「世界の美しさ」とは、世界各地の想像を絶する過酷な現場、戦争、貧困といったギリギリの極限状況のなかでも"生きなければならない"、業を背負った生命から噴出する「人間の美しさ」だ。希望を見い出し、光を見付けようとする人間のむき出しの生命力と、そうした次元において発見する"人の支えの力"だ。石井さんはそこに「小さな神様」「小さな物語」を発見し、「人と人とを結びつける。人にまったく知らなかったことを伝える。人が胸の内に大切に抱えているものを肯定する。人が人を思い、支えようとする・・・・・・」という、壮絶な人間世界をドキュメンタリーとして「責任」をもって表現してくれる。人間が自分の孤独を埋め合わせてくれる存在や「ぬくもり」をいかに求めているか。それが光とか希望というものとアイデンティティの正体であることなど、指摘は鋭く温かい。
"装飾"に満ちた世界の対極に、人間の美しさが浮き彫りにされる。石井さんの"真っすぐ"な眼でこそ見える人間世界だ。
11月3日、富山県に行き、地元の野上国土交通副大臣とともに、砂防事業とコンパクトシティの取組みを現地で確認しました。
まず砂防事業。立山から一気に富山市に流れる常願寺川は、全国有数の勾配で流れ下る暴れ川。今も流域には石がゴロゴロしています。明治政府が招いたオランダ人技師ヨハネス・デ・レーケが「川というより滝である」と言ったほどです。水源の立山カルデラは昔から大規模な土砂崩壊を繰り返し、流出する大量の土砂を食い止めて富山平野を守るための砂防事業が明治時代から、実に100年以上も続けられています。
ヘリコプターで立山カルデラ上空から大規模な崩れの実態と砂防の施設群を確認。厳しい地形に対して様々な堰堤を連続的に築く事業が長年にわたり続けられています。スケールの大きさはすごいものです。我が国は自然条件が厳しい脆弱国土ですが、人の力、高い技術力で対応し、国土を守る防災・減災の取組みをさらに進めます。
途中、立山砂防の世界遺産登録に向けて活動する女性の会の方たちと懇談しました。
次に富山市でまちづくりを視察。石井隆一知事から、国土交通大臣表彰を受けた富岩運河環水公園と、平成27年春に北陸新幹線開業を控えた富山駅周辺のまちづくりの説明を聞き、意見交換しました。
富山市はコンパクトシティのトップランナー。「中心部の人口は5年前から転入超過」「路面電車を環状化した結果、中心部での買物や飲食の消費が増えて活気が出た」「中心部への集中投資は効果が出ており、ブレずに進めたい」――森雅志市長の説明は、具体の成果が出ているだけに説得力があります。公共交通を利用して高齢者もまちに出かける工夫、人が公共交通の周辺に住むよう誘導する工夫に知恵を感じます。私もLRT(次世代路面電車)に乗車し、バリアフリーが行き届いていることを実感しました。
国土を守る防災と、人口減少時代のまちづくり。ともにしっかり取り組みます。
10月29日、トルコ共和国の建国記念式典が、東京神宮前の同国駐日大使公邸において開催されました。またエルトゥールル号の当時の記録についての展覧会のオープニング式典も行われ、私もテープカットに加わりました。今年は建国90周年の記念年。安倍総理夫人の昭恵さんを始め、閣僚、国会議員、和歌山県串本町長など多数の来賓が駆けつけ、式典は大変な賑わいでした。
トルコ、といえばイスタンブールが東京と2020年の夏季五輪の開催地を争ったことが記憶に新しいですが、日本との関係は123年前の1890年にさかのぼります。トルコ共和国の前身、オスマン帝国の使節団を乗せ、和歌山県串本町沖で遭難したエルトゥールル号。乗組員581人が死亡する大事故でしたが、串本町住民の必死の救助により、69人が救出されました。このときの献身的な支援がトルコ人の心を打ったと言われ、以来、友好関係が続いています。
また、トルコではこの日、安倍総理も出席し、ボスポラス海峡横断鉄道の開通式が行われました。アジアとヨーロッパがついに海底地下鉄(全長13.6km)で結ばれました。しかもこの大事業を担ったのが日本の建設会社。世界最深の海底60m、複雑な海流のなか、沈埋トンネルの難工事をやりとげ、日本の技術水準を世界に見せつけました。
昨日は、官邸で政府の経協インフラ輸出の会議も開催。成長戦略の柱でもあり、国交省が重要な役割を担います。