政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.202 「物価を上回る賃金上昇」を今こそ!/防災・減災、人口減少対策に全力を

2026年3月 5日

衆院選の圧倒的勝利を受けて第二次高市政権がスタートした。「強い日本」「強い経済」を掲げ、「責任ある積極財政」を前面に出す。また安全保障の強化もその特徴だ。施政方針演説でも、「成長」と「安全保障」を繰り返し強調し、「強い経済」に向けて17分野での成長を後押しする。難しいカジ取りになるが、熟議に心懸け、結果を出すことを望みたい。あくまで「政治は結果」である。

「強い経済」「成長」戦略は大事だが、それは「賃上げをもたらす成長戦略」に結実することが重要だ。日本は世界に類例のない長期にわたるゆるやかなデフレに沈んできた。しかし今、「賃金は上がらないものだ」「物価は上がらないものだ」「金利は上がらないものだ」という3つのノルムを脱し、円安等も影響して物価高騰に苦しんでいるものの、賃金は3年連続で上がるようになった。このインフレが、供給不足のコストプッシュであることを考えれば、AI、半導体、健康医療、造船などの各分野への成長投資、人への投資が重要だ。そして、最も庶民が苦しむ物価高騰に対し、円安が物価高となり、その物価高が経済成長の重しとなっていることを考えれば、今こそ、過度な円安を是正し、「物価を上回る賃上げ」の実現をめざすことが「強い経済」の為には必要だ。そのためにも人手不足に悩み、大企業のようには賃金が上げられない中小企業支援に力を入れてほしい。「物価を上回る賃金上昇」への成長戦略を総動員することを求めたい。

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私は「安全・安心の勢いのある国づくり」をめざしてきた。先日の施政方針演説では、「安全」と「安心」の比重が低いのは大変気がかりだ。まず「安全な日本」「防災・減災・国土強靭化」だ。今年は、あの東日本大震災から15年になる。首都直下地震、南海トラフ地震ばかりでなく、熊本や能登半島を見ても地震への備えは急務だ。また気象変動のなか、雨の降り方は激甚化・集中化・広域化している。「流域治水」として流域全体の安全への備えを行うこと、洪水の「タイムライン」「マイタイムライン」を作り備えることなど、着実に進めてきてはいるが、その予測を超える気象変動が大変懸念される。防災・減災とともに、昨年の埼玉県八潮市の県道路陥没事故を見ても、道路・橋梁・上下水道等は50年経過をしたものも多く、老朽化対策が不可欠だ。建設関係の現場の人手不足がますます深刻化することを考えると、今こそインフラ整備への前倒し積極財政が必要であるし、現場の職人さん等の賃上げが不可欠だ。これは建設に止まらず、医療・介護など全てのエッセンシャルワーカーの処遇改善、賃上げが求められている。現場の力が日本の力だ。

出生数(太田昭宏事務所作成).jpg

「安心の日本」の中核は社会保障の持続性だ。減税や社会保険料の引下げが提起されているが、負担軽減は大事なことだが、財源なしの"減税ポピュリズム"に流されてはならない。人口減少・少子高齢社会の進行そのものに対策を施す挑戦が欠かせない。「人口減少対策は成長そのものだ」と「未来を選択する会議」三村明夫議長は言う。岸田内閣で「次元の異なる少子化対策」を打ち出したが、今その政府の熱意が国民に伝わってこない。2025年、日本の出生数は70.5万人となり、統計開始以来で最少、外国人を除くとなんど66万人台になるという。2016年に100万人を割った後、急速に低下している。GDPは資本と生産性と労働力の三要素から成り、人口減少は経済に深刻な影響を与える。高齢者が増え、社会保障の負担は重くなり、経済社会の担い手が減り、深刻な人手不足を招くとともに、消費自体の縮小を招く。

少子化対策として、全世代型社会保障・子育て支援がよく語られるが、それは少子化対策の一部である。少子化対策は「非婚」「晩婚」「晩産」「少産」という4つの壁を直接的に打ち破ることだ。「非婚」については若い世代の「所得増(賃上げ)」と「結婚支援(出会い等)」が必要となる。とくに非正規職員・従業員の支援だ。「晩婚」「晩産」の壁は大きい。「男性稼ぎ手モデル」から「共働き・共育てモデル」への転換と徹底が重要となる。政府は「産後パパ育休」を掲げ、給付金を引き上げ、男性の育休取得を促進する施策を進めている。女性の就業継続とともに、今は「共働き・共育て」に大きく踏み出すラスト・チャンスだといってよい。

経済と安全保障を「強く」するとともに、「防災・減災・国土強靭化」と「人口減少対策」での「安全・安心のレジリエンス(靭い)日本」の構築を忘れてはならない。

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