「最近、雨の降り方がおかしくなっている。ハード・ソフト両面から対策を打っていく」――11月18日、全国から多数の市町村長が参加して開催された全国治水砂防大会に出席し、挨拶しました。
全国で時間雨量50㎜以上の雨(車のワイパーは効かず、マンホールから水が噴き出すほど)の発生件数が増加。豪雨が局地化、集中化、激甚化しています。私も昨年10月の伊豆大島の土砂災害(泥流が川のないところを流れていく河川争奪現象が発生)や、今年8月の広島市での土砂災害(バックビルディング現象により積乱雲が次々発生)の現場に行き、対策を打ってきました。また、平成23年8月の台風12号で深層崩壊の被害を受けて天然ダムが多数できた奈良県や、一昨年7月の九州北部豪雨で被害を受けた熊本県阿蘇地方の状況についても、現地で状況を確認し、復旧・復興に向けた手を打ってきました。また私は昨年11月、富山県立山の砂防事業を視察しました。立山から富山市に一気に流れ下る常願寺川は、明治政府が招いたオランダ人技師ヨハネス・デ・レーケが「川と言うより滝である」と言ったほどの暴れ川。水源の立山カルデラは昔から大規模な土砂崩壊を繰り返すため、流出する土砂を食い止めて富山平野を守る砂防事業が、明治時代から実に100年以上、営々と続けられています。厳しい地形に対してさまざまな堰堤を連続的に築く事業が長年にわたり続けられており、脆弱国土を人の力、高い技術力で克服する取り組みが展開されています。
異常気象が常態化して豪雨災害は新しいステージに入った今、ハード対策だけでなくソフト対策に重点を置いて取り組む必要があります。国交省では今年から新たに「タイムライン」の運用を開始し、台風上陸の前から計画的に避難に向けた対策を行うようにしました。また、臨時国会で土砂災害防止法の改正を行い(11月12日に成立)、警戒区域の指定や地域の避難体制を強化する対策を打ちました。
我が国は災害が頻発する脆弱国土。命を守る安全・安心の国土づくりにこれからもしっかり取り組んで行きます。
11月19日、空き家対策の特別措置法案が参議院本会議で可決され、成立しました。
空き家は全国の都市部でも地方部でも増加しています。その数は約820万戸で住宅全体の13.5%。20年前と比べると約370万戸も増加し、今後さらに高齢化や人口減少が進むとますます増加していく恐れがあります。
空き家が放置されて老朽化すると、まち並みの景観が悪くなるだけでなく、ゴミの不法投棄や不審者の侵入、放火など、さまざまな問題につながります。このため、全国で355の自治体が条例を制定して取り組みを進めていますが、私の地元の足立区はその先進事例。都内で初めて、老朽化した家屋の解体を助成する条例を2011年11月から施行して成果を上げており、このような先進的な取り組みを全国に広げていかなければなりません。
私もこれまで何度も、地元の足立区や北区で空き家問題の視察をしたり要請を受けたりしてきました。
使える空き家は利活用を進め、都市部では住宅として流通を促進するともに、地方部では地域活性化の拠点などとして活用することが有効です。一方、放置されて問題を起こす恐れのある空き家は除却を促進し、地域の安全と環境を確保する必要があります。今回成立した法律では、除却等の対象となる空き家についての指針策定や市町村に対する財政支援により、国も除却を積極的に支援していくことになりました。
地域の住環境と安全・安心を守るために今回の法律は大きな前進です。私もしっかり取り組んで行きます。