11月9日、午前中の茨城県での津波防災訓練を終えて鹿児島県の奄美大島に飛び、「奄美群島日本復帰60周年記念式典」に出席。10日は、群島内12市町村の首長、議長などとの懇談会を行い、観光資源や産業、地域づくりの現場の視察も行いました。
奄美は戦後米軍の統治下に置かれましたが、島民や島出身者が強く復帰運動を展開し、昭和28年12月25日に日本復帰が実現しました。復帰のために島民が断食したり、「日本復帰の歌」(式典で小学5年生の安大智君がピアノを弾きながら熱唱。感動的でした)が歌われるなど、日本人、日本国民であることを努力して勝ち取ってきた歴史があるだけに、郷土への強い思いを感じます。
式典は全国から多くの関係者が出席して盛大に開催。私は、「来年3月に期限を迎える奄美群島振興開発特別措置法を確実に延長させる。新たな交付金制度も実現に向けて努力している」と祝辞を述べました。
奄美の観光資源は魅力的。琉球と一体となって世界自然遺産登録を目指し、進んでいます。アマミノクロウサギなどが生息する金作原(きんさくばる)原生林を視察しましたが、高さ10mにもなるヒカゲヘゴが茂る森は美しく幻想的でした。
産業では、島のサトウキビから作った黒糖を使った焼酎は奄美独特のもので、製造工場を視察しました。また、情報通信産業インキュベート施設には、技術を持った企業が東京などから移ってきています。ITによって、距離よりも場所を優先する時代が始まっています。熱心に地域づくりに取り組んでいる多くの方々と懇談しました。
来年は特別措置法の延長をはじめとして奄美にとって節目となる大事な年です。しっかり取り組みます。
11月9日午前、茨城県ひたちなか市で国交省や茨城県などが主催する「大規模津波・地震防災総合訓練」を行いました。
11月5日は「津波防災の日」。安政南海地震(1854年)の津波の際に稲に火をつけて人々を高台に避難させた「稲むらの火」の逸話(濱口 梧陵)にちなんだものです。
訓練会場の常陸那珂港は、東日本大震災でも5.4mの津波が押し寄せ、大きな被害が出ました。今回の訓練は、三陸沖から房総沖で大規模地震が発生し、10.7mの津波襲来という想定で実施。国、県、市のほか、港や周辺の企業で働く人など154の機関や団体から約1400人が参加、隣接の会場で開かれる防災フェアと合わせると約1万人参加の大規模なものです。
国交省も、北海道、東北、関東、北陸、中部、中国の各地方整備局からのTEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)や海上保安庁、気象庁など約200人が集結、情報収集や道路啓開に当たりました。
津波に対しては、まず逃げること、そして連携が大事です。今回の訓練は、陸上と海上、そして空からとの連携を実際に行い、対応を確認しました。
これからも命を守る防災対策にしっかり取り組みます。
11月8日、インドのヴァサン海運大臣と会談しました。
インドでは、港湾、道路、鉄道といった交通インフラの整備が遅れています。以前インドを訪問した際も、インドの要人から、おいしいマンゴーを作っても港湾、道路が未整備のため、輸出できずに悔しいとの話しを聞きました。デリー・ムンバイ間産業大動脈構想を始め高速道路や高速鉄道、都市鉄道、港湾――近年、インドでは大規模インフラ整備が目白押しです。ヴァサン大臣との会談でも港湾の整備について、日本の支援に強い期待が示されました。
インフラの輸出の推進は政権の重要施策であり、成長戦略の柱。国土交通省が重要な役割を担います。私も機会を捉えて、日本の優れた技術を外国要人にPRする等トップセールスに努めていますが、最近、成果が挙がってきています。
先月29日に開通したトルコのボスポラス海峡横断鉄道。ヨーロッパとアジアを海底でつなぐ世紀の大事業を日本の企業が担いました。また、11月に入りJR東日本を含む日本企業連合が、タイ・バンコクの都市鉄道プロジェクトのシステム・メンテナンスを一括して受注しました。日本の鉄道会社を含む企業連合が海外の鉄道プロジェクトを受注するのは初めてのことです。いずれも、日本企業が有する高い技術力、運営ノウハウが評価されました。
アジア地域では、大規模インフラプロジェクトが目白押しであり、日本企業の受注に向け、次々と手を打っていくことが重要です。日本の優れた技術力や運営ノウハウのPR、相手国の実情に即したプロジェクトの提案やビジネス事業環境整備。やるべきことは一杯あります。先頭に立って頑張ります。
「世界の美しさ」とは、世界各地の想像を絶する過酷な現場、戦争、貧困といったギリギリの極限状況のなかでも"生きなければならない"、業を背負った生命から噴出する「人間の美しさ」だ。希望を見い出し、光を見付けようとする人間のむき出しの生命力と、そうした次元において発見する"人の支えの力"だ。石井さんはそこに「小さな神様」「小さな物語」を発見し、「人と人とを結びつける。人にまったく知らなかったことを伝える。人が胸の内に大切に抱えているものを肯定する。人が人を思い、支えようとする・・・・・・」という、壮絶な人間世界をドキュメンタリーとして「責任」をもって表現してくれる。人間が自分の孤独を埋め合わせてくれる存在や「ぬくもり」をいかに求めているか。それが光とか希望というものとアイデンティティの正体であることなど、指摘は鋭く温かい。
"装飾"に満ちた世界の対極に、人間の美しさが浮き彫りにされる。石井さんの"真っすぐ"な眼でこそ見える人間世界だ。