今回は、日本で開催される初めてのAPEC交通大臣会合。ホスト国の代表として、大臣会合の議長を務めた他、各種セレモニーの開催等に奔走しました。また、会議に先立ち、前日の4日には、インドネシア、ロシア、ニュージーランド、チリ等の各大臣との2国間会談を連続して実施。2国間の交通分野における懸案や協力、交通ネットワークの充実方策等について、意見交換を行いました。
各国の状況も良くわかり合い、高速道路、航空、港湾、鉄道などの交通の「連結性」とともに「心の連結」ができたと、各国とも大変喜んでいただき、実りある会合となりました。
1989年のAPEC発足以来、「自由で開かれた貿易・投資の実現」「域内経済の統合」という目標・理念の下、加盟各国・地域が相互に連携・協力し、域内の発展に取り組んで来ました。その結果、今や、APEC域内は全世界のGDPの約5割、貿易量の約4割を占めるに至ってます。まさに「アジア・太平洋の時代」が到来したと言っても過言ではありません。このような繁栄を支え、更に域内の発展を図っていく上で欠くことができないのが、経済活動の基盤となる交通ネットワークです。そうしたことから、今回の基本テーマは「APEC域内の高質な交通を通じた連結性の強化」でした。
議論の結果、域内の更なる発展のためには、交通ネットワークの充実が不可欠であり、APECが従来より行ってきている取組を推進することで合意しました。また、新たな取り組みとして、2020年の域内の交通ネットワークの絵姿を示す「コネクティビティ・マップ」の策定、PPPなどのインフラの投資・資金調達・運営の成功事例を集めた「ベストプラクティス」の策定、ICTなど利用者にとって便利で、安全で、地球環境にやさしい「質の高い交通」実現のための「ビジョン」の策定等を行うことで合意しました。合意内容については、「大臣共同声明」としてとりまとめ、会議終了後に全代表が出席して記者会見をしました。
今後は、今回の合意を実行に移していくことが何よりも重要になってきます。日本の技術への信頼性も高く、日本がリーダーシップをとって、実現を図っていきたいと思います。
また、会議翌日の6日には、日本のインフラシステムの優秀さや観光地の魅力を理解してもらうため、各国・地域の代表団にインフラシステムや観光施設の視察をしてもらいます。
今後とも、国際社会における日本のプレゼンス向上のため、頑張ります。
9月1日の「防災の日」、政府、国土交通省、そして地元の防災訓練に参加しました。
まず、政府の総合防災訓練。早朝6時5分にM9.1、最大震度7の南海トラフ巨大地震が発生したという想定で、8時前に安倍総理以下全閣僚が官邸に参集。緊急災害対策本部会議で被害状況や対応状況を報告し、臨時閣議で災害緊急事態への対処方針を決定しました。
そして9時20分から、国土交通省の防災センターで地震防災訓練。南海トラフ巨大地震発生から1日経過したという想定で、中部地方を中心とする6県3政令市、250を超える関係団体、約1万5000人が参加する大規模なものでした。中部地方整備局、中部運輸局とのテレビ会議や、関東、北陸、中部の各地方整備局から派遣されたテック・フォース(緊急災害対策派遣隊)の報告など、現場とやり取りしながら訓練を行いました。
特に今回の訓練では、8月23日に取りまとめたばかりの国土交通省南海トラフ巨大地震対策計画に即して、緊急輸送ルートの確保や津波による浸水を排水するための訓練を新たに盛り込みました。
国土交通省は国土の安全保障を担う組織。国民の命を守ることを第一に、現場が緊急度の高い行動を判断して、それに専念できるようにすることが重要です。災害対策本部会議では優先順位や時系列を踏まえたメリハリのある対応ができるよう、指示しました。その後、地元の防災訓練に参加。いざという時には、地域のつながり、防災力、防災意識が大事です。真剣に訓練に取り組まれていた方々と懇談しました。
訓練は何よりも積み重ねが大事。訓練で得られた教訓を今後に活かしながら、防災・減災対策にしっかり頑張ります。
29日、実験線の延伸工事により中断されていた「リニア」の走行試験が再開されました。私も、再開に先立ち、山梨県都留市で開催された出発式に参加し、リニアの試乗も体験してきました。
リニアは 時速500kmを超える速度で走行し、東京・名古屋間を40分程度、東京・大阪間を1時間強で結ぶ夢の超特急。
走行試験では、42.8kmの実験線をわずか9分で駆け抜けました。最高速度は505km、秒速にすると140m。試乗後の会見で、「スピード感は感じるが不快ではない。音が静かになったということだが会話も普通にできた。通常の新幹線に乗っている感覚とそれほど変わりなく、振動も若干感じる程度だった」「世界最高水準の技術が出せることは誇るべきこと」と感想を述べました。
リニアの開発は、今を遡ること約50年前、昭和37年より開始されました。以来、多くの関係者のご努力と情熱が注ぎ込まれ、実用化まであと一歩のところまで来ています。まさに、世界に類を見ない、我が国独自の高速鉄道技術です。実用化すれば、我が国の鉄道技術水準の高さを、改めて世界に示すことになります。かつての東海道新幹線がそうだったように、多くの国民の方々に「技術大国日本」の象徴として、誇りと将来への大きな希望を与えることができると思います。
また、これができれば(2027年の完成目標)、三大都市圏間の人の流れを劇的に変え、国民生活や経済活動にも非常に大きなインパクトをもたらすことになります。さらに、リダンダンシーの強化が図られ、防災面でも重要です。
リニアは次代に向け、安全と安心と夢と希望を乗せ走行します。乗り越えるべき課題はまだまだありますが、一日でも早い実用化を期待します。
頑張ります。
8月26日、東京都の三宅島と新島を視察しました。南海トラフ巨大地震が発生した場合、静岡県から高知県に至る各地域に30mにも及ぶ津波が襲来するため、その対応を急いでいますが、反対の海側にある離島の津波対策も重要です。その観点に立って、両島で村長さんをはじめ関係者と打ち合わせをしました。
火山島である三宅島は、数十年に一度の割合で大規模な噴火を繰り返しています。2000年の大噴火の際、私は現地へ行って対応。全島避難の方々と同じ船で帰ってきた経験があります。今年に入って何回か地震があり、心配していましたが、現在は落ち着いています。櫻田昭正村長から、「多くの砂防堰堤が建設されたことが、最も島民の安心につながっています」とのお話がありました。津波(三宅島では最大17m)への対応という視点も加えて打ち合わせを行いました。
その後、新島に移動。新島は、南海トラフ巨大地震が起これば最大約30mの津波に襲われると想定されている島。しかも、人口約2300人のほとんどが低地部に住んでいる上に、夏のシーズンにはサーフィンや海水浴に多くの観光客が訪れるため、いかに避難を的確に行うかが課題です。出川長芳村長からは、標高と避難ルートを記した「津波避難マップ」を各戸や
民宿に配布している取り組みの紹介がありました。また、高齢者の避難や津波情報の迅速な伝達などの課題が提起されました。
また、三宅島でも新島でも、発電所が海岸沿いにあるため、高台への移転や発電車の配備も課題です。
南海トラフ巨大地震対策に万全を期すために、有意義な視察ができました。さらに頑張ります。


この夏は、集中豪雨による水害の一方で、渇水が深刻になっています。7月後半から渇水対策に取り組んできましたが、8月22日、国土交通省の渇水対策本部会議を開催しました。
特に関東の利根川水系や四国の吉野川水系では雨が少ない状況が続いており、全国の9水系で取水制限が行われるなど厳しい状況です。21日には東京でもゲリラ豪雨があり、利根川上流や四国の山間部でも局地的に雨が降りましたが、ダムの貯水率は回復どころか減少傾向が続いています。
22日現在、利根川上流の8ダムの貯水率は46.1%で平年の約6割、吉野川水系の早明浦(さめうら)ダムに至っては貯水率は26.9%と平年の約3割。今後まとまった雨が降らなければ、早明浦ダムでは水道用水、農業・工業用水のための利水貯水率がゼロになる可能性もあり、発電用水などの緊急的な活用も考えなければならない事態です。
水は国民生活や農業・工業などの産業になくてはならない貴重な資源。国民生活への影響が最小限となるよう、全国の渇水状況を注視しながら迅速な対策に万全を期すように指示をしました。
また、22日には、南海トラフ巨大地震への対策計画について中間とりまとめも行いました。地震と津波による被害に対し、あくまで現場に基づいた具体的なリスクを共有し、時系列での行動計画を整理しました。国土交通省は国土の安全保障を担う組織。徹底した現場主義に立って、総力を挙げて対策を充実していくようにします。
9月1日は防災の日。また、これから台風シーズンを迎えます。万全の備えができるよう、引き続き緊張感をもって取り組みます。