「本日をもって、本年我が国を訪れた外国の旅行者数は史上初めて1,000万人を突破しました」――12月20日、成田空港で、外国人旅行者数1000万人突破のセレモニーを行い、私が宣言をしました。そして、1,000万人目となるタイのパッタラプラーシットさんご夫妻に記念品を差し上げました。ビジット・ジャパン・キャンペーンが開始されて10年。毎年めざしながらも達成できなかった目標がついに達成でき、喜びが広がりました。
元気なところには人が集まる――これは日本がまさに元気を取り戻した証しだと思います。加えて、この1年、日本には世界に向けて発信すべき3つの明るい話題――「富士山の世界文化遺産への登録」「2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催決定」「和食の無形文化遺産への登録」がありました。観光は間違いなく、日本の成長戦略の大きな柱です。
世界には年間8千万人を超えるフランスを始め、多くの観光大国があります。1千万人は単なる一里塚。更なる高みを目指すことが必要です。「見るもの」「食べもの」「買いもの」――この3要素のブランド化や発信、観光地の「点」から「線」、「線」から「面」への展開による広域的な観光ルートの形成、WIFIネットワークの整備や公共施設の案内表示の改善、航空ネットワークの拡充等、やるべきことはたくさんあります。2、000万人の外国人を迎える国をめざして頑張ります。
幕末以前の民衆――それは「自分たちの生活領域こそ信ずべき実体であり、その上に聳え立つ上部構造は自分たちの実質的な幸福とは何の関係もないとする、下積みの民衆の信念」であり、「天下国家を論ずる上の方の人たちの、生活現場に関する無知を笑う」という民衆世界であった。そして、そうした民衆世界の自立性を撃滅し、国民国家を創立する、そして民衆を国民に改造する――それが近代である。さらにそれとセットになるのは「知識人の出現(近代知識人とは国民国家の創造をその任務とする)」だという。そして本書では「反国家主義の不可能性」と「国民国家における"人間の条件"」に踏み込んで語っている。
一方、「西洋化としての近代とその魅力」や「フランス革命再考」を示しながら、生活の豊かさや快適さとともに近代へのアンビヴァレントな思いは常にあり、それは「民族国家の拘束力がますます強化される」という呪いと「世界の人工化(自然との平常の交感を失う)」の呪いが痛切な問題として残ることを指摘する。
「近代とは何か」は「民衆とは何か」「グローバリズムとリージョナリズムとは何か」「国民国家とは何か」「進歩の帰結として何を失い、何に呪縛されることになったのか」等々の根本的問題を問いかける。深い。
人生はままならぬものだ。ましてや厳しく激しい魔性の芸能界ではなおのことだ。さらに経験のない若い女性がそこで生き抜き続けることは、仏典に説く「一眼の亀が浮木に遭う」が如き至難さであろう。凋落を感じながらも再起をかける女優、情熱を失いつつも今の仕事に向き合う女性マネージャー、ロケ地で偶然にも再び映画への道へ誘われる元女優。この三人の心象風景が見事に描かれる。
元女優の小学生の娘が、言葉を発せられずにティンホイッスルを吹く。人生の転機と再生、そしてその決断。自己存在の意味と証明。そして言葉と心。自分は何をしたいのか、自分の本心は自分でもわからない。しかし生命は知っている。それが噴き出すには、何かのキッカケがいる。"運と運命""縁と逡巡""有と無と空の世界"のなかで、自己肯定の決断がティンホイッスルの音として跳躍する。
12月14日、日・ASEANの首脳が一堂に会し、日・ASEAN特別首脳会議、特別ディナー(ガラディナー)が開催されました。私も関係閣僚として特別ディナーに出席し、各国首脳などと懇談しました。
特に、8月に訪問し、会談を行ったミャンマーのテイン・セイン大統領、9月に訪問したベトナムのズン首相、今月末に訪問予定のインドネシアのユドヨノ大統領――我が国がASEANとの関係を一層強化していく上でコアとなる重要な3カ国の首脳と懇談できたことは大きな意義がありました。
今年は日本とASEANの交流が開始されて以来、40年目の節目の年に当たります。これを記念し、一年を通じ様々なイベント、取組みが行われました。特別首脳会議はこのフィナーレを飾るイベント。首脳間で、更なる関係強化に向けた重要な合意がなされました。
40周年のテーマは「つながる想い」「つながる未来」。インフラ整備、防災対策、観光――日・ASEANの関係を一層強化するために国土交通省が大きな役割を担います。頑張ります。