東野圭吾ガリレオシリーズ第3弾。ガリレオシリーズを不動のものにした傑作だが、「ハーバードの日本人論」(佐藤智恵著)でカレン・L・ソーンバー教授が「村上春樹と東野圭吾が世界で愛される理由」を講義している。そこで紹介しているのがこの「容疑者Xの献身」だ。
天才数学者である石神哲哉は高校教師の職に甘んじ不遇の日々を送っており、自死をも考える。そんな時、隣りに引っ越してきた花岡靖子と美里の母娘に魅せられ生きる灯を見出していた。ところが、ある日、この母娘が離婚後もつきまとわれ"疫病神"のような元夫を殺害してしまう。石神は母娘を助けるべく、完全犯罪を企てる。母娘のアリバイは完璧、捜査は難航する。刑事・草薙俊平は困り果て、友人の天才物理学者・湯川学に相談する。なんと、湯川と石神は大学時代の友人、互いに"天才"と認め合うほどの間柄だった。
2006年の「直木賞」「本格ミステリ大賞」「このミステリーがすごい!2006」等の受賞作。今更だが、面白い。
9月1日「防災の日」――。地元では、町会・自治会、連合町会の防災訓練が多くの会場で行われ、参加しました。
実践的な訓練や知識習得ができるようにと、どの会場も様々工夫を凝らした訓練となりました。行政が、タイムラインやハザードマップを作成し、避難場所を指定したりするなど、さまざまな対策を行なっても、いざという時に大事なのは一人ひとりの行動です。私は以前から「自分がどう動くかのマイタイムライン」「自助・共助・公助にプラスして近助の顔の見える連携」の大切さを訴えてきました。
この日も多くの方と挨拶・懇談をしました。暑いなか、準備・運営をしてくださった役員や消防署・消防団の皆さん、参加してくださった方々に感謝です。
たしかに「日本人ほど『日本人論』が好きな国民はいない」ようだが、この本はハーバードの教授陣の「日本研究」「日本人研究」のエキスが集約されている。名だたる教授陣に、その著書、研究、授業を通じて「日本人の特性」について佐藤智恵さんがインタビューしている。「日本の映画」「美術史」「遺伝学」「分子細胞生物学」「日本の政治」「日本社会」「マネジメント」「宗教」「日本文学」「比較文学」という広範な10の講義が紹介される。その"日本人論"も本格的できわめて興味深い。
「映画から視覚リテラシーを学び、視角言語を読み解く方法を習得したい。映画の文法、映画の視角言語を教えるのに、黒澤明の『用心棒』ほど素晴らしい教材はない」「北野武の映画が象徴する"海と日本人"――『HANA-BI』のエンディングは北野監督が描きたかった時間と人生の関係性が凝縮されている」「日本人はなぜロボットを友達だと思うか――テクノロジーを肯定的にとらえている」「伊藤若冲ブームが続くが日本人はなぜ細部にこだわるのか――若冲は広大な天空ではなく、生物の細部の中に宇宙を見出した画家だった(日本製品の品質の高さにつながる)」――。
「日本人はどこから来たのか(古代DNA解析で迫る日本人の起源)――ホモ・サピエンス・サピエンスはアフリカを出て東へと拡散していく過程で、旧人類と交雑している。日本人のDNAの98%はホモ・サピエンス・サピエンス、2%は旧人類由来。弥生人のDNAは"黄河ゴースト集団"からの影響を強く受けていると思う」「日本人はなぜ長寿なのか――魚、大豆、海藻」「日本人はなぜ『場』を重んじるのか――所属している組織、職位を重んじ、他者への警戒心が強い」「日本人のオペレーションはなぜ簡単に真似できないのか――テスラ、GMがトヨタに学ぶべき現場文化。日本人は『完璧な品質を追求する』『継続して改善を行う』国民性をもつ」「清掃を尊ぶのは神道の、けがれを拒否し清浄感を重視することから。禅とスティーブ・ジョブズ」――。
「日本人はなぜ周りの目を気にするのか――会社や組織に対する忠誠心は『忠義』から。江戸時代の武士が何よりも重んじたのは『世間体』。判官贔屓は世界共通」「日本人はなぜ物語の結末を曖昧に描くのか――村上春樹(ノルウェーの森)、東野圭吾(容疑者Xの献身)が世界で愛される理由(善悪等の基準への問題提起)」――。
ハーバード大学の10人の教授が、これほどまで日本(人)研究をし、学生に多様な価値観の問題提起をしていること自体が驚きでもあった。
「外濠の水質浄化を」「東京を水の都に」――。27日、公明党東京都本部の「水と緑の回廊PT」(顧問=太田昭宏、座長=竹谷とし子参院議員)は、都庁でPTを開き、東京都の都市整備局、建設局、下水道などの関係5局と意見交換を行いました。これには、竹谷としこ参院議員、都議会から小磯善彦都議会議員(副座長)、上野和彦都議会議員(事務局長)など多数の都議会議員と、関係各区の区議会議員らも参加しました。
このPTは「東京を水の都に」をめざし、水質の悪い外濠を浄化し、あわせて日本橋川などの水流を舟運・観光のできるものにしようと取り組んできたもの。東京都からは「しゅんせつ工事の施行状況」「下水道による対策状況」「都市整備局の外濠の水質浄化に関する検討」について報告がありました。
国と、東京都や関係各区・地域団体などと連携しないと実現できない大プロジェクトであり、その推進力が公明党です。推進に力を入れます。
深夜のファミレスで突然、男の体が炎上、雑居ビルにも被害が及ぶ。さらに奇妙なことにオオカミ犬による連続殺傷事件が発生する。担当したのはベテラン刑事の滝沢とともに、若き女性の刑事・音道貴子。男性刑事からは今でいえばセクハラ・パワハラまがいの嫌味をいわれ、夫には浮気をされて離婚もする。しかし貴子は「女なんて」と言われながらも、それを乗り越えて真っすぐに進む。
1996年の直木賞。ポケベルが最大のツールであったひと昔前、昼も夜もない刑事という職業が及ぼす家族との葛藤、男性の職場ともいえるなかでの女性刑事の苦闘が、複雑かつ凄絶な事件のなか浮き彫りされる。
ハーバード大学のソーンバー教授が日本文学を教える教材として「凍える牙」を取り上げているという(「ハーバードの日本人論」佐藤智恵著)。「学生から高評価を受けている」「日本の刑事司法制度の課題だけではなく、職場における男女格差問題を浮き彫りにしている」「貴子の人間としての強さに共感する」と言っている。より根底には、その時の社会問題を抉るとともに、単なる善悪の二分法に立たない日本小説の魅力があるようだ。たしかにこの「凍える牙」は時代を映すとともに、「加害者」が「被害者」であり、「善悪」の基準を問いかける。それゆえに最も惹きつけられるのは、「オオカミ犬疾風」と「覚醒剤中毒にまでなった笑子」の寂寥だ。