政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.177 個性と魅力を磨いて地方創生/観光・スポーツ・小さな拠点などに知恵!

2023年10月 8日

宇都宮LRT.jpg「人口減少・少子高齢社会のなか、地方都市はどう活性化を図るか」「人手不足、原油高騰のなか、地方の産業はどう生き残りを図るか」――。この8月、9月、全国各地を何回も訪れ、「地方再生フォーラム」などに参加したが、抱える問題は共通し深刻化している。また8月末には宇都宮市のLRT(次世代型路面電車)開業式典にも参加。構想から実に30年、宇都宮と郊外の工業団地を結び、渋滞を解消し、新たな街づくりを行うもので、喜びが爆発する印象的な式典となった。地方創生・街づくりに、公共交通を再建することは、きわめて重要、全国に大きなインパクトを与えたと思う。トラック・バス・タクシーなどの2024年問題が課題となっているが、地方では高齢者の「足」がないことが、深刻になっている。地方の都市、町村それぞれの抱える問題は、違いを見せながらも共通している。岸田内閣は「デジタル田園都市国家構想」を目玉政策として掲げる。それをどう具体化して地方創生を図るか。総合的な戦略が大切だ。

その基本となるのは、私が国交大臣時代、2014年に打ち出した「国土のグランドデザイン2050~対流促進型国土の形成」だ。これは2050年を見据えて、我が国が直面する課題を克服し、未来を切り開く国土づくりの考え方を示したものだ。2050年には現在の居住地域の63%で人口が半分以下に減少、うち20%は無居住化するといわれている。このなかで、どう地方創生を果たすか――そのキーワードは「コンパクト+ネットワーク」。東京と同じような都市をつくるのではない。コンパクトに集約するとともに、個性ある都市をつくる。その個性ある都市と都市が連携し、人・モノ・情報が対流する国土づくりを目指す。各都市・各地域がそれぞれ個性を発揮して、違いがあるからこそ対流が起き、周辺との連携が始まるのだ。例えば私が先日、「フォーラム」に参加した愛知県豊橋市は農業も盛んで、自動車など製造業もある農工商バランスのある都市だ。それと産業の盛んな浜松市、リニアの駅もできる長野県飯田市を結んで相乗効果をもたらす狙いの三遠南信連携(三河と遠州と南信州)だ。今、着々と道路ができ、物流がより盛んになりつつある。

そこで岸田内閣の「デジタル田園都市国家構想」だ。田園都市国家構想が打ち出されたのは、大平内閣の1979年。大都市への人口集中、荒々しい都市化の波、公害が問題化するなか、「都市に田園のゆとりを、田園に都市の活力を」をテーマとし、過度集中を是正してバランスのとれた「多極分散型システム」への移行を目指した。そこに今回、「デジタル」の言葉をいきなり付けたため戸惑いもあるようだが、その真意は、デジタルを駆使して田園都市ネットワークを創る、デジタルを使って地方創生を推進するということだ。

道の駅.jpgその意味で、目指すのは地方創生だ。目的は地方創生、デジタルはその手段の一つだ。その地方都市・町村が今、人口減少などの嵐によって衰弱し、活力が失われている。そのなかで、どう「活力」と「防災・減災」と「個性ある都市」を創生するかが柱となる。工夫と挑戦は始まっている。

私は国交大臣の時以来、地方創生には「右手に観光」「左手に道の駅」「道路インフラのストック効果は経済活性化の源泉」と言ってきた。観光には、「観るもの、食べもの、買いもの」を磨き上げようとも言ってきたが、各地の努力はめざましい。また、「道の駅」を核として拠点づくりが行われ、長野県でいえば、青木村や豊丘村など活況を呈している所は多い。豊橋市では、2015年に比べて2045年では、就業者数が17万人から13万人に激減するという。それを補うものとして、外国人、女性、それに加えてデジタルという戦略を指摘されている。ブラジルからの外国人労働者がきわめて多い地域であり、言語や職業訓練の充実は進んでいる。これからの成長を考えた場合、文化・芸術・スポーツは重要だ。さいたま市などスポーツを重視し、活性化の柱としている都市も多い。サッカー、バスケットボールを活性化の起爆剤としていると都市も広がっている。先般の宇都宮市のLRT開業、富山市などのLRTを使ってのコンパクトシティなども、地域交通と街づくりの具体化だ。鳥取県八頭町では閉校となった隼小学校の校舎をリノベーションして、コミュニティ複合施設をつくり、集いの拠点となっている。

 「諦める者は理由を捜し、やる者は手段を捜す」――。対流、人流を起こす「地方創生」の官民あげての反転攻勢、知恵発揮に頑張りたい。

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