「箱根町は火山の恵みで今日まで来た。しかし、この2ヶ月余り、観光客が大幅に減り、困っている。大涌谷周辺の1kmの範囲が警戒区域なのに、箱根山全体が危険と思われてしまう。歯をくいしばって頑張っている」――17日、箱根町の実情を視察。山口昇士町長らの要望を受け、箱根湯本の商店街を回り、切実な声を聞きました。
箱根は6月29日から30日にかけて地震活動の活発化と噴石があり、噴火警戒レベルが2から3に引きあげられました。7月以降は噴石は一度もなく、震度1以上の有感地震もほとんどありません。しかしながら、現在も地殻変動は継続していること、新たな噴気口ができるなど噴気活動が活発なことから、噴火警戒レベル3を継続している状況です。
私は、こうした現状を説明するとともに、「神奈川県の温泉地学研究所と連携し観測体制をさらに強化する」「機動観測班2名を常駐させているが、毎日最新状況を地元に報告する」「"今でも箱根駅伝のコースは大丈夫""箱根湯本・強羅・仙石原・芦ノ湖周遊コースは公共交通機関で可能"など、旅行者にわかりやすい正確な情報を提供する」「世界三大旅行博のツーリズムEXPOジャパンが9月にある。箱根をPRする」など、支援を強調しました。
8月12日からフィリピンのマニラを訪問し、シンソン公共事業道路大臣やアバヤ運輸通信大臣、マニラに本部を置くアジア開発銀行の中尾総裁と連続して会談。また、現地視察、海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)とフィリピン基地転換開発公社(BCDA)の覚書署名式への出席などを行い、14日早朝に帰国しました。
1泊3日の強行軍となりましたが、フィリピンの実情把握とインフラ整備に向けた協力強化を図ることができました。天候にも恵まれ、充実した訪問となりました。
フィリピンは、我が国と経済面や人的な結びつきも強く、重要な世界有数の親日国。今、フィリピン・マニラで最大の問題は国民生活や経済活動を支える基礎インフラの整備です。道路は渋滞で、雨が降ればすぐに冠水。沿岸低地地域のため、台風などもあって洪水が頻発。橋梁は老朽化が著しく、空港は遅延が常態化しています。こうした状況を改善するため、フィリピンは、日本からの協力を強く求めています。
私は、マニラに到着後、直ちに、船上からマニラ市内の橋梁の老朽化の状況やマニラ首都圏の洪水対策として、約44kmにわたるパッシグ川とマリキナ川の堤防の強化・かさあげ事業を日本企業が行っている状況を視察しました。また深刻な渋滞や航空便の大幅な遅延も経験。インフラ整備の必要性を実感しました。
シンソン大臣とは4度目、アバヤ大臣とは3度目の会談となります。今回の会談では、南北通勤線や環状3号線、マニラ新国際空港の整備など、本年6月に両国首脳間で合意した「マニラ首都圏の運輸交通インフラ整備協力ロードマップ」の具体化に向けた戦略や水資源管理・洪水対策などをじっくりと話し合いました。
また、中尾総裁とはアジアにおけるインフラ輸出の加速化に向けた連携を確認したほか、JOINとBCDAの覚書署名式では、シンソン大臣とともに、立会人として覚書に署名し、挨拶しました。
8月7日に発売された中央公論9月号に、私と冨山和彦氏(経営共創基盤CEO)との対談が掲載されています。タイトルは、「今こそ経済を立て直すラストチャンス──インフラ整備は、見落とされてきた日本経済のエンジン」です。
主な内容は、
・東九州自動車道や日沿道など高速道路の開通によって、工場が新たに立地するなどインフラのストック効果が目に見えるようになっていること
・「防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化」やストック効果がある事業への重点化が大事なこと
・人口減少、高齢化に対応するための「コンパクト+ネットワーク」の考え方(国土のグランドデザイン2050)
・ストック効果のあるインフラ整備は日本の経済成長の源
です。
「今まさにインフラ、公共事業の地合が変わり、2020年のオリンピックをどう迎えるか、2050年へのグランドデザインをどう描くか、原点に立ち戻って考えるべき時が来ている。今ならそれができる」──ぜひ、ご一読ください。
(ストック効果については、今年4月28日の「太田の政界ぶちかましNo.81」でも書いています。)
8月5・6日、長野県の南信地域に行き、市町村長との要請・意見交換と、リニア新幹線の駅予定地、道路、道の駅、河川の洪水対策の現地視察を行いました。
南信地域は日本のど真ん中。中央アルプスと南アルプスの間の広大な伊那谷は美しい自然やおいしいフルーツなどの観光資源が豊富で、ものづくり産業なども盛んです。しかも12年後の2027年には飯田市にリニア新幹線の駅ができ、未来に向かって地域が劇的に変わる。さらに、豊橋などの三河、浜松などの遠州、そして飯田などの南信地域を結びつける三遠南信連携計画が進んでおり、地方創生からも注目の地です。
地元で感じたのは12年後をめざしての大変な盛り上がりです。
飯田市で行われた意見交換会には、地域の22市町村長が全員出席。「リニア開業に向け、"リニアバレー構想"を進めたい」「国道153号など道路ネットワーク整備を支援してほしい」「三遠南信道路の整備が進んでいくのはありがたい」「地滑り対策など地域の防災・減災で、国交省の現場事務所に感謝している」「リニアに期待している。工事中も地域が安心できるようJR東海を指導してほしい」など、要望、感謝の発言が続きました。
リニア開業、三遠南信連携という未来に向け、構想力を持って南信の地域づくりを進めていく──。有意義な意見交換ができました。