米・コロラド州出身、93年にハーバード大学比較宗教学部卒業し、同年来日、「日本が大好きで、四半世紀以上も日本に住み続け、日本で過ごした時間は僕の人生の半分以上になった」というパックンが、「『日本バイアス』を外せ! 世界一幸せな国になるための緊急提案15」を示す。
「第14の課題――日本の国力」。それは「国力というとすぐ、軍事力、経済力というがそろそろそれ以外の指標を考えてもいい時期ではないか。国民が満足する『幸福力』、日本の豊かな文化や歴史の文明度。犯罪率が低く、教育レベルが高く、格差が比較的少ない日本‥‥‥。日本に足りないのは『世界に見せるビジョンであり、世界に発信する力』だ」という。「第15の課題――世界に示す日本の役割」では、「日本は世界と戦う国ではなく、世界を助ける国になるというのが、僕の一番お勧めの提案。平和憲法を持っている大国として、有色人種の"希望の星"として、宗教的対立のない国として、世界で唯一と言っていいくらいこの役割に向いている条件が揃っている」「世界の弱者を救済する平和大国へ!」という。
「少子化対策は急務」「移民には犯罪者が多い、失業率が増える、日本の文化がなくなるなどは偏見。移民のパワーを受け入れるアメリカ人の多様性」「AI時代は人口減少・少子高齢化の日本に良いバランス」「日本の教育は基礎知識や倫理的レベルの高さを保ちつつ、コミュニケーション力や発想力をもつ人材を育て、世界一の人材輩出国に」「年金改革、高齢化先進国として世界の先駆けモデルを」「沖縄・基地問題、北方領土問題――もっと議論を」「消えない差別、性的マイノリティはまだ生きにくい――"理性の力"で自分の中の偏見に打ち勝つ」「『再生可能エネルギー大国・ニッポン』という新しい可能性」「テロリストを根絶する戦争で、むしろテロリストが増えた――日本は災害地の人々を救う国であり平和大国、人を助ける国に!」「"靖国"はどう見られているか」‥‥‥。
日本バイアスを外して、「新しい発想と視点で、世界に唯一無二の存在感を示す‥‥‥日本がそんな国になれたら最高ですよね」と、日本愛が伝わってくる。
江戸の後期。土地も金も水も米もない貧しい藤戸藩に生まれた道具役(藩お抱えの能役者)の長男・屋島剛は、継母に冷遇され、嫡子としての居場所も失う。剛の居場所は、母の死体を海に流した低地の野宮と呼ばれる野墓だったが、そこで同じ道具役の息子・岩船保の手を借りて能を覚える。石舞台の上での独修だ。しかし、文武に秀でた保は不可解な事件で切腹となり、さらに若き藩主が急死し、なんと剛が身代わりを命じられる。
保がめざしていたのは「ちゃんとした墓参りができる国」を創ること。そして保は剛に3つの言葉を遺す。それは「素晴らしい役者」「思いも寄らぬことをやる」「うらやましい」ということだ。どうすれば貧乏藩を救えるか。参勤交代と御手伝普請の免除を引き出せるか。将軍にそれをさせる方策はあるか。そこにたどりつく径路はあるのか。剛が辿り着いたのは、能という芸を極め、将軍が日々暮らす御座之間で催される「奥能」の世界だった。
研ぎ澄まされた筆致で能の世界の深さを描く。「離見の見」「能役者は冥界と現世を行き来する者である」「己れの躰の重さの向きを感じろ」「能は詰まるところ、美を見据える舞台である。成熟の行く手を美に置く。ただし、生強の美ではない。ありえぬはずの処にある美だ。能はそのありえぬはずの処を、老いに求めた。老いは酷い。その酷い老いを超えてなお残る美を、能は追う」「軸。軸がわかれば、おそらく能を能にしているものがわかる」「能は美を目指しているのではない。肯定を目指して美を研ぎ澄ましている。だから能は優しい。が、それだけに演ずる者には過酷だ」・・・・・・。
そして剛は「思いも寄らぬことをやる」と決断し、賭け、跳ぶ。深く、緊迫感のある凄まじい作品だ。
19日、改正動物愛護管理法が12日に成立したのを受け、国会内で「動愛法改正のふりかえりと今後の課題《主催=公益財団法人動物環境・福祉協会Eva(代表:杉本彩)》」のシンポジウムが開催され、挨拶をしました。
同法では、①悪質な動物虐待を防ぐために、虐待罪の罰則が懲役2年以下から5年以下に厳罰化②販売禁止の規制を49日から56日へすること③飼い主や事業者の責任を明確化し、身元確認ができるマイクロチップの装着義務化――などが決まりました。
私は、杉本さんをはじめ愛護団体から要望を聞き、法改正に尽力。シンポジウムで「皆様方の熱意と真剣な取り組みで法律改正ができた」と挨拶。杉本彩さんからは「太田さんの"厳罰化をやろう"という言葉に涙しました。感謝します」という紹介をいただきました。
経済について、「世間で信じられている常識、政府の公式見解や経済学者の解説、あるいは新聞やテレビから流れてくる情報とは、文字通り180度違う内容が書かれている」がゆえに"奇跡"という。「デフレ時とインフレ時とは全く異なる政策をとるべきこと」「合成の誤謬を意識すること」「貨幣とは何かを掘り下げよ」「財政赤字とは何か」「税とは何かを明確にせよ」「グローバリゼーション、保護主義、TPP等をよく考えよ」など、根源的な問題から切り込む。
「平成時代、なぜ日本経済は成長しなくなったのか」が問題の柱だ。それは「デフレ時なのに、インフレ時の政策を行ったからだ。やってはならないことをやってきた。"デフレの中心で、インフレ対策を叫ぶ"という正反対の誤りをしたからだ」という。デフレを脱却させる。そのためには「大きな政府、財政支出の拡大、減税、金融緩和、規制の強化(産業保護・労働者保護)、重要産業の国有化、グローバル化の抑制」「平成日本で正しいとされてきた経済政策(金融緩和を除く)とは正反対のことをやれば、デフレからインフレとなり、日本経済は成長に向かう」とし、合わせて「財政再建、財政破綻」についても鋭角的に論述する。