5月20日の閣議で、安倍総理から初代の水循環政策担当大臣に任命されました。今年3月に新たに成立した「水循環基本法」に基づき、水の総合的政策の司令塔を担うことになります。
水は貴重です。しかし今、世界で"油より水"と言われるほど水の争奪戦が激化しています。山紫水明といわれる日本は降水量も多く水は極めて豊富。また、漏水がない、サビ等がないなど上水道の技術が発達しており、水道の水がそのまま飲めます。さらに、農業用水、工業用水、発電などにも利用され、人々に大きな「恵み」を与えてきました。一方、洪水や土砂崩れなどの災害に見舞われるのも日本の特徴で、豪雨は集中化、局地化、激甚化している状況です。
水の「恵み」を活かし、「災い」から国民の命を守るため、水循環全体を視野に入れていくことが大事です。
これまでは関係する省庁も多く、対応もバラバラでしたが、これではいけないということで作られたのが「水循環基本法」です。同時に「雨水の利用推進法」も成立しましたが、"水は貴いもの"という理解をより深めていくことも大事です。
貴重な水が健全に循環する社会に向けて取り組みます。
5月17日、栃木県宇都宮市に行き、「利根川水系連合・総合水防演習」に参加しました。
この訓練は、毎年梅雨の出水期に入る前に実施しており、今年で63回目。今回は、国土交通省のほか栃木県、宇都宮市の警察、消防団、自衛隊など27の関係機関や地域の団体、中学生など約1000名が参加し、見学者も含めると約2万人と大規模なものとなりました。
会場となったのは鬼怒川(下流で利根川と合流。利根川はもともと東京湾に流れていたが、江戸を洪水から守るため、徳川家康が命じて1600年代に太平洋側に注ぐように改修――「利根川の東遷」)の河川敷。
決壊しそうな堤防を守るための各種水防工法の実施、中学生も参加する土のうづくり、ヘリコプターや重機を使って川の中洲にとり残された人の救出など、さまざまな訓練が次々と展開されました。
豪雨災害は局地化、集中化、激甚化しており、いざというときは地域の力で地域を守り抜くことが大事です。「多くの見学者にも実感をもって防災に活かせる実践的な訓練ができた。出水期に向けて万全の体制をとっていきたい」と私は訓練後の会見で述べました。
成果の多い訓練ができました。
5月16日、福島県いわき市のほうとく幼稚園の園児たちや保護者の方が国交大臣室を訪れ、懇談しました。
この幼稚園は東日本大震災で園庭の4分の3が崩れてしまいましたが、2012年の「緑の環境デザイン賞」国土交通大臣賞を受賞して、田んぼやビオトープなど緑豊かな園庭に作り変えました。この賞は、緑化のプランを提案し、優秀な作品にその実現に必要な費用を支援するもの。ほうとく幼稚園では受賞後1年をかけて、園児たちも参加して計画どおりの園庭を作りあげ、その報告を聞かせてもらいました。
プレゼントは新しく作った田んぼで収穫された貴重なお米。子供たちからは「僕たちが田植えをして、脱穀までやったんだよ」「おいしいお米の炊き方を教えてあげるよ」「カエルやトンボもいるよ」と、元気な声を次々に聞きました。
緑の中で土に触れて作物を自分で作ったり、自然を観察できるということは、非常に貴重な経験です。地域が主体となった緑化の取り組みをこれからもしっかり応援します。
5月10日、11日の2日間にわたり、北海道の札幌、苫小牧、函館、白老などに行き、空港のWi-Fi設置、苫小牧港、道路整備や函館への北海道新幹線の新駅建設現場、アイヌ民族博物館、観光施設を視察。また、高橋はるみ北海道知事をはじめ、地元の市町村長、経済界の代表者の方々と北海道の活性化や今後の発展に向けた具体的な方策、課題等について要請を受け、意見交換をしました。
「北海道は、観光、農業、水産業など高いポテンシャルをもっている。そのためにもインフラを整備してほしい」「札幌への新幹線を前倒ししてほしい」「苫小牧港は北海道の外国向けコンテナ貨物の約7割を取り扱っている。北極海航路の拡大など国際物流が大きく動き出しており、今後さらに重要な国際物流拠点となる」「平成28年春に北海道新幹線が開業すると東京から函館に4時間10分で到着する。歴史と文化、豊かな食を有する函館の観光を大きく拡大できる」「白老町に民族共生の象徴となる空間をつくり、アイヌ文化を世界に発信したい」――。関係者からは意欲的な提案と要請がなされました。
また、JR北海道本社を訪問し、経営陣に対し「4月から新しい会長、社長の体制となり、安全第一の鉄道として再生に力を注いで欲しい」と話しました。
北海道の活性化と発展のため、現地と良く連携して戦略的に取り組んでいきます。
4月26日からモンゴル、韓国を訪問して首相・関係大臣等との会談・視察を行い、30日夜に帰国しました。
モンゴルは、日本の4倍もの国土に300万人弱の人口。首都ウランバートルにその半数近くが集中し、人口の流入が続いています。4月末のモンゴルは「広大な草原」ではなく、土、土、土の丘陵・平地がどこまでも続き、そのなかで舗装の悪い(してもない所も)道路を土煙をあげて走る状況となりました。
アルタンホヤグ首相、ガンスフ道路・運輸大臣、バヤルサイハン建設・都市計画大臣、オヨーンゲレル文化・スポーツ・観光大臣、オヨーン自然環境・グリーン開発大臣等と連続して会談。新ウランバートル国際空港の建設、道路・鉄道などのインフラ整備、観光交流の拡大などについて意見交換し、2つの覚書を交しました。

そのなか、新ウランバートル国際空港の建設現場を車を長時間走らせて視察。また、戦後抑留中に亡くなられた日本人慰霊碑を訪問し、献花をしました。
ウランバートルでは、人口の急増、無秩序・不法に建てられた多数のゲル、道路の未整備、大気汚染、渋滞等さまざまな課題が生じており、今回の訪問では、課題解決へ突っ込んだ協議をしました。日本への協力を強く求めている状況です。
韓国の訪問では、セウォル号沈没事故で社会全体が深い悲しみに包まれていました。犠牲者を悼む市庁舎前の合同焼香所に参列し、献花を行い、犠牲者のご冥福をお祈りしました。
また、ユ・ジンリョン文化体育観光部長官、ソ・スンファン国土交通部長官と会談。増加が止まってしまっている観光交流の強化、来年の日韓国交正常化50周年を契機とした交流活発化のための行動計画の策定や、2018年平昌五輪及び2020年東京五輪に合わせた共同マーケティング協力の推進などについて合意しました。
この他、コン・ノミョン元外務部長官、ユ・ミョンファン元外交通商部長官、韓日議連のファン・ウヨ会長、キム・テファン会長代行、カン・チャンイル幹事長、キル・ジョンウ議員等とも会談し、今後の日韓関係の改善などについて、様々な角度から議論しました。