17日朝、首相官邸において、第4回観光立国推進閣僚会議が開催され、「観光立国実現に向けたアクション・プログラム2014」を決定しました。観光庁を所管する国交省がその推進力となるもので、全国を回りながら練り上げてきたものです。
我が国を訪れる外国人は、昨年史上初めて1000万人の大台を突破。今年になっても5月までの累計は、前年比28%増と、好調です。
今回策定されたアクションプログラムは、この流れを加速し、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に2000万人達成という目標を明記した意欲的なものとなりました。
アクションプログラムは、次の6本の柱で構成されます。
①「2020年オリンピック・パラリンピック」を見据えた観光振興
②インバウンドの飛躍的拡大に向けた取組
③ビザ要件の緩和など訪日旅行の容易化
④世界に通用する魅力ある観光地域づくり
⑤外国人旅行者の受入環境整備
⑥MICEの誘致・開催促進と外国人ビジネス客の取り込み
日本は四季折りおりの景観といい、観光客の求める「食べ物」「買い物」といい、日本人のやさしさ(おもてなしの心)や時間の正確さや技術水準の高さなど、きわめて大きなポテンシャルをもっています。「世界に通用する魅力ある観光地域づくり」は間違いなくできるし、可能性は大です。
また、ビザ要件の緩和については、インドネシア向けのビザを免除、フィリピン、ベトナム向けのビザの一層の緩和を決定しました。さらに、外国人向けの免税店の数を現在よりも倍増し、1万店規模とすることを盛り込んでいます。
2000万人達成へのエンジン役として、計画の実現を図ります。
「敗北を抱きしめて」のジョン・ダワーは「今日の諸問題に取り組むとき、私たちはいつも、第二次大戦における日本の降伏、次いで米国による対日占領、そして1951年から52年にかけてのサンフランシスコ講和および日米安保両条約に行き当たる」という。憲法、朝鮮戦争、そして領土・・・・・・。そして、両氏は「現在を理解するには、もっと長い目で物事を見る必要がある」「問題は、米中、日米、日中、日韓、日朝における緊張がどのように制御され、解決されるか、ということだ」という問題意識を共有する。ジョン・ダワーは、戦後日本を規定したサンフランシスコ体制の"負の遺産"として、「沖縄と"二つの日本"」「未解決の領土問題」「米軍基地」「再軍備」「歴史問題」など8項目を挙げ、"従属的独立"と手厳しくいう。歴史は、そうした"遺産"とそこに生ずる感情、力、経済、誇り、恥辱を含めて形成されて今をつくる。いずれにしても、大事な時にさしかかっている。
6月13、14日の2日間にわたり、長崎県、佐賀県に行き、知事、市町村長、各種団体から要請を受け、また公明党結党50周年の政経セミナーに参加しました。
長崎は「観光」発祥の地といわれており、モナコ、香港と並ぶ「世界新3大夜景」に指定されています。観光振興や長崎新幹線、道路整備、IR(統合型リゾート)のほか、離島(長崎は離島の数が日本一)・半島といった長崎特有の要望を受けました。
14日午後は佐賀市内に移動。佐賀県は平成35年に「国民体育大会・全国障がい者スポーツ大会」を目指していて、そのための有明沿岸道路や防災などのインフラ整備が大きな課題となっています。佐賀は米、お茶などの農産物、豊富な海産物やお酒のほか、陶磁器(有田焼、伊万里焼、唐津焼)など日本屈指のものを産出しています。
長崎も佐賀も大きなポテンシャルをもっており、それをどう生かすか。また直面している人口減少にどのように対応していくか。それらの資源・技術を生かすためのインフラ整備の大切さを感じる2日間となりました。
「明治以後の日本人は、なに食わぬ顔をして儒学を捨てた」「(しかし)江戸時代に学問は儒学しかなかった。人文科学も社会科学も自然科学もない。だから我こそはと意気込む天下の俊秀、大天狗、小天狗は、草莽の臣であっても、こぞって儒学に向かった。・・・・・・知と知を競い合うことに鎬を削った」「その知の競い合いの頂点に立った男こそ"知の巨人、荻生徂徠"その人であった」――その江戸の250年、日本人は脳に磨きをかけたからこそ、明治以来の人文科学等をただちに"我が物"にできたのだという。
この荻生徂徠伝は、伝記的な面と徂徠学、思想の面が融合して描かれる。
「財政難」「富士山噴火や大火」「生類をいたわり、憐むこと」「学問重視」の綱吉の時代は延宝8年(1680年)から28年に及ぶ。綱吉に重用された柳沢美濃守吉保の庇護のもと猛勉強した荻生徂徠。新井白石、伊藤仁斎・東涯父子との対立感情、荻生徂徠の下に集う平野金華、太宰春台、服部南郭、安藤東野、三浦竹渓らの俊秀。学者間の鍔迫り合いは時代の空気を浮き彫りにする。
「先王の道は天下を安んずるの道なり」「礼楽刑政こそが"道"である」――。道は天下国家を平定するために、聖人が建立した道である。朱子学一辺倒の時代に、それを乗り越え、徂徠学の根本テーゼを打ち立て、実践的な「道」の概念を重視した。「名君・徳川吉宗に天下国家を治める道を説いた思想家"荻生徂徠"」だが、本書で描く両者のやり取りも"いかにも"面白い。
「終わりなき危機 君はグローバリゼーションの真実を見たか」「世界経済の大潮流」の両著の延長線上にある。
「地理的・物的空間(実物投資空間)」に見切りをつけた先進国の資本家たちは「電子・金融空間」という新たな空間をつくり、利潤極大化という資本の自己増殖を継続している。リーマン・ショックは、その無理な膨張が破裂したものだ。グローバリゼーションは「中心」と「周辺」の組み替え作業であり、「先進国(中心)と途上国(周辺)」「ウォール街(中心)と自国民(周辺)」という構造をもつ。食料価格や資源価格の高騰は、貧富の二極化、中間層の没落を引き起こす。グローバル化と格差の拡大だ。「ゼロ金利は資本主義卒業の証」「矛盾が、資本主義終焉の一歩手前まで蓄積している」「資本主義の本質は"中心・周辺"という分割にもとづいて、富やマネーを"周辺"から"蒐集"し、"中心"に集中させることだ」――。
そこでどうするか。本書の意図はそこにある。まず資本主義の暴走を食い止めて、どう"定常状態"をつくるかだ。ゼロ金利、ゼロ成長、ゼロインフレに突入している日本は、それをアドバンテージだととらえて、人口減少に歯止めをかけ、国内での安価なエネルギー創出なども含め、"定常状態"をつくるべきだ。成長市場主義から脱却しよう、という。