1000人あたり16.7件」「離婚そのものが子どもの発達に悪影響を及ぼすというよりも、離婚が生み出す貧困が悪影響を及ぼす」「諸外国では共同親権を導入済み」「必要なのは子どもへの直接支援」。

丁寧にデータ分析してくれている。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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