悪の箴言(マクシム).jpg仏の歴史と文化と伝統、神と人間と教会、欧州の戦乱・攻防――。その激しくも深く蓄積されてきた思想・哲学と社交の中から抉り出された人間学。ルイ14世の時代に生きた文人ラ・ロシュフーコーの「マクシム」(辛辣な人間観察を含んだ格言、箴言)が紹介される。まさに「言葉の短刀」。ラ・ロシュフーコーとともに、パスカル、ラ・フォンテーヌ、ラ・ブリュイエール、E・M・シオランをも含めて、鹿島茂氏でなければできない圧倒的な力業の"悪のマクシム"。"社交する人間"で、他人には短刀かもしれないが、自分には「お前そんなカッコつけているけれど・・・・・・」とズバッと心の中を荒々しく掴まれるようだ。

「人間は自己愛(ドーダ)に生きる動物であり、どんなに自己愛と無縁に思われる言動にも必ず自己愛が潜んでいる。『マクシム』はドーダから始まりドーダで終わる究極のドーダ論だ」という。「人はパンのみに生きるにあらず。褒め言葉にこそ生きるのである」「"面倒くさい"は日本人を律する最高のルールである」「人間の営為のすべては気晴らしにすぎない。楽しい労働もつらい仕事も、遊びも戦争も。気晴らしだけが人間を無為と倦怠という最悪の事態から救い出してくれる」「ドーダは死よりも強し」「好奇心も善行も虚栄心にほかならない」「『理性による承認』がなされたとき、初めて人は自尊心の十全たる満足を得る」「人々が感心する徳は2つしかない。勇気と気前のよさである(生命と金銭という2つのものを軽視しているから)」「ホームグローン・テロリストにある"極悪非道ドーダ"」「自我は『他人の栄光』が許せない」「妬み、嫉み、恨みは生命力の根源」「情念の最大の敵は『面倒くさい』」「自己愛はおのれを破壊もする」・・・・・・。

「耳をふさぎたくなる270の言葉」と副題にあるが、本当に(本当だから)グサッとくる。


荒川シンポジウム.JPG

荒川のタイムラインシンポジウム――。4日、東京板橋区で国土交通省荒川下流河川事務所・板橋区主催の「荒川はん濫!要配慮者利用施設の避難を考えるシンポジウム」が開催されました。シンポジウムでは、私が冒頭に挨拶。東京大学大学院情報学環の松尾一郎客員教授(板橋区総合防災アドバイザー)がコーディネーターでのパネルデスカッション等が行われました。水害が頻発するなか、水災害防止対策の充実したシンポジウムとなりました。

このシンポジウムでは「タイムライン」が焦点――。「タイムライン」は、私が国土交通大臣時代の2015年6月に全国に先駆けて「本格的な荒川下流タイムライン」として策定。台風上陸の3日前、1日前、12時間前といった時系列で、地方自治体や交通機関などがとるべき防災行動をまとめておくもの。アメリカでは、2012年10月にハリケーン・サンディがニューヨークを襲った際に事前に地下鉄を止めるなど、被害軽減に大きな効果を発揮しました。

荒川下流の「タイムライン」では地元自治体のほか、鉄道、電力、学校、通信、医療・福祉施設、企業など20機関、37部局もの多数の関係者が参加し、250項目以上にも及ぶ対策が練り上げられています。さらに充実を期するために、このたびのシンポジウムを開催したものです。

現在、全国の直轄河川109水系のほとんどにタイムラインが作られてきていますが、関係機関の協力・充実策が課題となっています。

私は経過を述べるとともに「全国のモデルとなるような荒川タイムラインを作ってもらいたい」と挨拶しました。さらに防災減災対策を進めてまいります。


説明①.jpg 猪子②.jpg

7月2日、東京・お台場パレットタウンで催されている「世界初のデジタルアートミュージアム」を視察しました。

これは森ビルとチームラボによるもので、施設面積1万平方メートル、施設内は「ボーダレスワールド」「チームラボアスレチック 運動の森」「未来の遊園地」「ランプの森」「EN Tea House」の五つの空間で構成されたもの。

世界初の公開作品を含む約40作品が展示されており、施設内に入ると次々と異次元の世界がデジタルで展開され、各部屋や作品、鑑賞者との境界のない(ボーダレス)アートの世界が広がります。

来場者は各部屋を歩きながら、案内図もない空間のなかで、滝に打たれたり、棚田の稲穂が広がる風景で遊んだり、花園やホタルの世界を体験します。子どもが書いた動物や魚がいきなり動き出したりし、この日もお子さん連れが多く来られて楽しんでおりました。また外国人の方が4割にもなっているとのことで、大盛況でした。

私も世界初のデジタルアートを生で体験しながら、未来の時代を感じてきました。

水族館③.jpg


51ClsC7FcTL__SX311_BO1,204,203,200_.jpg本書を読んでいるさなかに大阪北部地震が起きた。ついこの間は土木学会が、首都直下地震、南海トラフ地震、三大湾の巨大高潮、三大都市圏の巨大洪水を対象として「南海トラフ地震の20年累計の経済被害は1240兆円」「首都直下地震では731兆円」などという衝撃的な報告書を出した。東日本大震災、熊本地震から今回まで、日本を襲う大地震は確実に増え、活動期にあるようだ。

本書は日本の地底では何が起こっているのか、巨大地震や火山の噴火がどういう構造から起きているのかを、理学的見地から解き明かしている。「いま日本の地底で何が起こっているのか」「日本を襲う地震・噴火のメカニズム」「地底を知ることで見えてくるもの」「地震予知はどこまでできるのか」「地震の国・日本に住む私たちに、いまできること」の5章から成る。

2億5000万年前の超大陸「パンゲア」、海底だったヒマラヤとインドの北上、活断層の可視化、地底探査、海底電位差磁力計、コンピュータ・シミュレーション・・・・・・。きわめて興味深い。


さざなみのよる.jpg43歳、小国ナスミがガンで亡くなる。ガンは長い闘いであるだけに、人はある意味では強くなり、突き抜ける部分もある。「だからぁ死ぬのも生きるのも、いうほどたいしたことないんだって」――。もともと明るく、真っすぐ。

 「ナスミは、好江の話をいつも自分のことのように聞いて、腹の底から怒り、バカみたいに喜んでくれた。腹立たしいことも、時間が経てば、二人は犬がじゃれあうようにそのことで大笑いした」。加藤由香里が上司からひどい仕打ちをしたことを知って2発、顔面に見舞ったりもした。「私がもどれる場所でありたいの。誰かが、私にもどりたいって思ってくれるような、そんな人になりたいの」「清には、ナスミと話したファーストフード店を思い出す。二人が悲しみの真っ只中にいたことを。あれは、悲しいけれど、少し甘酸っぱい時間だった」「あげたり、もらったり、そういうものを繰り返しながら生きてゆくんだ」・・・・・・。

ナスミは一人で死んで逝ったが、家族や友人一人一人には、さまざまな感情が渦巻く。感謝したり、涙したり、微笑ましく思い出したり、今の自分の中にナスミが住んでいることに気付いたり、夜はさざなみのように寄せてくる。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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