5月20日の閣議で、安倍総理から初代の水循環政策担当大臣に任命されました。今年3月に新たに成立した「水循環基本法」に基づき、水の総合的政策の司令塔を担うことになります。
水は貴重です。しかし今、世界で"油より水"と言われるほど水の争奪戦が激化しています。山紫水明といわれる日本は降水量も多く水は極めて豊富。また、漏水がない、サビ等がないなど上水道の技術が発達しており、水道の水がそのまま飲めます。さらに、農業用水、工業用水、発電などにも利用され、人々に大きな「恵み」を与えてきました。一方、洪水や土砂崩れなどの災害に見舞われるのも日本の特徴で、豪雨は集中化、局地化、激甚化している状況です。
水の「恵み」を活かし、「災い」から国民の命を守るため、水循環全体を視野に入れていくことが大事です。
これまでは関係する省庁も多く、対応もバラバラでしたが、これではいけないということで作られたのが「水循環基本法」です。同時に「雨水の利用推進法」も成立しましたが、"水は貴いもの"という理解をより深めていくことも大事です。
貴重な水が健全に循環する社会に向けて取り組みます。
「天国はいらない、ふるさとがほしい」――。ロシアの共産主義革命に批判的だった詩人・エセーニンの詩の一節だ。チェルノブイリの原発事故で汚染されてしまったナージャ村で、村を離れずに生き続けた農夫が、このエセーニンの詩を暗唱したという。
本著は松本健一さんの講演集だが、背景には東日本大震災がある。そして当然、近代、文明、歴史、日本再生、アジア、日中や日韓関係が語られ、確かなる視点、思想が示される。その核心は、パトリオティズムだ。「限界集落」「コメづくり(泥の文明と文化)」「国の自然を保全してもらうナショナル・トラストの担い手」「一所懸命のエートスをもつ民族」等を語る。
「人はパトリを失って生きていけるのか」「パトリオティズムこそ、私たちの長い歴史のなかでの人間の生き方だ」「各国ともネーション・ステート(近代の国民国家)をつくる方向で進んできたが、それはふるさと喪失のドラマでもあった。しかし若者の言語のなかにも、緑の多い風土に安らぎを感じる文化的遺伝子"ミーム"が刷り込まれている」――これからの日本の歩むべき道を根源的に示している。
5月17日、栃木県宇都宮市に行き、「利根川水系連合・総合水防演習」に参加しました。
この訓練は、毎年梅雨の出水期に入る前に実施しており、今年で63回目。今回は、国土交通省のほか栃木県、宇都宮市の警察、消防団、自衛隊など27の関係機関や地域の団体、中学生など約1000名が参加し、見学者も含めると約2万人と大規模なものとなりました。
会場となったのは鬼怒川(下流で利根川と合流。利根川はもともと東京湾に流れていたが、江戸を洪水から守るため、徳川家康が命じて1600年代に太平洋側に注ぐように改修――「利根川の東遷」)の河川敷。
決壊しそうな堤防を守るための各種水防工法の実施、中学生も参加する土のうづくり、ヘリコプターや重機を使って川の中洲にとり残された人の救出など、さまざまな訓練が次々と展開されました。
豪雨災害は局地化、集中化、激甚化しており、いざというときは地域の力で地域を守り抜くことが大事です。「多くの見学者にも実感をもって防災に活かせる実践的な訓練ができた。出水期に向けて万全の体制をとっていきたい」と私は訓練後の会見で述べました。
成果の多い訓練ができました。
5月16日、福島県いわき市のほうとく幼稚園の園児たちや保護者の方が国交大臣室を訪れ、懇談しました。
この幼稚園は東日本大震災で園庭の4分の3が崩れてしまいましたが、2012年の「緑の環境デザイン賞」国土交通大臣賞を受賞して、田んぼやビオトープなど緑豊かな園庭に作り変えました。この賞は、緑化のプランを提案し、優秀な作品にその実現に必要な費用を支援するもの。ほうとく幼稚園では受賞後1年をかけて、園児たちも参加して計画どおりの園庭を作りあげ、その報告を聞かせてもらいました。
プレゼントは新しく作った田んぼで収穫された貴重なお米。子供たちからは「僕たちが田植えをして、脱穀までやったんだよ」「おいしいお米の炊き方を教えてあげるよ」「カエルやトンボもいるよ」と、元気な声を次々に聞きました。
緑の中で土に触れて作物を自分で作ったり、自然を観察できるということは、非常に貴重な経験です。地域が主体となった緑化の取り組みをこれからもしっかり応援します。
流通は経済のさまざまな面とつながっている。メーカー、問屋、小売業の関係が激変し、チャネルリーダーの地位を確保する戦場でもある。都市の形成、中心市街地の状況、人口減少・高齢社会の消費行動、ITの技術革新、海外との貿易や投資などの変化がただちに反映する激しい世界だ。
「"そうは問屋が卸さない"というが、最近は"そうは問屋に卸さない"という人もいる」「流通業の変化の縮図が問屋にある」「徹底した少品種多量で勝負するユニクロのビジネスモデル」「情報通信技術が流通業の変化の大きな原動力」「都市の変容と百貨店の反撃(百貨店の内外への商業集積)」「チャネルリーダーの小売店へのシフト(家電、化粧品、大衆薬など小売店の大型化)」「第1回ノーベル経済学賞のヤン・ティンバーゲンのグラビティモデル(引力)と二国間貿易」「アジアの中産階級の台頭で貿易は今後増える」「アジア市場の激化と銀座店によるブランド発信(ユニクロ等)」「観光客に日本ブランド(食、文化、商品)を発信せよ」・・・・・・。
アジアの需要を内需ととらえる肺活量を――そう私は言ってきたが、伊藤先生は現場を踏まえた動体視力をもって、より専門的に分析・提案してくれている。「現場から見えてくる日本経済」が本書の副題だ。
