こんにちは、太田あきひろです。
猛暑が続きますが、「どうなっているんだ。政治は。国をしっかりさせてよ」――現在の対話でまず出る言葉です。
今日23日、都内で東京都本部の政経懇話会が行われましたが、そこで私が発言したこと。それは「太田さん、何とかしてください。どういう国にするか方向を示してくれ」と言われることがありますが、今やるべきことは明確。それは外交の再建が急務であるとともに、「景気・経済がリーマン・ショック後よりも厳しく、企業の基礎体力も含めて根本的に崩れかけてきている」「高齢社会が進むなかで社会保障は大丈夫か」「首都直下地震がきて大丈夫なのか」――という3つの崩れ、3つの不安を中長期的(一過性でなく)に、建て直すことです。現場を踏まえないビジョンを机上でつくっている場面ではない。切迫した、日本の底が抜けたかのような深刻な問題を中長期的に建て直す、再建へのダッシュが大事なことだと思います。
「景気・経済の再建」は私自身ずっと強調していることです。この3年間の民主党の経済無策・デフレ脱却への意思の欠如は「普天間」同様、本当に取り返しのつかないことだと思います。私は(1)金融政策(2)財政政策(3)産業支援政策――を総動員せよ。財政政策は「防災・減災ニューディール」「再生エネルギー」「介護をはじめとする社会保障」の3つを柱にせよ。その活性化によって雇用をつくれ――と主張しています。日本再建に向けて、全力で頑張ります。
「ならん!ひとりの馘首もならん」――何もかも失った日本と日本人の昭和20年9月、国岡鐡造(出光佐三)は言い切る。「わが社には何よりも素晴らしい財産が残っている。一千名にものぼる店員たちだ。......社是である『人間尊重』の精神が今こそ発揮されるときではないか」「もしつぶれるようなことがあれば......ぼくは店員たちとともに乞食をする」――。「融資が受けられないのは、なぜなのかわかるか。......君の真心が足りないからだ。至誠天に通じると言うではないか」――。
どこもやらない、誰もやれない海軍燃料タンクの底に残った残油を浚う作業をやり抜く国岡商店の決死のサムライたち。そして石油の時代を予測し、時の覇権たるメジャーとも米英とも大企業や官僚とも戦い屈することのなかった国岡鐵三。
「GHQ」「公職追放」「石統との戦い」「士魂商才(武士の心を持って商いせよ)」「スタンダードとの戦い」「セブン・シスターズとの戦い」「極秘のイラン石油と日章丸」......。
「日本人の力。こういう日本人がいるかぎり、日本は必ず復興する」「楽しい50年ではなかった。苦労に苦労を重ねた50年であった。死ななければ、この苦労から逃れることはできないのではないかと思われるほどの苦労の50年だった」「全財産を投げうち、挫けそうになった鐵三を、頑張れ、諦めるな、共に乞食をしてもええと支えてくれた日田重太郎」「日本人の誇りと自信を失わなければ、何も怖れることはない」――「人間尊重、戦い続けた国岡鐵三の70年の道は正しい日本人の大道であった」と、百田さんは結んでいる。石油を武器に変えて世界と闘ったすさまじい男の歴史経済小説。
この書が、昭和20年9月の講演であること。3か月後に世に発刊されたこと。後に運輸大臣を務めたあの「永野兄弟」の一人、永野護氏の著作であること。戦争時には子供であった人が、平成の今、発言をしているのではなく、当時のリーダーたちの世界にいた一人の人物の実に率直かつ冷静な発言であること。――感銘した。
「この戦争の最も根本的な原因は、日本の国策の基本的理念が間違っておったということ。換言すれば、万邦共栄をいいながら、肚の中では日本だけ栄えるという日本本位のあり方をあらゆる国策の指導理念にしていた」「日本の国の利益のみを目的とする自給自足主義を大東亜共栄圏建設の名前で強行した」に始まるが、私にとっては田勢康弘さんが最後に分析することも全く同感。
「ポツダム宣言の政治性」「米英中(蒋介石8・15演説)」そして「科学と道義の裏づけなき独善的民族観が今日の悲運を招いた」がゆえに新しい人格教育の必要性の指摘など、迫るものがきわめて多い書であった。
後漢王朝(25~220年)を開いた劉秀・光武帝の若き日から建国までの物語。最も平凡に見えて最も非凡。徳があり、敵をも許す寛容と包容力によって諸将がつき、民は安心して支える。ひとたび戦に臨めば、100万の大軍にも寡兵をもってひるまず、機は逃がさない。歴史(書)を血肉とした深い洞察と無限の温かさがにじみ出る劉秀。
「後漢書」「史記」「資治通鑑」そして「論語」をはじめとして、膨大な歴史と哲学と人間学が本書から発せられる。「疾風にして勁草を知る」――後漢書にある劉秀の言葉。それをはじめとして、「赤心を推して人の腹中に置く」「人民とともにあり、人民に支えられるのが王者であり、人民を支配するのが覇者」「社稷(しゃしょく)をもって計と為し、万姓を心と為す」「常識とは大いなる虚である。虚を衝けば活路が開ける」「君子は固(もと)より窮す。小人は窮すれば斯に濫(みだ)る」・・・・・・。
「草原の風」――草は民。風を見る視座、風を感ずる心、風にゆれつつ風をも起こす民、勝機や時代の風等々、多くを感じさせる小説。