小野寺一路、父が謀略によって不慮の死を遂げたあとを受け、突然、参勤交代を取り仕切る御供頭(おともがしら)の大役を継ぐことを命じられる。主君は知行7500石の旗本、西美濃田名部郡を領分とする蒔坂左京大夫だ。道は中仙道。季節は冬の12月、寒い難所続きだ。
参勤交代という珍しいテーマが扱われ、難所と各宿場での当時の現場の状況が活写されてきわめて新鮮。貫かれているのは、「参勤交代の行列は行軍也」ということだ。物語は「一路とは人生一路、命を懸ける道を歩むこと」「一所懸命」、そして「馬鹿とかうつけ、呆けたふりをしている賢者・名君」の振る舞いや、「今の世の中、うつけでのうては命をなくすゆえ」「人間には隙がなくてはならぬ」「人間の幸福とは、ある程度のいいかげんさによってもたらされるものだ」など、人間学の世界へといざなう。
表紙絵に全てが描かれており、これを見ながら読んだ。
先週は国土交通委員会が連日開かれ、法案審議が行われましたが、25日(土)には福岡を訪問。小川知事との会談、各種団体からの要望を受けました。昨年7月には大水害で大きな被害が出ており、道路、河川の改修だけでなく、福岡空港や港湾等の整備・拡充が求められています。さまざま懇談をしました。また公明党福岡県本部の「政経セミナー」に出席し、挨拶をしました。
26日(日)は、早朝から「阿武隈川水防演習」(国交省、福島県、阿武隈川流域23市町村主催)が開催され、東北各県の消防団など約3000人が参加。出水期を前にして水防技術の向上や地域あげての防災体制の強化への演習を行いました。また東日本大震災を教訓にした震災対応訓練では国交省東北整備局の道路啓開や住民および小学生による避難訓練なども行いました。
夕刻には、大相撲夏場所の優勝力士・横綱白鵬に内閣総理大臣杯を渡しました(安倍総理がミャンマー訪問中のため)。
18日、三重県紀北町で「第24回全国みどりの愛護の集い」が皇太子殿下ご臨席のもと行われました。素晴らしい晴天、鮮やかな新緑のなか、心がふくらむようでした。緑化や自然環境保護のために尽くされた方々の表彰、活動報告、そしてカワヅザクラなどの記念植樹をしました。
その後、全国に先駆けて建設された大紀町の「津波タワー」を谷口友見町長に案内いただき、紀勢自動車道については尾上壽一・紀北町長、西田健・紀宝町長とともに建設現場を視察しました。この地域は、三陸と同様の美しいリアス式海岸。しかし、南海トラフの地震では10mを越える津波が想定されており、町をあげての取り組みが開始されています。高速道路も経済・社会の側面だけでなく、海岸沿いも高い所を走るようにして、津波の時に駆け上がれるように階段や避難広場を設置するなど、防災上の工夫をしています。海岸沿いの町といっても、それぞれ異なった地形となっています。それに対応した町づくりを、その現場を見るなかで、懇談をし、要望を受けました。
フランツ・リストの「巡礼の年」「ル・マル・デュ・ペイ」が静かに、メランコリックに流れている。本書に低く奏でられているのは、この心に抱え込んでいる深い哀しみだ。
「自分だけに何故」――突然、あれほど親しかった4人の友に交流を拒絶され、多崎つくるは死を常に意識するほど追い込まれる。それが10年以上も続く。そして現実に肉体を殺害される以上に人生の色彩を奪い、"人生の亡命者"とまでに自らを変貌させた奪命的な傷が、じつは友人にも、年月を超えても振り払うことができないものであったことを知る巡礼の旅――。漱石の小説「こころ」をまず想起した。
人間は自分の色を持って生きる。多崎つくるが自覚するのは、「個性がない」「特段とりえもない」「色彩をもたない」ということだ。しかし高校時代の赤松、青海、白根、黒埜の4人の友人にとっての多崎つくるは、カラフルであったり、安心感のある良き器であった。そのことを拒絶された16年の苦悩を経て知る。
仏法でいう五大――地水火風空のなかで、調和という最も大切な働きである空の存在だ。この巡礼の旅は人間の心の深層に静かに迫るとともに、心地よく一気に読ませる。深く落ち着いて、いい。