異色の対談だが、いい語らいが続く。驚愕の事件そのものを取り上げているというより、その事件を生み出した社会的背景を述べている。生の言葉で語られるがゆえに、説得力をもつ。
10大事件は「昭和金融恐慌」「2.26事件」「大政翼賛会と三国同盟」「東京裁判と戦後改革」「憲法第9条」「日本初のヌードショー」「金閣寺焼失とヘルシンキ・オリンピック挑戦」「第五福竜丸事件と『ゴジラ』」「高度経済成長と事件――公害問題・安保騒動・新幹線開業」「東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件(宮崎勤事件)」だ。昭和の時代は戦争が傷となり、トラウマとなり、その記憶は癒えず、体験を引きずっている。20年代終わりからは私も明確に覚えている。
「一億総老後崩壊の衝撃」と副題にある。今後さらに下流老人(生活保護基準相当で暮らす高齢者、およびその恐れがある高齢者)が大量に生まれ、日本社会に衝撃を与えるが、現在の若者の多くは下流老人と化す。
貧困の問題というと「絶対的貧困」とか「最貧困女子」などが取り上げられるが、「下流老人の問題は、絶対的貧困も含むが、相対的貧困が主体であるため、貧困が見えにくい。相対的貧困は、共同体の大多数と比べて著しく生活水準が低く、必要なものが足りないということだ」といい、この問題を安易に捉えてはならないと指摘する。
下流老人は3つのない――収入が著しく少「ない」、十分な財蓄が「ない」、頼れる人間がい「ない」(社会的孤立)――が特徴だが、「あらゆるセーフティネットを失った状態」と言う。ごく普通のサラリーマンであった人が65歳の時点で「資産(貯金+退職金)」「年金」で暮らそうと思っても、80歳を過ぎるとその資産が底をつく。途中、「病気」になった時(誰しもだが)、その結果は明らかだ。2025年問題というが、団塊の世代が80歳を超えた2030年問題への備えをどうするか。本書は、個人も国も今何をすべきかを、かなりストレートに具体的に踏み込む。
11月13、14日の両日、兵庫県に行き、公明党の講演会や淡路島―明石の就航・港湾施設の整備、観光振興の取り組み等の視察を行いました。井戸敏三兵庫県知事、久元喜造神戸市長、門康彦淡路市長、竹内通弘洲本市長等と懇談・要請を受けました。
13日、神戸市で行われた「赤羽かずよし衆院議員を励ます会」では、来年の参議院兵庫選挙区の予定候補者・伊藤たかえさんも決意を表明。私は「今は、日本の未来への確たるスタートを切る時。一億総活躍は、1人1人が輝く社会をつくること。外国人観光客も急増している。人流・物流の変化を直視して全力投球する」など、講演を行いました。
14日は、淡路島や明石で市長と行政関係者、地元の公明党議員等と打ち合わせ・懇談をしました。
外国人観光客が急増している。うれしいことだ。「2000万人になったら日本の景色が変わる」と私は言ってきたが、それはもう目前だ。一昨年、前年の837万人からついに1000万人を突破。さらに昨年は1341万人と飛躍した。そして今年は、1900万人を超える勢いとなっている。観光庁を管轄した私としては在任中に、じつに1000万人増ということになる。
2020年に2000万人達成を目標にしてきたが、今やるべきは「3000万人時代に備える」ことだ。本書では、その動向を把握し、ホテル不足、CIQや多言語対応、無線LANの整備、ムスリム対応、MICEやIRなどにもふれている。急速に動いている時の出版だけに、どの時点のデータかは苦労された点だと思う。観光は日本経済にも、地方創生にも劇的な好影響を与える。影響は多方面にわたる。本書に示された課題と展望をしっかり踏まえて進みたい。