政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN
NO.189 政治の信頼回復に全力を!/日本再起動、課題解決に知恵を結集
「与党過半数割れ」「立民大幅増、国民躍進」「政権枠組み流動化も」――10月27日投開票の衆院選は厳しい審判が下された。自民党は「政治とカネ」の問題を受けて大敗し、自公政権は目標の過半数(233議席)に届かなかった。自民党は政治資金問題があった前議員らを非公認とする対応をとったが、及び腰の印象を与えたうえ、選挙戦最終盤には、非公認候補が代表を務める党支部にも公認候補向けと同じ2000万円を支給したことが批判を浴び、逆風が強まった。街の現場でも、あの最後の3日間、一気に不信と怒りの空気が広がったことを実感するほどだった。庶民の現場と苦楽を共にする政治家、その声を代弁する「代議士」の原点が揺らぎ、怒りの火となったことをよくよく銘記しなければならない。
「信なくば立たず」――。政治改革は政治家改革である。公明正大な政治、矜持を持つ政治・政治家を再建することだ。直ちにそれを今後の国会でまず行い、「信頼回復」に全力を上げなければならない。とくに、「政治とカネ」については、世間の常識と政界の常識がズレている。透明性、会計処理、人との付き合いに至るまで、世間の常識とのズレに気付き改めることだ。
今回の衆院選は、「政治とカネ」一色となったが、日本の今行うべき課題は、緊急性をもつものばかりだ。選挙中に各社が行った世論調査、「あなたは何を最も重視して投票しますか」でも、国民の関心事は明確だ。例えば共同通信社の10月19、20日の調査では最も多いのが「景気・雇用・物価対策」で57.9%、次に「年金や社会保障」が39.1%、「子育て・少子化」が20.5%、「外交・安全保障」が16.5%、「政治のカネ」の問題は19.1%となっている。「防災対策」6.6%、「原発・エネルギー」6.2%と続いている。これらにはまさに長期デフレ、人口減少・少子高齢社会の進行、災害の頻発等による日本と地方の衰退への不安が現れている。
「日本再起動の10年に」――。私は2020年初頭から願望してきた。しかし、コロナ禍により3年間は阻まれた。そして昨年来、やっと動かなかった経済が動き出した。この20年余り、「賃金は上がらない、物価は上がらない、金利は上がらない」ものだというデフレの3つのノルムにあった日本と日本人の意識が、「物価が上がる」「賃金が上がる」ように動き始めた。2年続けて賃金が上がった。いよいよ来年4月こそ「物価を上回る賃金上昇」のホップ、ステップ、ジャンプの3年目に入る。3回続けば本物になり、デフレは完全脱却となる。最低賃金上げの流れもつくっている。賃上げが大変な中小企業への様々な支援を公明党はとくに具体的に進めてきた。半導体をはじめ新たな牽引力産業にも政府上げて推進している。ここが今後の政治の最も重要なことだ。
世論調査でも明らかなように、人口減少・少子高齢社会が急速に進む日本で「年金や社会保障」「子育て支援・少子化対策」は、経済とともに最も重要なことだ。曇天がのしかかるような庶民の生活現場の不安は、まさにそうした日常にあり、「希望」がもてないのはそのためだ。今後の「人手不足社会」の問題、地方停滞の根源もそこにある。子供のいる社会にはいい知れぬ希望がある。
もう一つ、外交・安全保障の面ではウクライナへのロシアの侵略やガザの戦闘、北朝鮮がロシアへ兵士を派遣するという事態が生じている。そして国内における大災害の頻発。能登半島の現状に現地は勿論、全国民が苛立っている。この「安全保障」と「防災・減災・国土強靭化」は、冷静かつ堅固に推し進めなければならないことだ。
総選挙による「与党過半数割れ」は、政権の弱体化、政治の流動化を招くことになろうが、そこで真摯な議論を行い、日本のために知恵を尽くして良い具体的結論、答えを築いていくことを期待したい。私は「中道とは単なる妥協ではない。解を求め続ける知恵のダイナミズムだ」「政治はリアリズムであり、現実を直視した臨機応変の自在の知恵である」と思い、言い続けてきた。日本にとって重要な時、「政治空白」をつくらず、「安全・安心の勢いのある国づくり」に政治家の知恵を結集してほしい。政治の流動、迷走は絶対にさせてはならない。