政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN
NO.203 首都直下地震は「火災」「パニック」の対策重要/「自分ごと」としての備えと行動を!
東日本大震災から15年、阪神大震災から31年、能登半島地震から2年になる。昨年も8月の日向灘の地震、12月の青森県東方沖の地震などが発生、被害が出た。「安全・安心の勢いのある国づくり」を私はずっと掲げて政治活動をしてきたが、「安全」は全ての政治・経済活動の基礎であり、「防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化」は、私が国交大臣の時に中心課題とした取り組みだ。防災庁も今年、立ち上がる予定となっている。
昨年12月、政府の中央防災会議の首都直下地震対策検討ワーキンググループが報告書を取りまとめた。10年ぶりの被害想定の見直しだ。最悪のケースとして、死者数が約1.8万人(10年前より約0.5万人減)、全壊・焼失棟数が約40万棟(同約21万棟減)、避難者数約480万人(同約240万人減)、経済的被害約83兆円(同13兆円減)などとなっている。都心南部直下地震(M7.3)で、冬の夕方、風速8m/sという悪条件下のシミュレーションだ。建物の耐震化等の諸対策によって被害は減少しているが、死者半減の目標には届いていない。影響を受ける東京圏で生活しているのは約3700万人いるが、政府はこの報告書に基づき、首都直下地震発生時に「自らの周りで何が起きるかを知り、備えるべきことを確認し、『自分ごと』として捉え、自ら進んで行動しよう」と呼びかけている。まさに自分も企業・団体も地域も「自分ごと」として今こそ行動することが大事だ。
首都直下地震は「火災」と「パニック」の対策が特に重要だと思う。とくに「火災」――。死者数と全壊・焼失棟数の約7割は火災によるものだ。火災を発生させないためには、住家の耐震化や感震ブレーカーの設置と、初期消火の成功率向上が特に重要となる。国の試算によると、仮に家庭に感震ブレーカーが設置されると、焼失棟数が7割以上減少するという。特に木造住宅密集市街地への普及が急務であり、その認知度向上のための普及啓発が必要だ。初期消火については、地域の消防団や自主防災組織の体制維持・向上や住民による訓練の実施などが不可欠で、地域コミュニティーの役割は大きい。自助、公助、共助の再構築に加えて、私は近所(近助)が大事だと訴えている。
そして「パニック」――。SNSなどを通じてのデマや誤情報の拡散、道路の損傷や交通の集中、放置車両の発生などによる深刻な渋滞が考えられる。さらに帰宅困難者が約840万人発生するという。2011年の東日本大震災は鉄道の運休、道路の通行停止で515万人の帰宅困難者が発生、交通渋滞、ターミナル駅周辺でも人があふれかえった。直接の首都直下地震では、それを上回るパニックの危険が予想される。それが自身の危険だけでなく、きわめて重要な震災対応の初動としての救命・救急活動、消火活動、救急輸送活動、応急復旧等を妨げることになる。この「パニック」と「グリットロック(渋滞などで全く動きが取れない)」こそ、首都直下地震の特殊な課題だ。
そのためにも、発生した時、その場から大きく動かない「3日間の一斉帰宅抑制」原則の徹底、さらには車は道路脇に寄せ、片側一車線ずつを生かし、緊急車両が走れる状況を皆で協力する態勢が重要となる。東日本大震災で国交省の「くしの歯作戦」が名高いが、「道路網の回復」は最重要である。とともに通信網の強靭化を現段階から進めることが大切だ。通信、電気・ガス・水のライフラインのリダンダシーの強化だ。
首都圏では、建物の耐震化・不燃化や木蜜地域解消が進んでいる。予想死者・建物倒壊等がそれにより減少している。しかし昨今は高層マンションが増え、長周期地震動への課題、また高齢化の進展と一人暮らしの世帯の増加、共働き世帯の増加(家を留守にする)、在留・訪日外国人の増加、スマホなどのデジタル端末の普及、キャッシュレス決済の拡大、電気・通信を中心としたライフラインの相互依存の拡大など大きな社会変化が起きており、それは首都直下地震から見ると脆弱性そのものだ。
首都直下地震という巨大な外力に対して、どう備えるか。防災意識の醸成・自分ごと化、国・東京都・県の防災機能の強化、首都直下地震に対するタイムラインの作成、地域・企業・各団体・中間支援組織等による社会全体での防災体制の構築、そして家庭の家具や水・食料など防災への備えに更に踏み込む必要がある。これこそ緊急の最も大切な人間の安全保障なのではないか。今年は防災前進の年にしなければならない。































