おとなの背中.png

「如実知見」「諸法実相」――本書の哲学者の思考にふれて私の感じたことだ。「哲学は人間学だ」とつくづく思う。大人の人間学、熟練・練達の人間学だ。「教育」「育てる」ということは、教えるのではなく、「伝える」こと。背中で・・・・・・。「期待のされすぎはなぜしんどいのか」「期待のされなさすぎはなぜしんどいのか」――期待の過剰と期待の過小の社会。資格が問われ、選別されてばかりの社会。存在をかき消されてしまう社会。そのなかで人は自分の存在を「できる・できない」の条件を一切つけないで認めてくれる人を求め、溺れているかのようだ。複雑・多様・正解のない現実をどう受け容れるか。独立ではなく自立を、不如意への「耐性」が必要だという。

「文明が進めば進むほど天然の暴威による災害がその劇烈の度を増す(寺田寅彦)」「この国のほとんどの人は飢餓や戦争をはじめとして、生存が根底から脅かされるような可能性を考えないで生きている」「現代の都市生活はじつはたいへんに脆い基盤のうえに成り立っている。ライフラインが止まれば、人は原始生活どころかそれ以下に突き落とされる」「人は、その生活を"いのちの世話"を確実に代行するプロフェッショナルに委ね、自分たちでやる能力をしだいに失い、とんでもない無能力になっている」――。2007年以降、新聞や雑誌に寄せたエッセー集。いずれもどっしりして、根源的に考えさせられる。


来るべき民主主義國分功一郎.JPG

「小平市都道328号線と近代政治哲学の諸問題」と副題にある。「近代の政治理論は主権を立法権として定義している」「そして現代の民主主義において民衆は、ごくたまに、部分的に、立法権に関わっているだけだ」「しかし、より大きな盲点は、実際の政治・政策の決定が、議会という立法機関(国民主権の行使の場)ではなくて、執行機関に過ぎないはずの行政機関においてなされている。議会ではなくて役所でなされているということだ」「行政が全部決めるのに民主主義社会と呼ばれ続けている、ということだ」――。さらにそのうえで、ボダンやホッブスやルソーにおいて、主権が立法権として定義されている事実を示しつつ、「現代の危機は、単に民主主義や人民主権の危機なのではなく、主権の危機である。・・・・・・統治は本質的に、法や主権から分離していく可能性を孕んでいる(大竹弘二氏)」。「主権による立法によって統治を完全に制御することなど不可能であり、行政は行政自身で統治のために判断し、決定を下す」ことを明らかにする。現代議会制民主主義の盲点、欠陥だ。

そして、いくつかの提案がされている。「制度が多いほど、人は自由になる(ドゥルーズ)」「住民投票制度についての4つの提案」「審議会などの諮問機関の改革」「諮問機関の発展形態としての行政・住民参加型のワークショップ」「パブリック・コメントの有効活用」・・・・・・。議会制民主主義に強化パーツを足して補強する。それがジャック・デリダの「来たるべき民主主義――民主主義は実現されてしまってはならない、民主主義は目指されなければならない」が志向の線上にあるとする。

「政治家―官僚―民衆」を議院内閣制のなかで常に考える日々だが、本書は近代政治哲学の重大な欠陥を住民運動の実践と思索のなかで剔抉してくれている。


観光1000万人.JPG
「本日をもって、本年我が国を訪れた外国の旅行者数は史上初めて1,000万人を突破しました」――12月20日、成田空港で、外国人旅行者数1000万人突破のセレモニーを行い、私が宣言をしました。そして、1,000万人目となるタイのパッタラプラーシットさんご夫妻に記念品を差し上げました。ビジット・ジャパン・キャンペーンが開始されて10年。毎年めざしながらも達成できなかった目標がついに達成でき、喜びが広がりました。

元気なところには人が集まる――これは日本がまさに元気を取り戻した証しだと思います。加えて、この1年、日本には世界に向けて発信すべき3つの明るい話題――「富士山の世界文化遺産への登録」「2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催決定」「和食の無形文化遺産への登録」がありました。観光は間違いなく、日本の成長戦略の大きな柱です。

世界には年間8千万人を超えるフランスを始め、多くの観光大国があります。1千万人は単なる一里塚。更なる高みを目指すことが必要です。「見るもの」「食べもの」「買いもの」――この3要素のブランド化や発信、観光地の「点」から「線」、「線」から「面」への展開による広域的な観光ルートの形成、WIFIネットワークの整備や公共施設の案内表示の改善、航空ネットワークの拡充等、やるべきことはたくさんあります。2、000万人の外国人を迎える国をめざして頑張ります。



近代の呪い.png幕末以前の民衆――それは「自分たちの生活領域こそ信ずべき実体であり、その上に聳え立つ上部構造は自分たちの実質的な幸福とは何の関係もないとする、下積みの民衆の信念」であり、「天下国家を論ずる上の方の人たちの、生活現場に関する無知を笑う」という民衆世界であった。そして、そうした民衆世界の自立性を撃滅し、国民国家を創立する、そして民衆を国民に改造する――それが近代である。さらにそれとセットになるのは「知識人の出現(近代知識人とは国民国家の創造をその任務とする)」だという。そして本書では「反国家主義の不可能性」と「国民国家における"人間の条件"」に踏み込んで語っている。

一方、「西洋化としての近代とその魅力」や「フランス革命再考」を示しながら、生活の豊かさや快適さとともに近代へのアンビヴァレントな思いは常にあり、それは「民族国家の拘束力がますます強化される」という呪いと「世界の人工化(自然との平常の交感を失う)」の呪いが痛切な問題として残ることを指摘する。

「近代とは何か」は「民衆とは何か」「グローバリズムとリージョナリズムとは何か」「国民国家とは何か」「進歩の帰結として何を失い、何に呪縛されることになったのか」等々の根本的問題を問いかける。深い。


お土産交換.jpg
12月18日、キャロライン・ケネディ駐日米国大使と会談しました。会談では日米航空交渉、リニア、都市防災、観光、自動車のほか、大使の父であるジョン・F・ケネディ元大統領にまで話が及びました。当初の時間を大幅に超えて行われ、大変充実したものとなりました。

11月15日に着任以来、大使は精力的に公務をこなしています。東日本大震災の被災地も視察。復興に取組む被災地の方々に大変感銘を受けたようです。

「できるだけ多くのことを学び、新しい友人をつくることを楽しみにしている」「両国民の交流や相互理解の促進により同盟を強固なものにしたい」――大使の言葉から、日本での生活への期待とともに日米関係を更に発展させたいとの意欲を強く感じました。

日米同盟は日本外交の基軸。日米間には様々な課題もありますが、大使とも連携をとり、対応していきたいと思います。頑張ります。

会談その1.jpg
IMG_0011.jpg

<<前の5件

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

太田あきひろホームページへ

カテゴリ一覧

最新記事一覧

月別アーカイブ

上へ