政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.199 多文化共生社会への態勢強化せよ/外国人の就労、受入れ環境の改善を!

2025年10月 7日

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日本における在留外国人数が増加している。訪日外国人旅行者数は、今年、ついに4000万人、経済効果も9兆円を超える見込みとなっている。一方、オーバーツーリズム、違法民泊での問題が顕在化している。外国人労働者も日本の急激な「人手不足」「エッセンシャルワーカー不足」を反映して、コロナ禍後は復調、増加している。技能実習生が毎年約7,0008,000人も失踪しているという深刻な問題も、新しく始まる「育成就労制度」などによって受入れ体制の充実が図られようとしている。今夏の参議院選を通じて「外国人は出ていけ」「外国人の絡む事件や事故、犯罪が多い」という声が噴出したが、総合的に現実を見すえた「多文化共生社会」を築いていく態勢を整える重要な時を迎えている。

こうした観点に立って、7月15日、政府は「外国人との秩序ある共生社会推進室」を内閣官房に設置した。出入国在留管理庁、重要土地を守る内閣府、外国人労働者を取り扱う国土交通省、厚生労働省、農水省など、更に観光庁や外務省など全ての官庁を集めた外国人施策の司令塔となる事務局組織だ。次の時代に向けてしっかりした態勢となることを期待したい。

在留外国人構成比.jpg在留外国人は2024年末現在376.8万人(特別永住者27.4万人を含む)となっている。国籍・地域別では中国87.3万人、ベトナム63.4万人、韓国40.9万人、フィリピン34.1万人、ネパール23.3万人、ブラジル21.1万人、インドネシア19.9万人、ミャンマー13.4万人、台湾7.0万人、米国6. 6万人となっている。在留資格別に見ると、永住者(永住許可者)91.8万人技能実習45.6万人技術・人文知識・国際業務(大学卒で来日、働いている人)が41.8万人④留学生40.2万人、⑤家族滞在(③の家族) 30.5万人⑥特定技能28.4万人⑦定住者22.3万人⑧日本人の配偶者等15万人――などとなっている。

推移を見ると、コロナ前の2019年末は293.3万人、2023年末は341.0万人。昨年1年で35.8万人増えている。今年は400万人を超えることが想定される。欧米で移民と格差が重大問題となり、右派ポピュリズムの台頭、トランプ現象の根源と指摘されていることを考えれば、政府が「外国人との秩序ある共生社会推進室」を立ち上げた意味は大きい。インバウンドや外国人労働者問題に最も取り組んできた公明党も新たな取り組みを開始している。対応型の対症療法ではダメなのだ。

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