政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.209 「実質成長」「実質賃金」上げに総力を!/日本に根強い「低価格、低賃金」の構造

2026年9月 9日

視察①.jpg「民の憂い募りて国滅ぶ」――。私がずっと肝に銘じてきた言葉だ。日本経済は長いデフレのトンネルを抜け、ついにインフレ経済へと局面を転換した。岸田内閣の時以来、我々は「物価上昇を上回る賃金上昇を」「賃金と物価の好循環」をめざした。しかし今、その一本の筋道は後景に去り、高市内閣は最近の物価対策といえば、過度な「円安」に対しての為替への日米の協調介入、「食料品の8%消費税率」を来年4月から2年間に限り1%に引き下げることなどで対処しようとしている。「あまりにも安易」「財源や根拠が曖昧」という批判の声は大きい。デフレを脱却した今、日本経済に最も重要なことはインフレへの局面転換を直視した経済運営、つまり「物価を上回る賃金上昇」、名目成長と実質成長を区別した「実質成長」「実質賃金」をどう獲得するかということではないか。

「実質成長」――。名目GDPは、物価が上がれば実質的な生産量がほとんど増えなくても伸びていく。コロナ後、2023年度から2025年度の平均では名目GDP成長率は4.2%である一方、実質GDP成長率は0.5%程だという。2025年度の国の一般会計税収は、前年度比12.0%増の842226億円で、初めて80兆円の大台を突破した。私の政治活動のなかでも、50兆円を超えた時の感慨は今でもはっきり覚えている。しかし、現在あちこちで行われる都市開発で、建設費が極端に上がり、"中野サンプラザ"現象などといわれ四苦八苦しているように、物価上昇局面での名目GDP、それに伴う税収増では中身をよく吟味しなくてはならない。インフレによる税収増は安易に恒久財源の項目とみなすべきではない。「名目成長による財政改善を活用しつつ、賃上げ、生産性向上、人への投資を通じて実質成長を高める視点が欠かせない(小黒一正・法政大教授)」のだ。高市内閣が半導体、造船、防災など17分野への積極投資を進めているのは重要なことだが、大事なことは「息の長い」「具体性」を更に追求したものであることを望みたい。

視察②.jpg

「実質賃金」――。2022年以降、日本は「賃金」「物価」「金利」は上がらないものだという3つのノルムを脱し、賃金も上がるようになった。しかし名目賃金がプラスに転じているが実質賃金の低下傾向が続いてきた。「日本の実質賃金の低下は、突発的なインフレによって生じた賃金停滞ではなく、長年にわたって賃金を引き上げる力が弱まっていたことがインフレを契機に可視化された結果だ(首藤若菜・立教大教授)」と言う。日本は長期にわたるデフレの期間、購買力が伸びないなか、企業は価格を上げることができず、資源高でコストが増えると雇用を守る選択(賃金抑制)をした。「雇用重視、賃金抑制」「低価格、低賃金」の構造が根底にある。

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